表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/42

幻怪と鬼姫

一方でリゼは深手を負いながらもなんとか立ち上がった。

(油断した……まさか斬られるとはね)

彼女は自分の背中を触る。するとヌルッとした感触があった。どうやら出血しているらしい。

そして相手を見ると【幻怪】と恐れられる人斬りレギン・アデルノであった。


「あんたを斬ることで旦那の恩義を還せる…恨みはねぇが死んで欲しいんでさぁ」

「貴方はレギン・アデルノ…よくもやってくれたわね…影に隠れてねちねちと剣士…武士として恥ずかしくはねぇのかよ?」


リゼの顔は怒り狂い…前世の口調が出てしまった。

それにレギンは興味を示す。

「流石は鬼の副長でさぁ…長生きしてみんもんだねぇ…河上彦斎…きいたことあるよなぁ」

「そうかよ……転生してもなお人斬りにいる俺はテメェが嫌いだぁ!」

《天剣一刀流》

【虚狼虎乱・朧】


リゼは全身からオーラを放ちながら攻撃する。オーラによって照らされた刀身は美しく輝きを放っていた。

対するレギンは冷静にその攻撃をいなしていく。まるで刃の雨の中を優雅に泳いでいるかのように華麗なステップだった。

二人の斬撃がぶつかるたびに火花が飛び散る。



「流石でさぁ」

「テメェもやるじゃねぇか……」


レギンもまたリゼの力量を認め始めた。

両者の間合いが縮まり刀が交差する刹那レギンがニヤッと笑った。


「貰った」


すると彼の手には暗器のナイフが握られていたのだ。

それは明らかに致死量を超える毒が塗られたものであり掠るだけでも危険極まりない代物だった。

リゼは反射的に体を捻り回避するが完全には避けきれずに腕を僅かに抉られた。


《蜻蛉・蛇突き》


だが、レギンは更に踏み込みながら今度は足首目掛けて蹴りを放った。それを何とか防ぐもののバランスを崩してしまう。


「しまっ……!」


その瞬間をレギンは見逃さなかった。


「終わりでさぁ」

レギンの持つ刀が振り下ろされる。

しかしそれは寸前の所で止まったのだ。

いや止められたというのが正しいかもしれない。


《天剣一刀流》

【天龍の構え】


なんとリゼの身体からはオーラが迸っていたのだ。

リゼの目は覚悟に染まっており鬼神のごとき威圧感を感じる。

これが鬼姫リゼの真骨頂である。

それはかつて新撰組時代において幾千もの敵兵を震え上がらせたという伝説に裏付けされた技であった。

そして今まさにレギンを恐怖させるに十分なものなのである。


故に彼は一瞬怯んでしまったのだ。

そしてレギンは即座に理解した自分では勝てないと悟ってしまったのだ。

それを見てリゼが口を開く。


「貴方もまた武士だ……その心意気気に入った」

「あんた……」


「その上で殺す!」


《天剣一刀流》

【虚狼天竜螺旋】


リゼはそのまま刀を回転させながら突きを放つ。


「よっとぉ」


しかしそれはレギンが後ろは飛び回避したのだ。体勢が悪かったせいか少し深めに食らっているようだ。

「やるね……あんたほどの相手とやり合ったのは久しぶりだったぜ」

「それは嬉しい限りよ」


二人は再び構え直し睨み合う。


「次で決める……」


リゼが静かにつぶやくとその場に緊張感が走った。


――ドスッ!!!

