十七ノ訓
商会の打ち合わせを終わらせたあと、エルダー商会へ顔を出すことに。今日はサヤノが対応してくれるらしいので、安心して任せることができる。
そして現在、エルダー商会で商品開発や新商品について打ち合わせを行っていた。
新商品については、実は現在2種類程開発している。
1つ目は最近王都で流行っている小説“光と闇の魔法師”を元にして作った《マジカルキャンディー》だ。これは、子供向けのお菓子として売り出す予定であり、その味も3種類用意する予定である。
……まあ、このキャンディーに関してはサヤノに一任しているんだけれどもね。
そしてもう1つは、チョコレートを練り込んだクッキーやケーキなどのお菓子だ。
これは、エルダー商会で製菓部門を立ち上げた際に試作している商品である。クッキーやケーキは前世でも色々な種類が出ていたし、この商会が取り扱うのにはもってこいな商品だろうと思い、商品開発に踏み切った。
今現在売れ筋商品はチョコレートを練り込んだものらしいので、その味も3種類用意する予定だ。
……まあ、これもサヤノに一任してるんだけどね。私は基本的に売り方とか宣伝方法を考えるのがお仕事です。
ちなみに、この2つに関しては既に試作品が完成しており、サヤノの監修の下、商品開発部門が製造している。
そして今現在、その2つの味をエルダー商会で販売しているのだが……これが大好評なのだ。
まあね、チョコレートは貴族様にも人気なお菓子だし、それを練り込んだクッキーやケーキなんて美味しいに決まっている。それに、子供から大人まで幅広い層に受けているし……これは売れるわ。
でも、まだまだこれから。
製造ラインは確立したけれども、量産体制にはもう少し時間がかかるだろうからね……まあ、現状でも売れ行きは順調なのでこのまま売り続けていくことに。
そんなこんなで、私は商品開発に関する仕事をサヤノに一任し、次の仕事へと移るのであった。
◆◇◆◇◆◇
次の日…久しく休暇を取っていなかったので休むことにした。私は慣れ親しんだ新撰組時代に着ていた服装になり冒険者ギルドへと向かった。私のランクはBである。Bランクは、ベテランくらいに位置する。
冒険者ギルドの扉を開くと、相変わらずの喧騒が聞こえてくる。この騒がしさも新撰組時代を思い出してどこか懐かしい気持ちになってしまう。
ハジメと喧嘩したり、オヤジにぶたりたり…
さてと……今日はどんな依頼があるかなっと。私は依頼書が張り出されている掲示板へと足を運んだ。すると、私を見つけた冒険者達が声をかけてくる。
どうやら、私とパーティを組めないかと声をかけてくれるようだ。
でも、私は基本的にソロで活動しているからなあ……と断ろうとしたその時だった。
「おい!それ…懐かしいな。その羽織……新撰組か?」
私に声をかけてきたのは、ごついおっさんだった。昔も今も厳つい人には中々お目にかかれないなあと思いつつも私はその男に返答する。
「はい。それであなたは?」
「おお! 失礼した俺はイサミ・クロードフェール。Bランクだ」
「私はリゼ・B・エルダー。Bランクです」
Bランク同士なら、問題ないだろうと思い私はイサミさんのパーティに同行することにした。
「しかし、新撰組の羽織か……懐かしいな」
「懐かしいとは?」
「俺は昔…いや前世というべきか?新撰組に所属していたからな」
「え!?」
新撰組に所属していた? まさかの同郷である。私は驚きを隠せなかった。
「そして私はある人の夢の為に自ら投降して……斬首された。そして気づいたらこの世界に生まれた。」
「ん?夢のために自ら投降して……斬首された?それって…まさか…オヤジ!」
「その呼び方…まさか歳さんか!奇遇だな歳さん」
まさか、オヤジがこの世界に転生していたとは……。私は驚きを隠せなかった。
「しかし、歳さんは女になっていたのか……」
「ああ、まあな。不便だが慣れればなんともないわ。」
「私が死んだ後新撰組はどうなった?」
「ああ……オヤジの死んだ後、源さんと左之助は死んで新八とハジメは生き残ったと思う。
榎本さんと大鳥さんと一緒に戦った。俺たちは蝦夷地までいって…最終的には俺は新政府軍との戦いで銃弾によって死んだ。」
「新政府軍の銃弾に撃たれて死んだのか…まさか、歳さんの死因が銃弾だったとは……」
「まぁいいじゃねぇか今があるんだし…それとよ今の依頼が終わったら私と一緒に戦ってくれるか?」
「ああ、勿論。」
私たちは依頼場所である森へと向かった。
「オヤジこの先にオークの群れがいる!」
「そうか」
「先に行くぜ!」
《天剣一刀流 三ノ太刀》【虚狼天翔】
私は、オークの群れへと切り込んでいった。
「歳…リゼに負けてられないな。俺も行くぞ!」
イサミも自慢の剛力でオークを倒して行った。
◆◇◆◇◆◇
そして私たちは、依頼にあったオークの群れを退治した。この森はエルダー商会の素材採取場として利用しており、定期的に魔物や魔獣が入らないように管理している。
しかし、今回はその管理を怠ったようだ。まあ、それは仕方ないことだけど……。でも今後は気をつけるようにとギルドに報告する必要がありそうだ。
戻ろうとした時、空から何かが飛来してきた。
それは……ワイバーンの群れだった。それもかなりの数だ。私は急いでオヤジの元へと戻ったが、既にオヤジは戦闘態勢に入っていた。
そして、私たちはワイバーンの群れに戦いを挑んだのだった。
◆◇◆◇◆◇
それから2時間後、私たちはワイバーンの群れを退治したがまだ飛んでいる。しかし……その数は50を超えていただろう。これは依頼の域を超えている状況である。
「オヤジ!手っ取り早く終わらす!」
《スキル》【鬼ノ威圧】
私は、ワイバーンの群れに威圧を放った。しかし……あまり効いていないようだ。それもそのはず……私が使ったのは普通の威圧ではない。魔力と妖力を練り込んだ強力な威圧だからだ。
「オヤジ!トドメは任せたぜ!」
「おうよ!」
オヤジは刀を構えて、スキルを発動させる準備をする。そして私もまた刀を鞘から抜いた。そして構えを取る。
《天然理心流剣術 奥義》【天龍】
私は、刀を振り抜きワイバーンの群れを真っ二つに切り裂いた。そしてオヤジは……スキルを発動させた。
《スキル》【剛力】【剛腕】
「長曽祢虎徹の切れ味とくと味わえ!秘技」
《天然理心流剣術…秘奥義》【神威】
その瞬間、オヤジの周囲の空間が歪み始める。そして……次の瞬間にはもう既にワイバーンの群れは消滅していたのだった。
私は、オヤジに駆け寄る。オヤジは体力を消耗しているようだ。
「さすがはオヤジだ。良い技だった」
そう言って、私はオヤジに手を伸ばしたのだった。
◆◇◆◇◆◇
後日……私たちはギルドへと足を運んだ。そして今回の依頼について報告をするのと同時に、ワイバーンの群れが飛来してきたことに関しての報告もしたのだった。
すると……ギルドマスターからとんでもないことを言われたのである。それは……
ワイバーンの群れは、何者かによって操られていたということであった。しかもその犯人はまだ捕まっていないらしいのだ。
しかし……なぜそんなことをするのだろうか考えても仕方がない。
私は屋敷に戻った後、サヤノとクラウスにオヤジを紹介したところ涙ならがに喜んだ。
そしてオヤジを騎士団【新撰組】の指南役として雇うことになった。
◆◇◆◇◆◇




