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聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!  作者: 山田みかん


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暴走集団

「───なんだ?分かるか」


「暗いし距離があるから、よく分からねぇ」


 言いつつ、ラングはよく見ようと、馬から腰を浮かした。フリートに隊列を停止させるよう頼んで、自分もラングの隣に馬を寄せて確認しようとする。


「こっちに向かってくるぞっ!」


「全員っ!戦闘態勢をとれっ!」


 隊列に緊張感が走り、全員が前方に注視する。

そこにいる全員が、異変を感じる頃には、近付く砂埃と共に、辺りに地鳴りが響いてきた。


「魔獣の群れか─────」


 己の腰の物を抜いた時、地鳴りと共に────叫び声が響いてきた。


─────いやあぁぁああああ

─────かんべんしてぇぇぇぇ

─────げんかいこえてるってぇぇぇ

─────あははははははは


 舞い上がる砂埃と共に、だんだんその声がはっきり聞こえてくる。


「─────は?女の声?」


「人なのか?」


「─────あれが人ですか?」


 急接近してくる暴走集団。

 馬にも乗っていないのに、ありえないスピードで砂をまき散らしながら、こちらに向かってくる。─────あれは、どういう事なんだ?


「お───い。大丈夫か───?」


 ラングがこちらの存在を知らせるように、両手を振って合図を送るが、接近する速度は落ちる様子はない。

 それどころか、こちらの存在に気付いた暴走側は、更に叫び声をあげた。 


「あか────ん!どいてどいてぇぇぇ─────」

「いやあぁぁあ────」

「轢く轢くひく─────っ!」

「人はかんべんして─────っ」


 物騒な言葉を叫びながら、こちらにそのままのスピードで突っ込んでくる。


「ラングっ!なんかマズイぞ!」

「えっ─────ちょまっ」


 ドドドォォ─────ン


 爆音と共に、大量の土と砂埃をまき散らしながら、辺りに静寂が流れた。 


 頭に降り積もった土を振り払いながら、辺りを確認するが。自分達の背後は何も変化がない。 

 前方を向けば、さっきまでなかった真新しい土の山が出来上がっていた。


「と、止まったのか?‥‥‥‥」


「そ、そのようですね‥‥‥‥」

 

 フリートが眼鏡に付いた埃を取りながら、ふと気づく。

 自分の馬が、何?何かあった?と言わんばかりに首をかしげている。


「こんな騒ぎなのに、なぜ馬達は平然としているんでしょう?」


「そう言えばそうだな」


 この騒ぎの中馬達は、どうかしたの?とばかりいつも通りだ。

 自分の馬に目をやれば、フンっと鼻息で返事をされた。────え、俺ら呆れられてる?

 土の山の裏側に回ってみれば、そこには数人の女たちが、自分達が作った穴の中に転がっていた。

 

「‥‥‥‥あ、あたし、とまってる」

「ふふふふふふふ‥‥‥‥」

「二度はいやです‥‥‥‥」

「もう一生走らない‥‥‥‥」


 各々何かを呟いているが、調査対象になっていた女達に、間違いないだろうと思われた。 毛布や水を用意しようと現場がにわかに動き出す。


「君は大丈夫ですか?」


 フリートが、小さな女の子を背負った少年に水をやっている。

 あの子たちは、村から捜索願が出ていた子達だろうと推測したところで、ある事に気付く。


「ラングはどこだ?」


 彼の馬は主人を乗せないまま、ん? 何? と首をかしげている。

 周囲を見渡すが、目当ての人物は見当たらない。


 皆の無言の視線が、今さっき作られた─────土の山に集中する。


「ほ、掘り出せ─────っ!」

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