第五話
「ただいまぁー。ってアレ?」
時音はキョトンとした。
ここは時音の家の玄関先のはず
しかし、玄関の先にあったのは
真っ白い空間だった。
そう、今日見た ″夢" の空間が広がっていた。
「やぁ、空知時音ちゃん。初めまして」
空間全体に響くような心地よいテノールの声が聞こえた。
しかし、周りを見ても人はいない。
「まぁ、時音ちゃんはまだ空間殿に慣れてないから、僕の姿は見えないかな。
でも、僕の声が聞こえたのはさすが玖内家の娘かな。」
--空間殿?玖内家?
「ちょっと、私は空知よ。そ・ら・ち!!玖内家って何よ。
それにあなたは誰?此処はどこよ?」
今日は理解出来ない事が起こりすぎて頭がついていけない
とりあえず、顔が無い相手に説明してもらうの待った。
「そうだね。君は"まだ"空知時音ちゃんだね。
それじゃ、順々に説明していこうか。」
のらりくらりと馬鹿丁寧に話す相手に苛々したが、仕方ない。
「お願いします。」
そして相手は耳を疑うような事を言った。
「時音ちゃんはね、過去を移動できる能力を開花したんだよ」
えっ?
(さっきから理解出来ない事が多すぎない?)
確かにさっき顔無しさん(適当に名前をつけた。)は、
「時音ちゃんはね、過去を移動できる能力を開花したんだよ」
と、言った。
過去を移動?
(まるで、作り話の世界みたい。)
「信じてないでしょ?」
クスクスと笑いながら顔無しさんは言った。
「当たり前じゃない。急にそんな事言われても・・・」
「それじゃ、試してみようか。」
「はい!?」
試してみる?どうやって。
「自分の過去のを見てみるかい?」
「はぁ・・」
「行きたい時空の事だけを集中して考えて、そしてただジャンプすればいいだけだ。」
「簡単ですね」
「だろう?それじゃ、一回やってごらん。」
行きたい時空の事だけを集中して考えて、ジャンプ
よしっ!
せーのっ
時音は大きく飛んだ。
そしたら急に目に見えない巨大な力が時音をどこかに引っ張ろうとする。
今日見た夢と同じように気持ち悪くなってきた。
目は開けられないし、耳鳴りがする。
そんなことが数秒続いたが突然何も感じなくなった。
「ほら、目を明けてごらん。」
顔無しさんに促されて目を開けたら、
そこには幼い頃によく遊んでた公園の風景が広がっていた
「うわぁ・・。懐かしい。」
現実ではこの公園は取り壊されてマンションが建っている。
「あっ、このブランコ・・・」
時音はブランコに走りよって腰掛けた。
懐かしい思い出がよみがえる
「確か、一人で遊びに行って帰ってこれなくて、ずっとブランコで座って泣いてたんだよねー」
あの時の両親が慌てぶり様は凄かった。
(って!!感傷に浸ってる場合じゃなくて、公園についたって事は・・)
「ネ、時音ちゃんは時空移動出来るんだよ。」
「うわっ!」
後ろを見たら綺麗な男性がニッコリ微笑んで立っていた。
この人が顔無しさん・・・?
「さて、確認も出来た事だし時音ちゃんに伝えたい事があるんだ。」
「伝えたいこと?」
「そうそう。だから僕は時音ちゃんに接触を図ったんだ。」
先ほどまで微笑んでいた顔無しさんの顔が真面目になった。
それにつられて時音も背筋を伸ばす
そして・・・
「もし、君の未来が無くなってしまったらどうする?」
やっと本題にのれたーヽ(*´∀`)ノ