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弐の魂

私は王都へと向かう中、馬車の中で本を読んでいた。今読んでいるのは伝記である。

タイトルは「壬生の狼」という題だった。どうやらこの物語は史実を元にしているらしいが、かなり脚色されているようだ。まあ、それは別に構わないのだが、気になる点があったのだ。それは新撰組の隊士たちが全員女性だということであった。しかもみんな美人さんばかりなのだ。これは一体どういうことだろうか? 私が疑問に思っていると御者が話しかけてきた。

「お嬢様……間もなく到着します」

「そう……」

と私は本から目を離さずに答えた。

「あの……お嬢様?」

「何? どうかしたのかしら?」

私は本を読みながら答えると、御者は少し呆れたような表情を浮かべた。そしてため息をつく。どうやら呆れられているらしい。まあ、無理もないけどね。でも気になるんだから仕方ないじゃない! そんなことを考えているうちに馬車が止まったようだ。どうやら目的地に着いたようである。私は本を閉じて馬車を降りるのだった……。

私が王都の士官学校に到着した時はすでに入学式が始まっていた。私は自分の教室である1-Aへと向かったのである。

「すみません遅れました」と私が言いながら教室に入ると、突然視線が集まりざわめき始めたのだ。どうやら私の容姿が珍しいようだ……まあ確かにこの世界では黒髪黒目というのは珍しいのかもしれないけどね。でもここまで見られるとは思わなかった……と思っていると先生が話しかけてきた。

「君がリーゼロッテ君だね? 話は聞いていたよ。災難だったね。私はこのクラスの担任を務めることになったルーファス・マルドゥークという者だ。よろしく頼むよ」と先生は自己紹介をした。

「はい! よろしくお願いします!」と私は笑顔で答えた。すると周りの生徒達がざわつき始めるのを感じたのだ。

どうやら私の笑顔を見て驚いているらしい……ちょっと失礼じゃない?まあ、別に構わないけどね。

それから授業が始まり、屋敷で習った事なのでつまらなかった。寺子屋時代に戻ったみてぇだ

あっという間に昼休みとなった。私は図書室に足を運ぶことにしたのだ。理由は1つはある人を探すためである。私が図書室に入ると目的の人物はすぐに見つかった。

「サノ!」と私はその人の名を呼んだのである。すると彼女は振り返り私の顔を見るなり笑顔になるのだった。そして駆け寄ってきたのだ。

「歳…じゃなかったリーゼロッテちゃんじゃない! お久しぶりね!」と言って私の手を握ったのである。私も握り返すとその温かさを感じたのだった……。

「ほんと久しぶりねサノ」と私は笑顔で答えたのだった……。

「へぇ~ここが図書室か~」と私が呟くとサノが話しかけてきた。

「そうよ! それにここの本は持ち出し禁止だから気をつけてね!それと前世の名前は禁句だ気をつけろ。今の名前はサヤノ・パラディン」

と言ったので私は頷いたのである。

彼女は私の幼なじみであり、王国パラディン騎士団長の娘でもある。

まあ、そんなことはどうでもいいけどね。それよりも今はやらなくてはいけないことがあるのだ……!それは剣術の稽古だ!!

「……ねぇサヤノちょっと手合わせしない?」

「やはり貴方は変わりませんね。」

と言うと彼女は驚いたような表情を浮かべたがすぐに笑顔になり了承してくれたのである。そして私たちは中庭に出たのだ。

「準備はいいかい?」と聞くと彼女は頷き構える。私も彼女と同様に剣を構えた。

そして同時に踏み込み剣を振り下ろしたのだった……

それからしばらく打ち合った後、休憩することにしたのである……。私は水筒を取り出して彼女に差し出す。すると彼女は受け取り飲み始めたのだ。一息ついたところでサヤノが話しかけてきたのである。

どうやら私の剣術の腕前を褒めてくれていたようだ。まあ、確かに前世では新撰組最強と言われたくらいだからね!

