桃ちゃんのせい
疲れた時には甘い物が一番。とばかり、『ナビ』の勧めで桃ちゃんをあげてみたが、光るなんて聞いてないぞ。さっき自分も食べたが、いたって何にも起きなかったじゃん。何なのよこれは。
眩しい光の中で、でっかいフェンリルは更にググっと一回り大きくなり、汚れた毛並みもキラキラと光り輝いて、本日何回目かの目の暴力。
そして額には、何やら花のような紋様が浮かび上がった。
「オオオォォォォ─────ン」
ビリビリ響く全力の雄たけび。
何かやりそう、と先に耳塞いでおいて正解だった。それでも、ビリビリ全身に響いてくる雄たけびは─────歓喜。
つられるように、あちこちから遠吠えが聞こえてくる。返ってくる声は一種類じゃなく、色んな声が聞こえる。─────この森、いろんなのがいたのね。
『解説しましょうか?』
「いいよ、今は」
この場で解説されても、頭に入らないわ。
そんな会話(?)をしているうちに、眩しい程の発光は静まり、ほんのり光る程度に収まった。日も暮れてきたので、その姿ははっきり見える。
─────あれ?こんな感じだったけ?
「ねえ、なんか大きくなった?」
「ふむ、進化したようだな」
「なんか光ってるよ?」
「お主のせいだな」
ええ~私のせいなの~?ちょっとそれは責任もてないからスルーしていいかなぁ~なんて思っていると
「正確には仙桃のせいだな、この光もじき収るじゃろう。力も魔力も、仙桃のおかげで元通りじゃ。や、前以上か」
え、桃ちゃんそんな能力あったのか?あ、そういえば『鑑定』が『他にも色々』って表示していたわ。 うわぁ、かわいい顔して(?)結構ヤバい木だったのかな。
まあ、それは追々考えるとして。今の自分にはうずうずしている事がある。
「ね、ねぇ。ちょっと触らしてもらってもいいかな?」
手のワキワキが止まらないのである。目の前にフワフワになったモフモフがいるのだ。
なでなでしたい欲望が止まらない。そんな私にフェンリルはびっくりしたようだが、やがて面白そうニヤリとした。
「────やはり、そなたは異世界人だな。我を恐怖の対象と恐れるのではなく、撫でようとする」
おや、その言い方だと自分の他に、異世界人に会った事があるようだ。
そんな事を思っていると、足音と共に何か叫び声が近づいてくる。
「─────無事ですかっ!?!母上っ!」
─────モフモフのおかわり来た─────っ!!(歓喜)




