メンドイ奴ら
「シロ君や~お肉がいい感じになってきたよ~」
何度目かの道草。
根が真面目なシロ君は、行程が進まないことに、ブスくれております。
いや~目の前に松茸通る→ひゃっほい!を続ければ、進まない進まない。
お昼ごろの食事タイムには、シロ君に体のサイズは変えられるのか変えられないのか、長々と論争でこれまた進まない。
サイズ?変えられましたよ?大型犬サイズに。興奮してモフりたおしましたけど。
シロ君もサイズが小さければ、ご飯が沢山食べられる事に気付いて、満足してましたけどね。
森の中を散策する途中、木や地面が抉れて、真っ直ぐ貫通した道(?)に遭遇した。森の中に出来た不自然なトンネルのような場所‥‥‥‥。
─────おんや?これって‥‥‥‥。
「脱出した後じゃないのか?生きてんのかコレ」
「‥‥‥‥筋肉痛ぐらいじゃない?」
─────たぶん。
靴跡がついたレッドウルフの轢死体は、茂みの中にぽいっとしました。
そんな事をしていれば、時間も経ってしまうもので、やっとたどり着いた川原で、夕食の準備をしています。
シロ君が捕ってくれた魚が、いい匂いを醸し出してきました。こうなると、やっぱり塩とか調味料が欲しくなるな~。
そんな事を思いながら、魚の焼き加減を見ていると、シロ君が昨日の出来事で気になることがあると言い出した。
「人間周りに魔獣がいただろ?」
「うん、なんか種類は色々だったけど。全部穴に入れたよね?」
あの時周りにいたのは、四つ足の獣やら、二本足で立つ小鬼のようなモノまで色々いた。二本足の奴はひょっとしてゴブリンって奴なんだろうか?可愛くなかったからどうでもいいけど。それがどうかしたのか?と聞き返すと。
「アイツらの匂いが確かにしたんだが、姿がなかった。穴にも落ちてなかった」
「─────アイツらって?」
見たこともない獣を指しても、わたしゃ、この世界の初心者だから分からんよって言うと。
「黒灰色の毛で、赤い目をした、うるさい奴ら」
「なるほど、わからん」
ちょっとシロ君、初心者だって言ったでしょ。そんな説明でわかるかいっ!
奴らっていう事は、群れでつるんでるって事かな?
そんな事を思っていたら、ピコっと表示が出てきた。
『シロ君の言っているのは「グレィモンキー」の事と思われます』
久しぶりじゃん『ナビ』さんよ。そして君はやっぱりシロ君に甘いんだな。
『「グレィモンキー」は群れで行動します。集団で威嚇行動をし、死肉を欲しがります。言葉を話したりしますが、会話は成立しません』
おお、『ナビ』がなんだか解説してくれたんだが。
「集団で死肉を欲しがるって、なんかメンドイ‥‥‥‥」
「アイツら、弱いくせに俺等にちょっかいかけて来る事があるからな。集団で来るし、岩とか投げてくるし、変に頭使うし、うるさいし、─────メンドイ」
─────シロ君がメンドイっ言っちゃった。
「弱い?なのにシロ君達にケンカ売ってくるの?」
「アイツら、強い奴の肉を喰えば自分達が強くなれるって思っているらしいんだ。母上が言っていた」
集団心理って奴かな?それとも数で押そうとしてんのかな?
「変に知恵があるからな。あの変な匂いも影響してなかったか、遠巻きに見ていたかもな。どっちにしろ、アイツらが近くにいると思うと─────イライラする」
プスプス不機嫌そうに、鼻を鳴らすシロ君。
なにそれ可愛い。撫でたい気持ちを一旦抑えて、焼けていい感じになった肉を手に取ろうとした。
「まあまあ、シロ君。お肉も焼けたところ─────」
─────グチャっと、かまどで音がして、今まさに取ろうとしたお肉が、石の下敷きになった。
呆然としていると、更に石が落ちてきて、今度は魚が下敷きになる。
─────私とシロ君の晩御飯っ!




