お清め、お清め
『アンへ・ファータ』『アンへ・ファータ』をよろしく~
思い出したくもない、が忘れ事もしないであろう。ピンク頭のキンキン間延び声。
ほほう、なにあいつ、しもべとかいんの?もしかして、あれか?女王さま~とかいって踏まれる奴とか?
「おい、アンタどうしたんだ?─────ひっ!」
くぅるりと振り返ると、なぜか冒険者風の女の人に引かれた。───なぜかなぁ、自分はとぉっても笑顔なんだけど。
「ちょぉーとお尋ねするけど。あそこにいるヤツの宗教ってヤツ?何?有名なの?」
「そんな訳あるかい。あれはたぶん、ここ数年で出てきた奴らだ」
「女神とか聖女とかをあがめている奴らなんだが、やり口がかなり強引でね」
「まともな奴は避けているよ。裏ではみんな言ってるわ」
「「「────ピンク教」」」
─────ぶっ。ピンク教って。アイツの裏地見てみろって?うわっまじピンク!ないわー、いい年したおっさんが真っピンク。そりゃまともな思考回路の人は引くわ。色って大事だもんね。
「俺アイツ見たことある。村に来た時、妹に触ろうとしたんだ」
皆ババっと一斉に少年と女の子を見つめた。少年に抱きしめられている女の子は、五、六歳ぐらいだろうか。金髪に白い肌の可愛い顔立ちの、はっきり言って美幼女。
─────ほほぉ、アイツ絶対に許しちゃアカン人種な。
「大丈夫だったのかい?」
「うん、危なかったけど。でも結局捕まって。やっぱり嫌な奴だったんだ」
女の人達は口を開かないが、ピンクローブの男に嫌悪を募らせた。
みんなの注目する中、両手で優しく、女の子の頭をなでてあげる。
「大丈夫だからね~。お姉ちゃんが悪い奴をやっつけてあげるからね~」
頭をなでなでした後、嫌な視線にさらされたであろう女の子を「お清めお清め」と、肩とか腕をサササっと払った。 私の行動の意味を察した女の人達は、我も我もと女の子に殺到した。 ついでに巻き込まれた少年は、目を白黒させたが、女の子は嬉しそうな笑顔になった。
「さて、貴方たちについて殿努めようと思ったけど。あなた達がいるなら大丈夫そうね」
女冒険者の人には、地面に落ちていた、使えそうな剣を転移で持たせた。
突然持たされた剣にびっくりしながらも、こちらを心配してくる。
「あんた、どうする気なの?」
そんなの決まってるよ。
「お掃除かな」
─────ふひっと笑う自分に、何か言いたそうだったけど、背後で白陽が立ち上がるのを見て、首を振ってやめた。
「よし、みんな行こう。子供は背負って、なるべく静かにね」
女の子はお兄ちゃんが、大人の人達の手を断って自らおんぶしている。
うんうんいいねぇ、いい子だねお兄ちゃん。頑張れお兄ちゃん。お姉さん特別扱いしちゃう─────ぽんぽんぽん。
「あっそうだ。安全地帯に着くまで、追加してあげるから。『行ってらっしゃい』!」
─────何を、うわっ!
─────わわわわわ
─────うわっうそっうそっ
─────ちょちょちょっと~
問答無用で走り出した暴走集団。
一般の人間ではあり得ないスピードで、その場を『無音』で『走り』去った。
「何をしたんだ?」
「『隠蔽』『健脚』『防音』『体力』『獣除け』はいらなかったかな?あのスピードだと轢いちゃうかな?『サーチ』がこっちに向かってるていう集団を察知したから、そこまで真っ直ぐノンストップ」
何故走るのかって?だって、集団で転移させても安全かどうか知らないしね。
自らの足で移動してもらいます‥‥‥‥。
『5度ずれました』
駄目よ!ぴったり合わせて!修正よ!修正!と謎のこだわりを見せていたが。白陽は、森の中を真っ直ぐ駆け抜けるって‥‥‥‥。莉緒の無茶ぶりにちょっと同情した。
「さて、やっと出番か」
「さっき女の人に撫でられて、まんざらでもないって顔してたよね」
「オオオオォォォォ─────ン!!」
辺りに響き渡る雄たけび。
フェンリルの雄叫びで、一斉に周りの魔獣たちが萎縮した。
さすがシロ君やるじゃん。でも、誤魔化しても後で追及するからね。
「なんだてめぇ」
「冒険者か!」
「おいあれ、フェンリルじゃねえか!?」
「おい、女たちがいねぇ!」
慌てて武装する人攫い達。
はいはい、テンプレ台詞ありやと~。ほんと、創造の範囲超えないんだね。
フェンリル母さんからいただいた刀を抜きながら、焚火の明かりが届く範囲まで出た。
こんな奴らに使う気はないけど、一応ね。
「てめえ何しに来やがった!」
「─────なにって」
ゴ・ミ・そ・う・じ
言い終わると同時に、男たちの足元に大穴がボコォと空き、全員落ちていった。




