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近未来科学Galilei・Refrigerator  作者: 淡水
記憶のトゥモロー
19/22

デロリアンバイクッ!

「今更オーロラを見返したところで意味はないだろう!」

困惑の境地に立たされている俺にはその言葉しか出なかった。その言葉を無視するかの様にサヨさんは俺に装置を手渡す。


―タイムマシンの物なのか?


「それは・・・オーロラを発生させる装置よ。」

□■

オーロラという名称はローマ神話の暁の女神アウロラ(Aurora)に由来するが、科学術語になった過程については定説がない。


この名称は17世紀頃から使用され始めたと考えられており、名付け親はフランスのピエール・ガッサンディという説があり、エドモンド・ハレーが自らの論文の中でこの説を述べている。その一方でイタリアのガリレオ・ガリレイが名付けたという説もある。当時彼は宗教裁判による命令で天体に関することを書けなかったため、弟子の名を使ってこのことを著している。


オーロラという名称が浸透する以前からも現象そのものは紀元前から様々な地で確認・記録されており、アリストテレスやセネカはオーロラを天が裂けたところであると考えていた。特にアリストテレスは『気象論』で「天の割れ目(CHASMATIS)」と表現した。





そのころ、アンティオコスは再度のエジプト攻撃の準備をしていた。

折から、全市におよそ四十日にわたり、金糸の衣装をまとい、

槍と抜き身の剣で完全武装した騎兵隊が

空中を駆け巡るのが見えるという出来事が起きた。

すなわち、隊を整えた騎兵がおのおの攻撃や突撃をし、

盾が揺れ、槍は林立し、投げ槍が飛び、

金の飾りやさまざまな胸当てがきらめいた。

そこで人は皆、この出現が吉兆であるようにと願った。


—マカバイ記二 5章 1,2,3,4節


□■

「どうしてこんなものを俺に・・・?」

いろいろな情報が拡散し頭を飛び回っていた。わかりやすく言えばパンク直前。


「オーロラって太陽からの「太陽風」と呼ばれるプラズマの流れが常に地球に吹きつけており、これにより地球の磁気圏は太陽とは反対方向、つまり地球の夜側へと吹き流されている。太陽から放出されたプラズマは地球磁場と相互作用し、複雑な過程を経て磁気圏内に入り、地球磁気圏の夜側に広がる「プラズマシート」と呼ばれる領域を中心として溜まる。このプラズマシート中のプラズマが何らかのきっかけで磁力線にそって加速し、地球大気(電離層)へ高速で降下することがあって、大気中の粒子と衝突すると、大気粒子が一旦励起状態になり、それが元の状態に戻るときに発光する。どのようにして太陽風が地球の磁力圏に入り込むのか、なぜプラズマは特定の部分にたまるのか、何がきっかけで加速されるのかなど、発生原理の肝要な部分については地球の磁力線が反対向きの磁力線とくっつく(リコネクション)様にしておいたわ。」


小難しいことを言われた。少し前の俺なら理解をしようと努力した。だが、どうしてそんな装置を俺に渡すのか!


答えは分かっていたのに。



なのに・・・。


「貴方がオーロラの装置を使って飛行機を墜落させたからよ・・・!」

要は順番が回ってきたということだ。


そこでサヨさんは巨大物体の被せ物をはがした。




「・・・自転車・・・!?」

シルエットの割には小柄に見えるそれは紛れも無く自転車。



「デロリアンバイク。通称Dバイクよ!」

「それだけは勘弁してくれよ・・・。」

俺は流石に参っていた。



「しっかりなさい!成功すれば・・・成功さえすれば・・・!」


―・・・。

「俺がオーロラを起こした・・。それが今度は俺の立場になった・・・なら行くしかないだろう。」


俺は自転車に跨った。


「健闘を祈るわ・・・。」

そこで意識が途切れた。


□■

西暦2015年 7月 29日

科学同好会 部室。

「ん?」

俺の意識が復活した頃には、自転車にまたがりながら時間も日も全く違う部室の開発室だった。

特に準備する必要は無いだろうか・・・。

取り敢えず、一番見つかりにくいと言えば事件直後の名古屋市公会堂の例の一室?


何故か?それは睦美の姉の死体が原因不明で警察の連中も中に入れないからだ。

だが、この時刻俺たちが例の死体を発見した頃か?


□■

数時間後 名古屋市公会堂。鏡咲の死体があった場所。

立ち入り禁止のところを無理に入る。中はただの部屋だ。


「さて、始めるか・・・。」

俺は直ぐに装置を起動させた。


□■


「しかし、流れで連れては来たが部室汚いままだな・・・。」

「あら。構わないわよ。」

ショックというものを微塵も見せようとしない睦美。


「ねぇ!ちょっと名駅で買い物したいんだけどぉ・・・。駄目?」

ケイコが間の抜けた声でそう皆に伝える。


―・・・。

「まぁ、構わない。物も足りていないし。それに睦美の寝具など無いからな。」

「じゃハンズっしょ。」

長川も賛成のようだ。

「あぁ。」



プツン・・・。プツツツ・・・プッツーン・・・。

名古屋のネオン、電飾の世界が闇へと誘う。そして、全てが闇になった。


「圏外・・・!?」

俺は携帯をチェックしてみたところ通りのいいところで圏外の表示。

そこで、真っ暗の中でもほのかに明るいことに気がついた。




周りにいる人間も含め、




俺たちはゆっくり・・・。



空を見上げる。




緑色の膜が空を舞っている。



ユラユラと鉛を混ぜた炎の様に・・・。



「お、オーロラ!?」

パシャパシャ!!

流石、都会というべきか野次馬たちは写真を一斉に撮る。


「あ、あれ!?」

そこで長川が上空を指差し叫ぶ。



そこにはオーロラとは違い、真っ赤な炎を纏った何かがどんどん落ちていく。

「飛行機だっ!!!」

俺は思わず叫んでしまった。


「うわぁあああ!!!」

「きゃああああ!!!」

悲鳴が悲鳴をよび、恐怖が民衆を襲う。


真っ赤な飛行機は俺たちの上を通り過ぎ向こうで真っ赤な爆発が起こった。


「世界が・・・終わる・・!?」


直後、灯りが再び街を照らした。

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