突然の爆発音が響いた。


「何っ!?」


二人は驚きのあまり音のした方を見る。


そこには血まみれになったシェンとムロがそこにいた。二人とも相当なダメージを負っているようだがお互いに殺意剥き出しで睨み合っている。

そして二人の視線が合う。


視線を戻して私は飛び出す。それと同時にレギンも動く。二人は一気に接近して刃を交え始めた。

キンッキンッと金属同士がぶつかる音が聞こえてくる。二人の動きは激しさを増すばかりだ。


リゼとレギンの戦いは激しさを増していた。

お互いの攻撃を紙一重で避けつつも相手の隙を伺っているようだ。

レギンが刀を振り下ろすもリゼはそれを容易に受け流す。そして反撃として蹴りを入れるもそれもまた防がれてしまう。


「ちぃ!」

「まだまだぁ!」


今度はリゼの番となった。彼女の攻撃は凄まじく連撃を繰り出してくるのだ。だがそれでもレギンは冷静に防ぎ続けているようだった。


「やるでさぁ!」


ここでレギンが仕掛けてきた。彼は懐から小太刀を取り出して二刀流で攻撃してきたのだ。

それに対してリゼもまた二刀流で応戦する。

二人の剣戟によって火花が飛び散る。その光景はまさに圧巻の光景だった。

互いに譲らず激しい攻防を繰り広げていく。

しばらくしてついに均衡が崩れた。


「そこだぁ!」

「なっ!?」

リゼの一撃によってレギンの体勢が大きく崩れる。

その隙を逃さずリゼは刀を振るう。


――キィィン!

しかしレギンは残った一本でそれを弾いたのだった。その結果互いに武器を落としてしまい徒手空拳での戦いとなる。

両者の間合いが近づくにつれて二人は拳による攻撃を行うようになった。

肉弾戦になり始めた頃二人ともかなり疲弊してきたようだ。

だがそれでもお互いに引くことはしなかった。

するとリゼの動きが変わる。


(来た!)


レギンはそれを見逃さなかった。そして素早く踏み込んだ。


「終わりでさぁ」


そう言いながらレギンは落ちた刀を拾い逆手に持ち替えて突き出した。

それと同時にリゼもまた同様の動きをする。


《天剣一刀流》

【虚空】


次の瞬間二人の姿が消えたかと思うと突如現れた斬撃が周囲に広がった。

そして再び激しい金属音が鳴り響く。


「嘘でさぁ」

「甘いわよ」


リゼがいた場所にレギンの体があるはずなのだがそこにいたのは彼女自身であった。

そうレギンの攻撃を避けてそのまま背後に回ったのである。

そのスピードは常人では到底捉えることができないほどであった。

そのため彼は反応することさえできずにその場で硬直してしまったのだ。

だがそれも仕方がないことであるだろう。

なぜなら彼にとってこの一瞬は永遠にも思える時間だったからである。


《幻怪術》

【天雷】

「なに!?」



気絶していたはずのアキが放った雷撃がリゼに降り注ぐ。しかし彼女はそれを紙一重で避けてみせた。

リゼの避けた先にレギンが刀を振るっていた。リゼは避けることもできず腹部に深い切り傷を浴びてしまった。


「さっきからちまちまと…」

「その傷…致命的でさぁ」

「下衆の攻撃なんて効きやしねぇよ」

「ほざけ!」


リゼは刀を構える。

(あの程度の毒ならすぐに抜け……っ!?)


突然の眩暈に襲われた。それにより彼女の判断能力が低下してしまう。

レギンはそれを見逃さなかった。すぐさま距離を詰めてきて刀を振り下ろす。

それを何とか防ぐものの力が入らず押され気味になってしまう。

このままでは不味いと思ったリゼは刀に込める力を強めた。


《天剣一刀流》

「遅いです」

《幻妖術》

【天獄】

「ぐっ!」


突然アキの放った術式によってリゼの身体が固まってしまう。

その間にレギンが刀を振り下ろした。

リゼは何とか反応しようとするが既に遅かった。

レギンの刃がリゼの左目を切り裂いた。

眼球が潰れてドクンドクンという音が聞こえそうな程の痛みが走った。そして視界が赤く染まっていく。

しかしそれでもなおリゼは止まらない。彼女は刀を握る右手に力を込めるとレギンに向けて振り下ろした。

それに対しレギンもまた対抗して刀を振るってくる。


《天剣一刀流》

【虚狼朧月】


レギンの刀とリゼの刀がぶつかり合うと大きな衝撃波が発生する。

それは辺り一面の木々を薙ぎ倒し地面を削り取るほどだ。

そして次の瞬間両者が大きく吹き飛ばされてしまう。


「っち……」

「ぐはっ……」


二人はなんとか空中で受け身を取り着地する。しかしダメージは大きく片膝をついてしまう。

そんな中で最初に立ち上がったのはリゼの方であった。

彼女は左目に手を当てて傷口を確認する。どうやら出血は治まっているようだが完全に見えなくなってしまったようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