やっぱり普通じゃない
「あ、これ美味し!甘い」
おっす!おら『鑑定』に嘗められた斎藤莉緒 25歳お一人様。只今デザートをいただいております。何とこの異世界に、イチゴが存在しておりました!
『鑑定』にイラついたので『サーチ』に何か甘い物を探しやがれと、ぶつけましたらプルプル画面で『近くにありやす‥‥‥‥』と指した場所は本当に近場だった。そこにあったのはまさにイチゴ畑。しかも、真っ赤な大粒でツヤツヤしていてまさにイチゴ。─────ただし
『きゃ~なにかきたわ~』
『きっとわたしのみりょくに、ひかれきてたのね~』
『なによ~わたしのほうがミ・リョ・ク・て・き・よ~』
─────めっちゃ喋る。
口はないけどメッチャ喋ってる。
‥‥‥‥オネェだけど。
『なによ~あんたなまいきなのよ~』
『ふふん、こどもはだまってなさい~』
『わたしが、いちばんなのよ~』
『わたしよ!』
『わたしだってば!』
『わたしにきまってるじゃない!』
なんかケンカが始まった。
イチゴの姿にオネェ声。思わず半眼になってしまう自分は悪くないはず。『鑑定』を呼び出してみると。『ちょとやかましいけど、ちゃんとイチゴっす!ぷちっとすれば黙るっす』
─────ぷちっとした。
「大粒でけっこう美味しい~」
静かになったイチゴ畑、一人味を堪能しております。イチゴ?全部収穫しましたけど?
『つぎわたしよ!』『わたしなんだから!』とうるさいので、ささっと全部狩りとってアイテムボックスにぶち込みました。や~静かだね~とイチゴを堪能していると『サーチ』が勝手に浮かび上がった。
『なんかいい甘い物があるっす』
と、ピコピコある地点を指す。『サーチ』がなんだかんだやる気を出したので、こたえてやるかと移動をしてみるが。
「え、何よこれ?どこへ行けっての?」
『上っすよ!上 ちょっと上のポコッとした所っす』
目の前に現れたのは、まさに土の壁。「でかい」と見上げるが、まさに土の壁が垂直に立ちふさがった。こんな崖っぷちのところに何があるというんだ、と目を凝らすと、ほらほらと『サーチ』がさすところに本当にポコッとした窪みがあるのが見えた。
あんなところに行けというのか?なにがちょっと上だ!だいぶ上じゃん、いけるかい!あ、いけるわ自分。
「よっ─────ほっと!到着~─────えぇっ!」
窪みにたどり着いてみれば、そこは思ったよりも広く五十メートル四方ぐらいの広さの場所が開けていた。それよりも驚いたのは、その奥に立派な桃の木が存在していた事である。フラフラと近寄ってみれば、見上げるほど木は大きく、実はたわわに実っている。
見かけも甘い芳香もまさに桃。─────ただし、ここは異世界。
なんだかほんのり『光って』る。
この世界に来てから、なんだかんだ光の暴力に目をやられた者としては、この光り方は何だかなごむ。匂いも甘くて美味しそう。試しに近くの実を一つもいでみるが、ほんのり光っているだけで至って桃のようだ。なにより『歩かない』『喰いつかない』『喋らない』。
「た、食べてもいいのかな?」
『食べれるっすよ!』
やった、と喜びつつ「いただきまーす」と口に運べば、あふれる果汁と鼻から抜ける香りに悶絶する。「うまー甘ーい何これー」と言いつつあっという間に完食してしまった。
お腹が一通り落ち着いたので、座り込んで桃の木を見上げる。
全体がほんのり光っているから、目に優しくてずっと見ていられる。でもこれ樹齢どれ位だろう?陽当たりも微妙だし、こんな場所でよく育ったな~なんて眺めていると、新たな画面が浮かんだ。
『仙桃の木 保護しますか?→はい』
─────ちょっと待て。




