人は神を超越する夢を見ている。
科学同好会 部室。
花月の言葉に何かが反応し、いつの間にか部室目掛けて走り続けていた。
ガチャン!!!!
扉を荒々しく開ける。中にはひとつの影。
「ま、!」
最初はNACAの人間かと思っていた。だが、違った。その影は・・・。
「た、たっちゃん・・・?」
ぜぇぜぇと息切れしておる俺を心配のまなざしで見ているサヨさん。
「何をして・・・るんですか?」
ガリレイ冷蔵庫から何かを取り出しているサヨさん。いくつかの品が机の上で並んでいる中、写真が一枚。そこには外国人の顔。しかし、この顔をどこかで見たことあった。
と、言うのも例のNACA職員200名を乗せた飛行機のリストの中にいた顔。確かジャックとか何とか。
そこで彼女が何をしようとしているのか・・・。
それは俺も同じことをしようと目論んでいる。それと同じ様な気がした。
「・・・まさか、人間を・・・・。」
「作るんですか・・・?」
静寂が流れた。何故、サヨさんがガリレイ冷蔵庫を残すことに賛成したのかも理解した。
最初から彼女はジャックという人物を生き帰させるため、いや作り直すためだと。
「たっちゃんだって、睦美ちゃんを作ろうと考えてここまで着たんじゃないの?」
「・・・ちが、う。」
「嘘。」
「・・・。」
サヨさんには嘘をつけないのか、それとも俺が嘘をつくのが下手なのか。だが、はっきりしたこともひとつあった。
今のサヨさんも俺も相当醜い存在・・・だと。
だからこそ俺は睦美を作ろうなんて下種の様な考えを一瞬で消した。一度でもそんなことを考えてしまった自分が情けなかったのだが。
「嘘はついた。けど、今のあんたは醜い。あんたを見てそう思った。」
「あら?それが私に対する言い方?」
口調のトーンが一瞬で落ちる。
「やっぱり人は神を超越する夢を忘れていないようだ。」
ここで下がるわけにはいかない。
「でも、その夢はかなわない。あんたにその外国人を生き返らすことは出来ない。」
「うるっさいわね!!!」
パッチーン!
「ッ!」
頬を電気が走った様な痛みが襲う。
―あぁ。人間は目的のためならここまで堕ちるか・・・。
「ごめんなさい。ジャックを・・・・どうしても・・・。」
「分かってます。俺も言い過ぎました。両親や睦美の様に身内や大切な仲間を亡くしたのは一緒ですし。」
サヨさんは机の物質もすべてガリレイ冷蔵庫に納めなおした。
「私とジャックはね。NACAで出会ったの。それで付き合うようになった。暫くしてNACAの対応に疑問を覚えた私はNACAを辞めた。ジャックとは付き合い持ったまま、帰国した。」
「・・・ジャックさんと文通や連絡なんかは?」
「取ってたわ。」
そこで俺は率直な疑問を提示する。
「ジャックさんは日本に来る理由をなんと?」
「・・・。分からないわ突然の派遣通告らしかったの。」
そのときのメールを見せてくれた。といっても全部英語だったため翻訳してもらいつつ。
「突然の派遣?」
「えぇ。何でもある一族が宇宙投資にものすごく協力したらしくって。」
宇宙投資・・・?どこかでそんな言葉を聞いたような。
ガチャ。
「ちょっと谷岡。」
「あ、花月・・・。すまん。それよか、すごいことが分かったかも知れないんだ・・・。」
花月にもそれを話した。いつの間にか、長川とケイコもいた。
「・・・結局集まるのかよ。」
長川とケイコはそれぞれ用事でばったり会い、俺を見に部室まで来たのだ。
「まぁ、後日きちんと会おう。それまでに俺は出雲に会いに言ってくる。メールの返信が無いんだ。」




