頭文字
「おい、これ見てみろよ」
深淵の森の中、外套を羽織った三人の男達の姿があった。
「うわ、なんだこれ」
「木が燃えてますね。魔物が火を放ったのでしょうか」
「それにしては、なんか変じゃね?」
彼らは、川原の『火災現場』に足を踏みいれていた。
莉緒が火を散らかしては消火を繰り返したため、現場は酷くまだらな『火災現場』であった。
そして、彼らは石で組まれた、かまどに行き着く。
「‥‥‥‥もしかして、かまど?」
「俺たち以外、こんなところまで入って来る人間がいたって事か?」
「あり得ないですよ、深淵の森の奥で呑気に焚火なんて。それに人が、こんなサイズのかまど組みます?」
人であったならば、こんな大きなかまどなど組まない。もっと小さくていい。そう彼らは言う。
確かに最初のかまどは、人サイズであった。その後に莉緒が調子に乗って、大きな石でかまどを作り直したのである。お母さんフェンリルを労わっての事だったが、別に我らに火はいらん。と言われ、涙の川が決壊した現場だった。
こんなところに人はいない。これはただの偶然だ。
そう彼らは結論付けて、その場を後にした。
「ちょっとこれ見てみろ」
「これは、魔獣同士がやり合った跡ですね‥‥‥‥」
「あちこち破壊されてる。かなりの大物同士だな」
あっちに続いているぞ、と森の中を移動する。
「─────うわっ」
たどり着いた場所は、凄惨の一言だった。
地面が所どころ抉れ、樹々が破壊されつくされている。
なによりあちらこちらに、血が大量に流れたであろう痕跡がある。
「‥‥‥‥これは、すごい‥‥‥‥」
「見てみろ、白い毛だ。片方はフェンリルじゃないか?」
「フェンリルが手こずる相手って何でしょう」
さあな、っと見渡すと、広範囲に焼け焦げた場所が見えた。
「何か、燃えた跡だな」
「燃やした程度じゃないですよ、見てください」
「本当だ、あちこちガラス化している。これかなりの高温の炎だよね。あ、真ん中に大きい魔石が残ってるよ。持っていこ「ちょっと待てっ!」───う?」
今まさに手を出そうとした二人に、ピルピルした指先である物をさす。
そこには千切れたであろう、触角のような物が一本落ちていた。
─────真っ黒な。
はっとして、今まさに掘り出そうとした魔石を見る。───また、触角を見直す。
とたん、壮絶な鳥肌が二人を襲う。
─────頭〇字 G
「壊せ!壊せ!そんなヤツの魔石持って帰ってみろ!女の子達にどやされるぞ」
「軽蔑の目線は、心折れますからねっ!」
「砂になるまで粉砕して、埋めちまえ!」
─────図らずもGの墓場が出来たのであった。




