閑話〜女神達の鑑賞会〜
「カケルくん大丈夫かしらぁ〜」
カケルとは私が転生させた男の子だ。
「ターニア、優しくて素直な子だし私たちの加護があるからちょっとやそっとじゃ大丈夫よ」
悪友のセリアことクレセリアが言う。
そうよねぇ…生命を司る私と時空を司るセリアの加護があるんだし転生直後でも小物なら問題ないだろう。
「あっ、ゴブリンよ。」
セリアがゴブリン1体と対峙しているカケルくんを指す。
「ゴブリン1体くらいなら問題ないかなぁ〜飛べるし…ってなんでーーー!」
と思ったけど、鳥に転生したはずのカケルくんは飛ばずに地上で戦うのであった。
「とりあえず様子見ましょう!ララも付いてるし!」
ララとは私の眷属の天使である。ララはカケルくんの魂に溶け込ませた。主にレベルアップやスキルを獲得した時などにカケルくんに教えてくれる役割がある。
カケルくんは無事にゴブリンを倒した。収納もちゃんと使えるみたいだ。
その後もカケルくんの様子を2人で眺めてる。
「それよりも、ルルにバレるのは良くないわぁ…」
ルル…ルルティア。狩猟などの戦闘を司る女神の名前だ。
「あぁ〜私、あの子と反りが合わないのよね…」
とボヤくセリア。
そうこうしているうちにジャイアント・ボアがカケルくんの目の前に現われた。
「「カケルくん逃げてーーー!」」
それを見て2柱の女神は大声で届かない声を撤退を叫んでいた。
叫んだせいか2人の後ろに影が…
「おい、お前等!俺に内緒で面白いモン見てんじゃん」
その声は私たちが危惧していた赤褐色の肌、赤髪の張本人が現われた。
「「ルル」ティア!!」
私たちはまた叫んだ。
仕方なくルルティアに事情を説明しながらカケルくんがジャイアント・ボアとの戦闘を眺める。
「って…なぁ、あれって【アーススピアー】だよな…」
とルルティアが、
「えぇ…そうね…」
と呟くセリア。
「土魔法Lv6で覚えられる魔法はずよね」
カケルが使ったのは通常の石の塔を1本だけ出すだけの魔法【ストーン・タワー】ではない。そもそもLv1の魔法でジャイアント・ボアの牙にヒビを入れるくらいの威力は通常はありえない…ましてや現在のスキルで同時に2本展開することもありえない。……
その後も
「あれも土魔法Lv5のはずだぞ…うん!面白いヤツだな!」
戦いぶりで気に入ってしまったルルティア。
「【クリエイトブロック】はただのレンガを出す魔法よ?それを加工するなんて…」
セリアは魔法の使い方に驚愕している。
「さすが異世界人というか、子供の発想力は凄まじいというか……」
ってか、なんで格上相手に相手の土俵で戦ってるのよ!
そして、とうとう勝ってしまったのだ。しかも無傷で…まだ進化もしてないのに…カケルくん…恐ろしい子!
ただ、疲れのせいか木にもたれかかって寝そうになっている。
「もう、なんであんなところで転生させたのよ!」
と睨むセリア。セリアもだいぶカケルのことを気にかけてるようだ。
「で、でも、いきなり人が近くにいる所よりもあそこの方が魔物にとっては良かったのよ!」
と焦る私。
「はぁぁぁぁ…2人とも騒がしいなぁ…こうすれば良いだろう!」
と神界結界を張ってカケルとのリンクするルルティア。
あぁ〜だからルルティアにバレたくなかったのに…