まあ、そんなことはどうでもいいんだけどね! それよりも気になることがあるのだ……それは彼女の剣術の腕前だ。これは見定める必要があると思った私は彼女に試合を挑んだのである。もちろん彼女は承諾してくれたわ。そして今に至るという訳なのだ……。

「それにしても強くなったわね……」と彼女が言う。

「ええ……これでも毎日練習してますからね」と言うとサヤノは驚いたような表情を浮かべた後微笑んだのである……。

それから私たちは他愛もない会話をしていたのだった……。

「次の授業はなんだったけ?」

「次はマナー講座ですね。」

「げぇあれ苦手なんだよな。」

「まぁ歳さんには無縁だっものね」

とサヤノが言うと私はムッとする。

「ねぇ今、歳さんって呼んだ?」

「ごめんなさいつい癖で……」と言って彼女は謝った。まあ、別に構わないけどね……と思いながらも少し寂しい気持ちになるのだった……。

そんなやり取りをしながら私たちは教室へと向かうのであった……。

「はぁ……やっと終わったぁ~」と私が机に突っ伏していると誰かが声をかけてきたのである。振り向くとそこにはクラスの男子がいた。確か名前は……

と思い出そうとしていると彼が先に名乗ったのである。

やはり名前を思い出せなかったようだ……まあ、別にいいんだけど!と思いながらも彼の話を聞くことにしたのだ。なんでも私に用があるらしいがなんだろうか?と思っているとその答えはすぐに出たのである。どうやら私と友達になりたいということらしい……まさか向こうから声をかけてくるとは思わなかったけどね!まあ断る理由もないので了承することにしたのであった……。

それからと言うもの、彼とはよく話すようになったのである。彼はとても明るく社交的な性格だったのですぐに打ち解けることができたのだった。ちなみに彼の名はタォン・ナーガ・シエンというらしい……まあ、覚えなくてもいいんだけどね。

そんなある日のこと私はある噂を耳にしたのだ。それは最近王都で連続殺人事件が起こっているというものだったのである……しかも被害者は全て女性なのだとか……。正直言って外道だな思ったのと同時に怒りが込み上げてきたのである。なぜ罪もない女性が殺されなければならないのかと憤りを感じたのだ……だから私は決意したのだ!この事件を解決することをね!! そして早速調査を開始することにしてみたのである!まずは被害者について調べることから始めることにしたのだ。「被害者の名前は……マリア・フォン・エリーゼか……」と呟きながら資料を読んでいく。どうやら年齢は20歳前後で、職業は貴族令嬢らしい……。死因は刺殺による出血死のようだ。凶器は鋭利なものによるものと思われると書かれているが詳細は不明である……。また犯人についても全く手がかりがなく捜査は難航しているそうだ……。

次に私は被害者たちについて詳しく調べることにしてみたのだ!すると驚くべき事実が発覚したのである!!被害者たちに共通する点は袈裟による出血死である。これは人斬りによる犯行だと決めた。この斬り方…見覚えがるこれは示現流による薩摩のやり方に似ている。

私はこのことを父様に報告することにしたのだった……。

父様に報告すると、すぐに捜査を開始することになったのである!さすが父上だ……頼りになるぜ!! まあ、それは置いておいて私は別行動を取ることにしたのだ。なぜならば私にはやることがあったからだ……それは剣術の稽古である!こればっかりはサボるわけにはいかなかったからね!!そして私はいつも通り中庭で素振りをしていたのだがそこにサヤノがやってきたのだった!「今日も精が出ますわね」と言って話しかけてきたのだ。なので私はこう答えたのである。

「当然でしょ? 強くならないと守れないもの……あの時のようにならないために」

とね! するとサヤノは微笑みながら言ったのである。「さすが鬼の副長ですわ!」と……まあ、悪い気はしないんだけどね!!それからしばらく彼女と談笑した後私たちは別れたのだった……。

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