二十七ノ訓
ーサツヴァ武国・竜騎兵隊隊長視点ー
「なんだあの武器は!?見たことも聞いたこともないぞ!?」
「狼狽えるな!!あれは恐らく魔粒子砲だ。しかしあれ程の威力のものは見たことがない。おそらくだが、かなり高出力のものを使用しているはずだ」
「そんな馬鹿な……だとしたら非常にまずいぞ。あんなものが戦場で使われたら我々は確実に負ける」
「ああ、そうだな……だが相手はあの鬼姫率いる新撰組と堅物シュタルクだ。そう簡単にはいかないだろう」
「そう願うばかりだな……」
「よろしい。私は敵の本陣を叩く!貴殿らも続け!」
「はっ!!」
新撰組とシュタルク伯爵の軍勢がサツヴァ武国軍の軍の中を駆けていく。敵陣へと突撃し次々と倒して行く様はまさに一騎当千と呼ぶに相応しいほどであった。
* ーサツヴァ武国・竜騎兵隊隊長視点ー
「くそ……なんなんだあいつ等は!強すぎるぞ!!」
「落ち着け。敵はまだ少ないんだ」
「だがもう既に半分以上がやられたんだぞ!?このままいけば確実に負ける!」
「そんなことは分かっている!!今は耐え抜くしかないんだよ」
「くそ……」
隊長は拳を握り締めて唇を噛んだ。負けるわけにはいかない。ここで自分が負けたら敵軍の勢いは止められないだろう。なんとしても食い止めなければ!
* ーシュタルク伯爵視点ー
私は今砦にてリゼ嬢より魔導映像を見ながら部隊に指示を出している。これがあれば今までの戦場とは比べ物にならないほど戦況がひっくり返る、さらに楽に戦えていると言えるだろう。
《リゼ嬢、敵の歩兵部隊および魔物部隊が着陣しました!》
《分かった。すぐに行く》
私は急ぎ戦場へと向かったのだった。
イサミ率いる7番隊は敵を蹴散らしているその最中に、突如新撰組に乱入してきた者たちがいた。それは魔物とサツヴァ武国軍の人間である。彼らは剣や斧を持って次々と襲いかかってきたのだ。それを躱しつつ反撃に転じる……するとそこに一人の男がやってきたのである。その男は黒い鎧を身にまとい腰には禍々しい剣を携えていた。
その男はイサミを見据えると口を開く。
「ほう……お前強そうだな」
「貴殿こそ…」
イサミがそう言うと男はニヤリと笑う。
「俺はサツヴァ武国軍第三軍団長ジェロームだ。一応言っておくが俺が用があるのは鬼姫の首だけだ。だからそこをどけ」
「それは無理な相談だ。こちらにも譲れないものがあるのでな。貴殿の相手は我々がしよう」
イサミはそう言って前世で使っていた刀【虎徹】を構える。
「ほう……面白い剣だな。だが、俺の剣に勝てるかな?」
ジェロームはそう言うと剣を抜かずに鞘を振るうと星を型だった斬撃が飛ぶ。それは地面を切り裂きながらこちらに向かってくるがイサミは冷静に対処しそれを避けた。しかし隊士たちにも攻撃が当たってしまったようで何人か負傷してしまったようだ。
「大丈夫か?」
と声をかけるも皆無事のようだ。
「ぶ、無事です」
と返事が返ってくる。
「そうか……ならいい。お前たちは離れていろ!」
「す、すいません」
隊士たちはそう言うと後ろに下がるのだった……。
*
「ほう、俺の斬撃を避けるとはやるじゃないか…これならどうだ?」
ースキルー
《星剣》【スタースラッシュ】
ジェロームがそう言うとまたも星を型どった斬撃が飛んでくる。それも無数にだ……それを見たイサミは刀を鞘にしまい居合の構えをとった。そして飛んできた無数の攻撃を全て切り裂いていく。
「なにっ!?」
驚くジェロームだがすぐに冷静さを取り戻し再び剣を構えるのだった。
《虎徹》の切れ味は素晴らしいものだな……この刀でならあの剣を斬れるかもしれない。しかし、問題はどうやって奴に近づくかだな……。それにあの斬撃は厄介だ。あれを何とかしなければならないな……まあ、方法はいくつかあるが今はそれをやる時間はない。他の方法を使うとしよう……。
そして再び攻撃を仕掛けてくるジェロームの攻撃を避けつつ次の一手を考えるイサミであった……。
*
「なかなかやるようじゃないか!ならこれならどうだ!」
《星剣》【スターダスト】
またもや無数の攻撃を放ってくるジェロームだが今度はさらに威力が増しているようで、地面に大きな亀裂が入るほどの威力を誇っているようだ。
ースキルー
【宿地】【剛腕】
「ふん!!」
私はジェロームの攻撃を刀で弾こうと試みる。しかし……それは失敗しダメージを受けてしまったようだ。かなりの防御力を持ったこの服に亀裂が入るほどの威力とはな……。やはりこいつを斬るにはあの剣をどうにかしなければいけないようだな。
覚悟を決めて平正眼の構えをとろうとした時、ジェロームはニヤリと笑い剣を構えた。
そしてそれを振り抜くと斬撃が飛んできたのだ……しかしそれは今までとは比べ物にならないほどの威力で、私は咄嗟に避けたがその衝撃波により吹き飛ばされてしまった。
ースキルー
《星斬》
そして、さらに追い打ちをかけるように無数の斬撃を飛ばしてきたのだ。私はその攻撃を掻い潜り懐に潜り込もうとするが、それを許さないかのように次々と斬撃が飛んでくる。
ースキルー
《星斬光》
そしてついにその攻撃は私に直撃してしまったのだ……私は血を吐いてそのまま地面に倒れ込んでしまったのだった……。
* ージェローム視点ー
俺は倒れたイサミを見てニヤリと笑った。これで邪魔者はいなくなったな……あとはこいつの首を取るだけだ。しかしまだ息があるようだな。まあ、あれだけの攻撃を受けてまだ生きているとは流石だがこれで終わりだ。俺は剣を振りかぶると一気に振り下ろした……その時、血塗れのイサミが剣を受け止めたのである。
「貴様……まだ生きて!」
「この程度で…死ぬわけがないだろう……」
その目には強い意志を感じた。この男はまだ諦めていないようだな……だが、もう遅いのだ!俺はそのまま剣を押し込み始めると徐々に押し返し始めたのだ。そしてついにジェロームの剣を弾き飛ばすことに成功したのである。
「終わりだ!!」
《天然理心流》
ー無明の位・三段突きー
私が放った渾身の突きは、ジェロームの心臓を貫いたのだった。そしてジェロームは満足した顔をして倒れたのだ……。
「はぁ…はぁ…なんとか終わったか……」
「隊長!ご無事ですか!」
「これくらいかすり傷だ…だが無理をしたな……すまなかっ……」
私は隊士たちに声をかけようとすると急に意識が飛び倒れてしまうのだった……。




