第1話 吹雪の中
山の空が赤く染まり始め、辺り一面の雪が白銀に輝き始める。時間は7時前。冬になり日の出の時間が遅くなったが、ある高校生の起床時間に変わりはない。
ジリリリリリ ジリリリリリ
ガチャ
「・・・ふぁ〜ぁ。腹減った〜。」
俺はゆっくりとベットから這い出し、転げ落ちるような速さで階段を降りて台所の扉を開けた。
ガチャ
「おはよう。」
「おはよう、幹人。ご飯、好きなだけよそってらっしゃい。」
この優しい声で挨拶をしてきた人は、俺の母さんだ。仕事は、介護をしているのでいつも帰ってくるのが遅い。この他にも家族はいるが、今日はなぜかみんな遅い。そんなことは気に留めず、7分ほどで食事を終わらせた。その後の着替えだが、すごくきつい。なぜなら、今の室内温度が3度ぐらいしかないからだ。
「さむッ!!は、はやく着替えなきゃ。へ〜クシュン!!」
怒涛の勢いで着替えを終わらせて、家を出た。雪の降る前は自転車で通っていたのだが、冬はバスで通っている。ここは田舎なので、バスを逃したら2時間ほど足止めを食らう。なので、いつも5分前までにはつくようにしている。
「寒いな、雪も降ってるし。早くバス来ないかな。」
そう言いながら待つこと数分。霧のような雪の降る中から眩しい光が差してきた。緑のボディに四角い車体、そうバスだ。
「やっと来た。もっと早く来てほしかったな。」
そう愚痴をこぼしながらも俺は、バスに向かって手を大きく掲げた。俺の手が見えたのか、バスはハザードランプを灯してゆっくりと減速した。そして、俺の眼の前に止まってドアが開いた。
[うわぁ〜、今日は混んでるな。座れるところもないし、今日は立つか。]
そんな事を思いながらバスに乗り込んだ。その後、3つのバス停を過ぎて目的地に近づく。
高校前 高校前
プシュー
「ご乗車ありがとうございました。」
運転手は挨拶をして次の目的地に向けて出発した。バスから降りた俺は、車道を横切り高校に入った。
「はぁ〜、階段登るのだりー。教室からの見晴らしはいいけど4階まで登るの大変なんだよな。」
一年生は4階、二年生は3階、三年生は2階に教室がある。
「うォ〜、めっちゃ疲れた。早く3年生になりたいな。そしたら、階段もあんまり登らなくてすむしな。廊下寒いし早く入ろ。」
ガラガラ
ドアを開けると、いつもの男子4人と女子3人が椅子に座って話していた。
「お、やっと来た。幹人、早くカードゲームしようぜ。」
「わかったから、カバン片付けるまで待って大田。」
「早くしろよ。」
「あぁ。」
「よいしょっと。あれ?山岡なんでいんの?今日バス乗ってなかったじゃん。」
「あぁ、今日寝坊したんだよ。」
「またか。昨日もその話聞いたよ。」
「あ、昨日もだったか失っ敗。」
シ〜ン
「おもんね〜。」
「あ〜?うるせいな。寝坊なんだから仕方ないだろ?」
「あ〜あ〜そうだな。じゃあな。」
「おい大田、カバン片付けるて来たぞ。」
「よし、みんなが来るまでブラックジャックしよう。」
「ok。じゃあ配るね。」
そんな感じで、カードゲームをしていくうちに人が集まってきた。そいつらも入れてカードゲームをしていくと、朝礼の時間の5分前になった。
「あ、ごめん。俺、教室に戻るわ。」
(もうそんな時間か。)
「お、じゃあな。」
「よし、俺らも終わるか。」
「あぁ、そうだな。」
俺達がカードを片付けると、皆も朝礼のために席に座り始めた。1〜4組の生徒は各30人だが、今年の5組は受験者が少なかったため25人しかいない。だが、全員の席が埋まるまであと3人足りない。一人は遅刻ギリギリに来るのでいいとして、あとの二人は来るのか来ないのかいつもランダムだ。
(はあ〜。早く学校から帰りたいな。今日の天気は荒れるって聞いたn )
ガララ
「よし、間に合った。」
「セーフじゃない!!」
「うわっ、びっくりした。先生か。」
「早く事務室から遅刻証明書もらってきなさい」
「はあ〜い。」
(あいつ、朝から大変だな。もっと早く来たらいいのに。)
「じゃあ朝礼始めるぞ。小澤号令」
「起立、気おつけ、礼、おはようございます。」
その後朝礼は止まることなく続いていった。だが、あとの二人はこのあとも来ることはなかった。
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現時刻 11:00 3限開始から10分経過
(うわ〜、めっちゃ雪降ってんな。これホワイトアウトって言うやつか?向かいの家見えないや。いつもなら、この窓から真っ赤なフェラーリが見えるんだけど。)
ウーーーー ウーーーー
「え、なんだ?」
「サイレン?」
「何が起こってるの?」
初めての事だったので皆、教室の中でこのサイレンはなんなのか騒ぎ始めた。
「こちらは入善消防署です。入善インター付近で事故があり家事が発生しました。入善インター付近には近づかないようにしてください。」
「家事のお知らせだったみたいだね。みんなびっくりしたよね。私も一瞬びっくりしたよ。じゃあ授業進めるね。」
(何事もなかったように授業に戻っちゃった。まあ、ただの家事か。)
授業はこのまま進む




