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十六ノ訓

ある日のこと、私は執務室にて書類仕事に追われていた。

もっとも、商会の規模が拡大すれば拡大するほど、当然のことながら私の仕事量は増えていく。

徐々に従業員の人数も増やしているし、権限も可能な限り与えてはいるのだけれども、どれもこれも稼働してから1年も経っていないものばかりで、まだまだ私も直接携わっておきたいのだから仕方ない。…健康には気をつけねば。


「……お嬢様」

「あら、セバス。どうしたの?」

「それが、奥様が午後にお帰りになられるとの知らせがございまして…」

「え?お母様が?この前の手紙にそんなこと一言もそんなこと書いてなかったのに…」

「兎も角、ご指示を」

「そ、そうよね。とりあえず、使用人達に玄関周りとダイニングルーム、それからお母様のお部屋の清掃をさせて。普段から綺麗にしてくれてるけれども、改めて。あとは…料理はデザートに新商品であるチーズケーキをお出ししようと思うから、それに合うように献立を立ててちょうだい。チーズケーキが良いわね」

「畏まりました」


「それから、お茶はハーブティーをお出ししましょう。詳しくはエルダー商会の喫茶部門の面々が知っているから、そこで聞いて」


そのため、現在チョコレートでは喫茶部門と製菓部門というように分かれている。

あ、でも貴族様ってのは特別対応大好きだし。会員制にしてみたら、会員になりたいという希望が出るわ出るわで嬉しい悲鳴があがってる。

その会員となると、王都と領都にある専用の店に来店できる資格を得る。そこでは、我が商会が扱う商品“全て”を見ていただくことができるという仕組み。

つまり、製菓に限らず最近取り扱いを開始した美容製品もね。美容製品だと、お好みの香料で香り付けしたオリジナル美容液等々が売れ筋。製菓も注文対応しているし、その場で食べれるよう別ブースで喫茶店も併設してある。


…そんなことより、お母様が来るならスケジュール空けなきゃ。と我に返り、スケジュールの確認。最近サヤノが私の秘書と化している。本当にありがたい。

そして、何とかスケジュールを調整してお母様の帰りを待つ。あえて言うのならば、ごめん…皆。皆の負担が大変なことになってしまって本当に申し訳ないので、到着したという知らせがくるまで細々とした事務を行う。数字の確認とかね。



「奥様がご到着されました」

「ありがとう、セバス」


私も早速玄関に向かう。おお、廊下もいつも以上にピカピカ輝いているわね。


「お帰りなさいませ、奥様」


主だった使用人と共にお母様のお出迎え。


「おかえりなさい、お母様」


扉の方から現れたのは、ダークブラウンの髪が輝く絶世の美女。ああ、我がお母様ながら本当に美しい……。社交界の華と呼ばれるお母様は、今尚貴族の中でも憧れの存在であり、社交界で多大な発言力を有する。…それもあって、エルダー商会の宣伝部長としてこれ以上ない方なのだけど。


「ただいま帰ったわー。突然ごめんね、リゼちゃん」


性格は温厚。家族に向けてはこんな喋り方だけど、勿論外では全然違いますよ。なんて言ったって社交界の華…完璧な貴婦人と称されていますから。


「いえ、私もお母様に久しぶりに会えて嬉しいです」


「まあ、可愛いこと言ってくれちゃって。でも、リゼちゃんがこっちに来る時ゆっくりとお話できなかったから、本当に嬉しいわ」

「でも、良かったのですか?まだシーズン中ですよね?」

「大丈夫よー。公式行事は全部終わったし、仲の良いお友達には知らせてあるし……ああ、そういえば文武大臣の奥様からお茶会のお知らせがあったけど、行く気ないしねえ」


……お母様、流石です…と思いつつも、口にはしない。きっと今頃、文武大臣の家の人たちのお顔は真っ青になっているだろうなあ…。なんて、思ったり。

なにせ、お母様が出席するのとしないのとでは、その催し物の格が変わると言われている程である。

正直そこまで?と思わなくもないが、これが本当のこと。公式行事は別として、各家が催す催し物は“どのような人物を集めることができるのか”で格が変わる。で、社交界の華と言われているお母様が出るのと出ないのでは、大きく差がある訳だ。

お母様があんまり早いタイミングで帰られるのが続くと、センスがないわねっとなってしまうのだと。

夜会だとか茶会って夫人の力量が試される訳で…王家の催し物だって、公式なものでなければ王妃の力量が試される場なのです。出席さえすれば、失礼に当たらないし。

本当、お母様って存在自体がチートなのよ。


「まぁ、リゼちゃん。もう仕事をしているの?」


朝方、私が書斎で仕事をしているとひょっこりお母様が顔を出された。


「お母様ごめんなさい。朝食のお時間でしたわね」


「良いのよ、気にしなくて。それより、リゼちゃんの体調の方が心配だわ」


「大丈夫です。生まれてこの身体倒れたことはありませんし。それに、結構楽しんでいるのですよ」


「そう?それなら良いけど…」


「もし宜しければ、朝食を先に食べてください。私はもう少しかかりそうですし。今日は和食で私が作りました」


本当はもっと仕事を終わらせて、皆と一緒に食べるつもりだったのだけれども。まあ、こういうこともあるさ……でも、お母様が私の分の朝食を持って来てくれたのは嬉しかったなあ。

今世の私はまだこの身体になってから一度も倒れてないからね。今はもう18歳だし、倒れるなんて心配し過ぎだよ。前世の方がブラックだったわ。

さてと、今日の予定を確認っと。今日は午前中に書類の確認と商会の打ち合わせ、午後からエルダー商会に顔を出す予定になっている。

王都にある支店は現状、大きく3つの部門に分かれている。

1つ目は美容部門。これは我が家お抱えの商人が切り盛りしている部門で、貴族様御用達の高級化粧品を中心に取り扱っている部門である。

この部門で取り扱う商品は全て最高級品質のものしか扱いませんし、我が社のロイヤルカスタマーでもあります。

2つ目は製菓部門だ。こちらは私が立ち上げて、サヤノに一任している部門である。

製菓部門は、エルダー商会の喫茶部門と合同で運営しており、現在王都にある支店には喫茶部門が併設してある。

この部門の商品はチョコレートがメインだけれども、他にもクッキーやケーキなどを取り扱っている。

3つ目は化粧品部門。こちらは貴族の奥様方に大人気の部門であり、我が社のロイヤルカスタマーでもある。

……まあ、お察しの通りですね。お母様が立ち上げた部門です。

私はもう既に化粧品部門はお母様に任せているので、基本的に私の仕事は製菓部門の雑務処理くらいである。……あとはお客様の対応かな? 何はともあれ、午後の仕事に取り掛かる前に私は昼食を食べに行くことにしました。


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