第十話
「どう説明すればいいかな・・・。答えれるものは答えていくから
時音ちゃんから質問してきて。」
「それじゃ、まず玖内家から、お願いします」
なんといっても一番大事なことは家族のこと。
さっきの気配で感じた人が「本当」の母親だとしたら
今日家を出るときに見た女の人は誰なのか
「玖内家と言うのはね、時の空間の巫女の家系なんだ。
空間殿のことはまたあとで説明するから今は家系の事だけ言うね。」
「はい。」
「ちなみに今、時音ちゃんと暮らしてる人たちは玖内家に代々仕えている菊川という人たちだ。
ここまでは大丈夫?」
「ええ。」
廻は時音がパニックにならないように分かりやすく話を噛み砕いてくれた。
「玖内家には代々引き継がれる役目があるんだ」
「役目?」
オウム返しに時音は問い返す。
「うん。この時の空間を治めることと、時を行き来出来る者の統制。
ある一定の年齢を過ぎるとその役目が与えられるんだ」
「それが今、ですか」
「いや、違うよ。」
大きくかぶりを振って廻は言った。
その言葉に時音は目を丸くをした
「違うって今、現に空間殿の場所にいるじゃないですか」
「時音ちゃんは特別なんだ。」
「特別・・・・」
「今、この空間殿を治めている深空[ミク]さん。つまり時音ちゃんの
お母さんの容態が良くないのと・・・」
「良くないのと・・・?」
廻は少し黙って違う方向を向いた。
時音もつられてその方向を向いた場所には誰もいない。
けど、何かがそこにた。
母に会ったときと同じ感覚。
だがあの時は母体に戻ったような安心があったが、今はない。
ただ胸に大きなしこりができたみたいに気持ち悪い・・
「廻さん・・・?」
廻が気づいているのだろうか・・・
少し小さめの声で呼んでみた。
聞こえていたようで廻は少し笑った
「容態が良くないのもあるけどね、ほとんどの原因はこの人達のあるんだ。
そうでしょう?国松さん」
「っははは。やれやれ相変わらず輪島君は皮肉がきついなー。
私はただ能力を早くに開花させた新しい後継者に会いに来ただけだよ。」
声を放っていた場所に徐々に人の輪郭が出始め、そこから影ができ、
あっという間に30代後半で少しくすんだを色のスーツを着て、ステッキを持った男が立っていた。
「誰ですか・・・?」
「やぁ、初めまして時音お嬢様。私は国松 伸彦と申すもので、あなたの母上の忠臣でございます。」
鷹揚に自己紹介をした国松を廻は一瞥し
「忠臣とはよく言うものだ。」
と、小さく低い声で唸った
その言葉に微かな憎悪の響きを感じた時音は隣に立っている廻を横目で見た。
新キャラさん登場です。
いい人なのか悪い人なのか
まだまだ話は続きます