年齢制限
「─────ん?なんだ」
微かに聞こえる叫び声に顔を上げるが、周辺に異変はない。
「‥‥‥‥なんでしょうね~」
ウイル少年は、何か訳知り顔で苦笑していた。
─────まあ、いっか。私は作業の続きに戻った。
ご~りご~りゴリゴリ。ごりっごりっ
地面に杖でひたすら、ごりごり陣を描く。小さなお子ちゃまのお絵描き状態。─────実に地味な作業である。
─────しかし、しかしだっ!これでいいのだっ! この作業にたどり着くまで、実にカオスであった!
「よ─────しっやるぞ─────」
『杖』を振り上げれば、ぺっか─────っと光だし。
「それはやめろ」と叫べば一応は大人しくなったが、ちらちら光が『杖』に残る仕様。 「まあいいや」ともう一度『杖』をくるりと回せば、今度は「お待たせ~待ってたよね~」と言わんばかりのキラキラ虹色エフェクトが、しゃんしゃん飛び出し始め、お星様まで大量に飛び出し、辺り一面をメルヘンチックに染め上げる。
「止めんかっ!」
びた─────んっと思わず地面に叩きつけた。
止めてくれっ! 私はもう夢見るお年頃ではないのだっ! 日曜の朝に変身する少女にはなれないのだっ! ナチュラルに精神が壊れるぅぅぅっ!
「光らんでええっ!エフェクトも出すなっ!ヒラヒラ衣装に変身でもさせる気かっ!」
地面に落ちた『杖』に怒鳴れば、派手なエフェクトは鳴りをひそめ、今度はシクシクしたエフェクトを垂れ流す。 ─────ずいぶん器用な『杖』じゃないか。
「久しぶりに使える人が現れて、はりきってるみたいですね~」
─────やめて、ウィル君。納得しないで。
自分には解る。コイツは元々こういう性格なんだ。絶対確実に調子に乗っている。
その証拠に、勝手に一人でに『杖』は立ち上がり、何やら地面に文字を描き出す。
─────勝手に自動書記する『杖』なんてホラーじゃん。
しかしここは、それが通用するファンタジー世界なのだから、そこは受け入れるしかない。
ゴリゴリ何を書くんだ? なになに?『せ めて キラッキラで ハートフルで 歯の浮きまくるような 呪文を‥‥‥‥』
「─────ほほう。どうやらお前は、この世から消滅したいらしいな‥‥‥‥」
ぎちぎちぎちぎちぎちと力いっぱい握り込めば『いややぁぁぁ!いや!いや! いややぁぁ!』と手の中から逃げ出そうと、ビチビチ跳ねまくる。
「大丈夫だよ~。たとえ二分割になっても、あの電波女が創った杖よりよっぽど能力あるから。大丈夫大丈夫。───いけるいける!」
グググっと反発する『杖』をへし折ろうとしたが、「わうっ!(借物だろ!)」とシロ君の一声で引くことにした。
シロ君の後ろで、ウィル少年とモモンガちゃんが、ドン引きしているのを見て、悲しくなりました。




