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鬼と幻老

その手には血塗れの刀を握っている。

さらに新撰組の隊士の首を数人持っていた。

「レギン……これは条約違反よ」

「あっしには関係ありやせんが今結ばれると困るんでさぁ」

レギンは私を睨みつけながら言った。

その瞳からは殺意しか感じられない。

「残念だけど貴方の好きにはさせないわ」

私は刀を構える。それを見たレギンは首を放り投げて刀を抜く。

「へっ……いい根性してるねぇ……だけどお前みたいな小娘じゃあっしに勝てるわけないんだよ」


「やってみなきゃわからないでしょ?」


私は地面を蹴り一瞬にして懐に入り込む。そして上段からの袈裟斬りを繰り出す。

キンッと金属同士がぶつかり合う音が響く。レギンは難なく受け止めた。


「甘いでやすねェ」

レギンは片手で私の刀を振り払い逆袈裟を放つ。しかし私はそれを紙一重で躱す。そして距離を取る。

「なかなかやりますなぁ……流石は新撰組局長ってところですかい?」

「どうもありがとう……」


私はレギンに微笑みかける。レギンは少し驚いた表情を浮かべるがすぐに真顔に戻る。


「さて……そろそろ本気を出してもいいかもしれませんねェ……」

レギンは刀を鞘に納める。その瞬間空気が変わる。一気に緊張感が増していく。


「……行きませぇ」

次の瞬間にはレギンは消えてしまっていた。

気配を探るが全く感じることができない。

そしていつの間にかレギンは私の背後に居て刀を振るってきた。

「くっ!」

慌てて避けるものの完全に避け切ることはできず頬に傷をつけられてしまった。

「まだまだこれからでさぁ」

そう言って再び姿を消すレギン。


(速すぎる!)


私は必死になって避け続ける。

しかし徐々に追い詰められていくのを感じる。このままではまずいと思い反撃しようと試みるも全て空振りに終わってしまう。


「長いこと人斬りをやってんだ…これぐらい余裕なんでさぁ!」

「あぐっ……!」

レギンの一太刀によって壁際まで吹き飛ばされてしまった。


以前斬られた背中の傷が少し開いてしまった。


「その背中の傷…相当酷いでしょうに…ひっついてねぇでしょう?」

「何の事だか…」


レギンは笑いながら言う。

「隠しても無駄でさぁ…………傷跡を見ればわかるんでさぁ」

「っ……」

私は痛みを堪えながら立ち上がる。しかし先程斬られた傷の影響もあり思うように動けない。

そんな様子を見てレギンはニヤリと笑うと刀を構え直す。


「せっかくだぁ…どんなもんか味見させてくだせぇよ」


レギンはぬるりと間合いを潰す。

奴が選んだのは正面からの斬り合いだった。

私は迎え撃つために刀を正眼に構える。お互いの視線が交錯する。

「……」

「…………」


どちらともなく踏み込みお互いの間合いに入ったところで斬りかかる。

お互いの刀がぶつかる音が鳴り響く。

鍔迫り合いになると思いきや意外にもあっさり弾かれてしまう。バランスを崩した隙を狙われて腹部を斬りつけられてしまった。

「ぐっ……」

焼けるような痛みが走る。血が流れ出る感覚がある。意識を保つので精一杯だ。


「痛てぇだろ?……そろそろ楽になりませんかい?」

「冗談じゃないわ……それに私は負けない……」

私は立ち上がりレギンの元へ向かう。

レギンは刀を下段に構え待ち構える。

私はレギンに向かって突進していく。

レギンは下から掬い上げるように刀を振るう。

私は刀を横薙ぎに振るうが簡単に防がれてしまう。その勢いを利用して体勢を低くし足払いをかける。レギンは飛び跳ねて回避すると同時に私目掛けて刀を振り下ろしてくる。

咄嵯に後方に跳び距離を取る。なんとか体勢を立て直すことができた。私は呼吸を整え次の一手を考える。


(やっぱり強いわね……)


改めて敵の強大さを実感する。けれど恐れている暇はない。

私は覚悟を決めて再び突っ込んでいく。


ーーーーーー

2人が斬り結んでいるところをサツヴァ皇帝とソジゥが高みの見物をしていた。

「いいんですか?レギンさんが勝手なことしてますけど…」


ソジゥは皇帝に尋ねる。皇帝は無言のままだ。


「まぁ別に良いですけどねぇ……面白そうですし♪」

ソジゥは楽しそうに笑っている。皇帝は無表情で見つめているだけだ。


「それにしても凄いですね……レギンさんの剣技……あれはもう名人芸と言ってもいいのではないでしょうか?」

「そうだな……」


皇帝は肯定する。しかし表情を変えない。

「でもどうしてレギンさんはあんなことをするのでしょうか?」

「わからん…が奴が死んであいつが死んでも…どう転んでも戦争が勃発する。そして我々が有利になる。その状況は変わらない」

「そうですね♪ それにしてもあの新撰組局長はかなり強いですよ?あの人を殺してしまったら勿体無いかも知れないですよ?」

「そうだな……だが問題ない……結局勝つのは我らだ」


皇帝は静かに答える。その瞳は冷たく光っていた。

この皇帝は誰にも止められない。動き出した歯車は静かに崩れてゆく。

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