二十一ノ訓
ある日の事だった。私とサヤノは国王に呼び出されたのだ。何か問題でもあったのだろうか?そう思いつつも王城へと向かったのだった。そして謁見の間へと向かうとそこには陛下の他に宰相や各大臣達が待っていたのだった。
そして全員が揃ったところで陛下が口を開いたのである。
どうやら用件というのは他でもない、今度の夜会にエルダー商会の頭目として参加し「新撰組」を警護として参加させろというものだった。
なんでもエルダー商会の宣伝も兼ねているらしいのだが……正直面倒臭いというのが本音だ。しかし、国王の命令なので断るわけにもいかないだろう。それに陛下にはお世話になっているので断れないのだ。私は渋々了承する事にしたのだった。
そして夜会当日、私とサヤノは新しく作ったドレスを着飾り、新撰組はあたりを警護している。
「新撰組」の隊員は総勢300名にも及ぶ大所帯となっている。ちなみに服装は黒スーツに白手袋をしている。まるでSPのような格好だ。
そして私とサヤノはそれぞれパートナーとしてクラウスとユノが付き添ってくれているのだ。正直心強い限りである。
しばらくすると陛下が登場したようで会場内は一気に静まり返る。国王は壇上に立つと挨拶を始めたのである。
「ようこそお集まりいただき感謝します。今日は存分に楽しんでください」
そんな短い挨拶を済ませ
「では皆様乾杯!」
陛下の合図で皆が一斉に飲み物を飲み干す。そして会場は一気に盛り上がったのである。
「さあ、踊るわよ」
サヤノが私の手を取り踊り始める。音楽に合わせながらステップを踏むその姿はとても美しくまるで妖精のようだったのだ。
私はその姿に見惚れてしまい思わず立ち止まってしまうほどだったのだが……そんな私を見て彼女は微笑んでくれたのだった。その笑顔はとても可愛らしくいつまでも見ていたいとさえ思ってしまったほどだ。しかし……いつまでもそうしているわけにもいかないので再び踊り始めたのである。
「ねえ、私のドレスどうかしら?」
「とても似合っているよ」
「そう……よかったわ」
サヤノは安心した表情を浮かべると再び踊り始めたのだった。そして私達が踊っているとユノが近づいてきて話しかけてきたのだ。
「二人ともお似合いですね」
「ありがとう」
サヤノは嬉しそうに礼を言うとさらに続けたのである。
「今日は楽しんでいってくださいね」
私達はその後もしばらくの間、踊り続けていたのである。すると突然会場の中心で騒ぎが起きてしまったようだ。どうやらご婦人が喉に詰まらせて倒れてしまったようだ。ナタリアさんはいないけれど…私がやるしかない。
近くにあったナイフを喉に詰まらせた婦人の近くまで持っていく。そしてゆっくりと喉を切開し詰まらせた物を取り出していく。すると婦人はすぐに息を吹き返したようだ。
私はすぐに治癒魔法を使い回復させたのである。それから少しして国王が駆けつけてきたのだ。どうやら騒ぎを聞きつけてやってきたらしい。そして婦人の様子を確認していた私に話しかけてきたのである。
「すまないな助かったぞ」
「いえ……当然のことをしたまでです」
「そうか……それにしても見事な手際だな。流石はエルダー商会の会頭は医学の知識もあったのだな。」
そう言って陛下は私の肩を叩いて労ってくれたのだった。その隣にいた宰相も頷いて
「素晴らしい腕前ですな」
「ありがとうございます。ただ……私は医師免許を持っていません。あくまで知識だけですのでご理解ください」
私はそう言って頭を下げる。しかし、陛下は気にも留めていないようで再び話し始めたのだ。
そしてその後も夜会は続いていくのだった。




