二十六ノ訓
ティナが帰ってから書類整理していた深夜、ヒュースから連絡がきた。
《お嬢様…サツヴァ武国が動きました。国境付近に展開しさらに海上に船影が多数確認されています。それと魔物の大量発生の報告も上がっていますがこれは誰かが使役しているかと》
「分かったわ。報告ありがとう…それとシュタルク伯爵にこのことを伝えておいて」
《かしこまりました》
私はヒュースに指示を出すとすぐに執務に戻った。きっとまた忙しくなるだろうから、今の内にできる限りのことを済ませておかなければならないもの。
* それから数日後……ついに開戦となった。新撰組とシュタルク伯爵の軍は国境付近でサツヴァ武国を迎え打つ形になっているわ。
《ディーノ…準備は良いかしら?》
《ああ、いつでも大丈夫だ。俺…奇兵隊のお披露目はド派手に行くぞ!そっちこそ大丈夫か》
ディーノはいつも通りの様子で答えるけれど……無理をしていないといいのだけれどもね。まあ……彼に心配はいらないだろうけども。私はそれに返すと準備を進めることにするわ。新撰組の皆さんに声をかけておかないとね……彼らの出陣を前に挨拶をすることにしたのよ。
「今回も宜しくお願い致します」
私がそう言うと彼らは深々と礼をするのだった。本当に頼もしいことこの上ないわ。
こうして私達は戦闘配置に付き、いつでも戦闘準備のため高台にある砦に陣を敷くことができるように準備をする。
そして、ついにその時がやってきた。サツヴァ武国の軍船から無数の魔法弾から放たれようとしたとき、海中から魔粒子砲が放たれる。それはサツヴァ武国軍の船を次々と沈めていく。海中から飛沫を上げて出てきたのはラーダたちが製作した魔導戦闘艦【アマテラス】である。その艦長にディーノが乗っているのだ。彼は意気揚々と言う。
《いいか?お前ら!今回は殲滅戦だ。派手にやるぞ!!
俺に敗北はない!
it's party time!
ミサイル全弾発射!!
アンチ魔導弾発射!
目標!サツヴァ武国軍船!!》
その命令により、アマテラスは一斉に攻撃を開始する。それはまさに一方的な蹂躙であった。次々と沈められていくサツヴァ武国の船たち……。そして、ついに敵艦が射程距離内に入ったようだわ。
《全砲門開け!!発射準備完了次第撃て!》
その言葉と共に無数のミサイルが放たれる。それらはサツヴァ武国軍の船に着弾すると大爆発を起こしたのだ……。その光景はまさに地獄絵図のようね……。
《よし、次だ!》
ディーノがそう言うと再びミサイルが放たれる。そしてそれは次々と命中しサツヴァ武国の軍勢を蹂躙していく。
《おい!お前ら!!まだまだこんなもんじゃねえぞ?もっと派手に行こうぜ!! it's full magic!! 全砲門開け! 撃てー!!!》
* * *
一方その頃……シュタルク伯爵軍と新撰組はサツヴァ武国軍の軍が睨み合いとなっている。高台で私とシュタルク伯爵は状況を確認していた。
「敵は魔法師団と歩兵部隊、それと竜騎兵および魔物部隊がいるようです」
「そうか……ではまずは魔物を潰しましょうぞ」
「それなら私が潰します。潰した後直ちに戦場に向かいます」
「それは?」
「見てれば分かります。少し離れてください」
ー解放せよミブロー
左人差し指に嵌めていた指輪が光出して腕に包み込みそこに現れたのは長距離魔導ライフル。
これはラーダたち開発部が製作した魔粒子を弾丸として撃ち出す物である。
それを構えて照準を定め撃った瞬間に……大爆発が起きたのは言うまでもないだろう。
ー竜騎兵隊、全滅ー ー魔物一部部隊、全滅ー
次々と消えていく自軍に動揺する敵陣だが……それでもなんとか持ちこたえようと抗っているようだ。しかしそれも時間の問題であろうことは容易に想像できる。
【ツクヨミ】は火花をあげながら砕け散る。
「シュタルク伯爵…この場は任せます。私は前線に」
「お任せを!このシュタルク、貴殿に遅れをとるわけにはいきませんな!リゼ嬢に遅れをとるなよ!」
砕け散ったツクヨミを捨て私とシュタルク伯爵たちは戦場へと駆けるのだった。




