肆ノ訓
私はサヤノと共に新たな騎士団の本部へと足を運んだのだ……そこで待っていたのは一人の女性であった。年齢は20歳前後といったところだろうか?髪は長く銀色で瞳は青色をしていたのである……とても綺麗な人だった。彼女は私達の姿を見ると微笑みながら言ったのだ。
「ようこそおいでくださいました!私がこの騎士団の参謀を務めさせていただいております。クラウス・サウスバウアーと申す者です。どうぞお見知りおきくださいませ……」
と言って挨拶してきたのである。私も慌てて自己紹介をすると彼女は微笑みながら言ったのだ……そして続けてこう言ったのであった。
「久しぶり…というのもあれですね土方くん。私です山南です。」
と言ってきたのである。その言葉を聞いた瞬間に私は驚きを隠せなかった……何故なら目の前にいる女性は前世で私が所属していた新撰組の参謀を務めていた人だったからである!まさかこんなところで再会出来るとは思わなかったので嬉しい反面複雑な気持ちでもあったのだ。
なんの因果か新撰組の人たちと再会することになるとは…
そしてその後は今後のことについて話し合った後解散となったのであった……。
数日後…騎士団結成の通達があり、若輩ながらも私は団長として、サヤノは副団長として就任する事になったのだった……そして訓練場に着くと、そこには多くの新入団員たちが集まっていたのである。私は挨拶をすると早速訓練を始めることにしたのだ……まずは体力をつけるために走り込みから始めることにしたのだが、皆頑張ってついて来ようとしていたのであった。
しかし中には脱落する者もいて大変だったが何とか全員無事に終えることが出来たようだ……その後休憩を挟んだ後に剣技の訓練を行う事にしたのだ。最初は素振りから始めて徐々に難易度を上げていった結果全員が出来るようになったのである。
次に型ついてだがあの頃…試衛館時代におやじに教えてもらった天然理心流を教えることにした。騎士団では剣を使うが、私の知り合いの鍛治職人に刀を造らせることに成功し配給することが出来たのだ……。
次に集団戦についてだが、これは模擬戦を行った結果かなり良いところまで行くことが出来たのだった……。しかしまだまだ改善点もあったので今後はそこを重点的に鍛えることにしたのである……そして最後に実戦訓練を行う事になったのだが、その前に私は皆にこう告げたのだった。
「諸君に問う! 我々はこれから戦場に出ることになるだろう!!そこで命を落とすこともあるかもしれない!それでもついて来てくれますか?」と言うと皆は真剣な眼差しで見つめてきた後に一斉に敬礼をしてきたのである。その姿を見た私は感動を覚えながら敬礼を返したのだった……。
そして翌日から実戦訓練として山賊を相手にすることになる。
騎士団改め【新撰組】と名乗るようにした。
私とサヤノは鎧の装着はなくあの頃…戊辰戦争の服装…洋装の羽織を身にまとったのだったがあまりにも軽装で他のみんなにも言われたがあんな重いのを着たら動けない。だから自分に合ったものでいい。
山賊の出る付近に近づくと私のスキルが教えてくれた。
《敵三十人近づいています。》
私はサヤノにアイズを送る。
《風魔法》【這い寄る死風】
まず最初にサヤノが先陣を切って突撃すると瞬く間に敵の命を刈り取っていったのである……その姿を見た私は思わず見惚れてしまったほどだった。そして次に私が前に出ると、向かってくる敵を斬り捨てていったのだ……。
「リゼ後ろ!」
とサヤノが叫ぶ声が聞こえたので振り返ると背後に敵が迫ってきていたのである!
《天剣示現流》【裏蜻蛉二式・巳祓】
私は咄嵯に田中新兵衛が最後にやった方法で迎撃するが一撃で仕留めることができなかった為に頬を掠めて血を流してしまうが、すぐに体勢を立て直すと再び戦闘を開始したのである……。そして数分後には全ての敵を倒し終えたのであった……。
「ふぅー疲れたぁー!」と言って地面に座り込むとサヤノが近づいてきて言ったのである。
「お疲れ様です!怪我はないですか?」
と聞いてきたので私は笑顔で答えながら答えたのだった……。
それから数日後の事だっただろうか?ある日の夜に私とサヤノは陛下からまた呼び出されていたのだった……一体なんの用だろうと思いながらも行ってみることにしたのだ……謁見の間に着くとすぐに陛下は現れてこう言ったのだ。
「実はお主達に頼みたいことがあるのじゃ……」と言われて私達は首を傾げたのである……そして詳しく話を聞くことにしたのだった……その内容とはなんと私達に領地運営を任せるというものだったのである!これには流石に驚いたが断るわけにもいかず引き受けることにしたのだった……しかしいきなり言われても困るのでまずは資料などを取り寄せる事にしたのだった。それから数日後の事だっただろうか?ようやく準備が整ったので早速行動に移すことになったのであった……。まず最初に取り掛かったのが領地となる場所の調査である……。地図を見ながら場所を決め、そこに向かう事にしたのだった……そして到着するとそこは見渡す限りの平原だった……。
「うわぁー広いなぁ……」と思わず呟いてしまうほどだったが気を取り直して作業に取り掛かることにしたのだ。まず最初にやったのは領民の確保である……その為には村を作らなければならないのだがその為にはまず家を建てなければならないだろうと考えた結果、まずは家を造ってもらうために大工職人を呼ぶことにして連絡を取ることにしたのだった。数日後の事だっただろうか?一人の老人がやってきたのである。
「どうもこんにちは!わしがここの領主様の家を建てることになったんでよろしく頼むよ!」と言ってきたので私達は自己紹介をする事にしたのだった……まずは私から名乗ることにして言ったのであった。
「初めまして、私はこの領地の領主になりましたリーゼロッテ・エルダーと申します」と挨拶をしたのだが何故か首を傾げられてしまったのだ……そして次にサヤノが挨拶をするとその老人は目を丸くして驚いていたのだった……一体どうしたのだろうかと思っていると、突然土下座をしてきたのだ!?これには私達も驚いてしまったがとりあえず立たせてから話を聞いてみることにしたのだった……するとその老人はこう言ったのである。
「いやぁ~!まさか領主様自ら出迎えてくださるとは思いませんでしたわい!感激ですじゃ!ところでわしの名前はエストと申しますじゃ!以後よろしくお願いいたしますぞい!」
と言ってきたので、要望ととりあえず家を建てるのに必要な材料を揃える為にも資金を渡すことにしたのだ……すると彼は嬉しそうに受け取ってくれたのだった。