破壊と再生
翌日私たちはこの資料を国王へと提出をした。
そして新たに即位した陛下へ謁見することになった。私は新撰組局長としてエランテル領主として代表で出席することになった。
「私が即位した15代エランテル国王ジェノバ・トォク・エルリアだ」
そこに現れたのは先代国王の分家にあたるエルリア家…本来国王に就くはずのない人間であった。そのずば抜けた才によりこの世界の潮流を最も理解しているためであった。
しかし彼の祖父と父はエランテル国王の命令によって粛清されていたため誰も彼が即位することは予想していなかった。
「なぜ我々があの謀反の資料を持ってきたことがわかったんですか?」
「理由など簡単なことだ……余の能力によって謀反の計画が筒抜けだったのだ」
陛下は自慢げに話す。
「君たちが持ってきたものは確かに謀反の資料であろうな……だがそれは一部に過ぎん」
陛下は私をじっと見つめる。まるで品定めでもされているかのようだ。
「君たちのおかげで今回の騒動については対処が可能となった。だがこれから先の話だが……余はあることを決めたのだ」
陛下は一呼吸置く。
「余は革命軍との協議でこの国の体制を根本から変えるつもりだ。今のままではいずれ民衆の反乱によって滅亡してしまう。だから余は民衆から選出された者たちによる政治が必要となると思っている……」
「……それはつまり……革命を受け入れると言うことですか?」
「そうだ。そして君たちにも協力してもらうことになると思う」
「それは一体どのような?」
私が尋ねると陛下は答えてくれた。それによると新たな国を作り出す為に必要な事柄を実行して欲しいというものだった。
「ではまずは革命軍との会談を行いたいと思います。場所は宮殿内の大広間でお願いしたいのですが宜しいでしょうか?」
「了解しました。すぐに準備します」
私は部下に指示を出し会議室を後にする。
「リーゼロッテ卿ちょっと待て」
「はい?なんでしょう?」
私は呼び止められて振り返る。そこにいたのは国王だった。
「済まぬな…あの時のような選択しかできなくて…土方歳三」
「貴方は…まさか!」
「其方が確信しているのであっている。余は徳川慶喜であった者だ」
「何故あなたが?」
私は混乱していた。前世では幕府側の人間であり皆に恨まれながらも幕府の終焉を告げた人物がこのような異世界で生きているなんて……
「それは話せぬ……が一つだけヒントを授ける……革命の意味を理解できているか?」
私は考えても答えが出ない。すると陛下が口を開く。
「ならばこれを渡そう。これこそが余からの贈り物だ。必ず役立ててくれると信じておるぞ……頼む」
「はい……必ず」
私は恭しくそれを受け取りその場を後にした。
「陛下……本当に宜しかったのですか?」
リゼが退席した後、側近の男性が訪ねる。
「是非もなし。余はもうあの惨劇を繰り返してはならないと思ったからだ。そして彼女は必ずこの世界に最適解を見つけるであろう」
「わかりました」
そういうと側近は一礼をして部屋から出て行った。
「さて……これから忙しくなるぞ……」
エランテル国王ジェノバ・トォク・エルリアは窓の外を眺めて呟く。
その後革命軍との交渉は難航しながらも進んでいった。途中何度も決裂しそうになったが最終的には双方妥協することで話はまとまった。主な条件としては革命軍に参加した者達の爵位の剥奪、領地没収等であった。
新撰組局長としてリゼはこの国が変わっていくのをこの目で見た。
その日エルリア陛下は退位し300年続いたエランテル王国は崩壊した。
そして新政府の樹立となった。トランキュリティ連合国と名付けられた。
しかし未だに問題が山積しているのも確かであり早急に対策しなければならないこともたくさんあった。
この政府に反感を持つ者も多くこの広大な土地を持つこの国は特に見えた。
そして新政府において重要な役割を担うことになったのが新撰組である。彼らは今まで以上に多忙を極めていた。
また、隊士たちは新しい組織についてあまり良く思っていないようであった。それでも文句を言わず任務を遂行するのはやはり彼女たちの優秀さなのだろう。




