十四ノ訓
サヤノは隊を率いて槍を振り回しながら呟く。
「やっぱこの槍使うとなんか調子がいいな……」
その言葉を聞いたリーゼロッテは、そりゃそうだろと思いながらもサヤノのサポートをするのだった。
「報告!リーゼロッテ様前線を突破してさらに進軍!」
「さすがはリーゼロッテ様!!」
「俺達も負けてられないぞ!」
そしてそのまま本陣まで到達し、王国軍本隊と激突する。
「くっ……中々やるな…ただの小娘かと思っていたが…」
流石はエルテニア領の私兵だ。連携が取れていて隙が無いのである。しかし、リーゼロッテの軍略により徐々に押され始める。
そして遂に王国軍の本陣が姿を現したのだ!
「今だっ!!総員突撃っ!!!」
その指揮者の掛け声と共に一斉に攻撃を仕掛ける。するとリーゼロッテはニヤリと笑ってこう呟いたのである。
「これで終わりだ……」と指揮者の首を刎ねると血塗れの顔を見て逃げ出した。
一方その頃アウルム王国軍では、国王であるアルゼイが高笑いをしていたのだった。
《ククッ!まさかここまで上手くいくとはな!!》
そう……この戦いは最初から仕組まれたものだったのだ。つまり最初から負ける事を前提とされていたのであった。その為、この戦争に勝っても負けても良いように作戦を立てていたのだ。しかし、あの小娘だけは予想外だったようだがな。
そう思いながら国王はニヤリと笑うのだった。
《まあよい!これでエルテニア領も手に入る事だろうからな!》 そう考えていたその時だった。突然背後から声をかけられたのである。
振り向くとそこにはなんと総大将であるリーゼロッテがいたのだ。
突然の事に驚いた国王だったが、すぐに冷静さを取り戻してこう聞いたのだ。何故ここにリーゼロッテがいるのか?と……すると彼女はこう答えたのである。
「簡単な事だ。貴様が喧嘩を売ったから私が買ったんだ。つまり、今アウルム王国は私によって滅ぼされたという事だ!!」
その言葉を聞き国王の顔色が変わったのだった。しかし、すぐに冷静さを取り戻してリーゼロッテにこう告げたのだ。
「ふ……ふざけるなっ!!たかだか小娘一人の言葉で国が滅びる筈が無いだろうが!」
するとリーゼロッテはニヤリと笑い、こう言ったのである。
「ならばその身を持って知るが良いさ!私の力によってね。」
次の瞬間、リゼの背後から異様な剣圧を感じて避けると、そこに立っていたのは無表情の隻眼剣士が立っていた。そう……クラグ・リューンである。
彼は剣を構えるとそのまま私に向かって斬りかかって来たのである。
私は咄嗟に刀を取り出して受け止めると、そのまま鍔迫り合いになる。
しかし、私が力で押し返すとクラグはそのまま後ろに飛んで距離を取ったのだ。そして再び私に攻撃を仕掛けてくるがそれを全て避けていくうちに段々と楽しくなってきたのだった。
「へぇ……中々やるじゃないか?」
「そちらこそ…。」
そう呟くと同時に今度は私から仕掛けたのだ!一気に距離を詰めて刀を振り下ろす。するとクラグはそれを受け止めようとしたのだがその右手には剣がなく、左手に持ち替えて私の一撃を受け止めたのだ。そしてそのまま押し返そうとしてきた為、私も負けじと力を入れる。
すると次の瞬間にクラグは私を蹴り飛ばし距離を取らせたのだ。しかし私はすぐに体勢を整え再び彼に攻撃を仕掛けようとしたのだが、突然地面から手が生えてきて足を掴まれたのである!
「なっ!?」
驚いているうちにどんどんと地面の中へ引き摺り込まれていくではないか!!
《天剣一刀流秘剣三式》
【鬼蜘蛛ノ牙】
私は咄嗟に刀を振り抜くと、地面から現れた腕は真っ二つに斬ったのだ。どうやらこれが奴のスキルのようだね……ならばこちらも本気で行かせてもらおうじゃないか!
《スキル発動》【天眼ノ神速】
次の瞬間にはクラグの背後に立っておりそのまま刀を振り下ろすのだがそれを受け止められてしまい鍔迫り合いになるが力では私が勝っていた為押し返して斬りかかるも避けられてしまう。しかし今度は私の背後から手が伸びてくる。
《天剣一刀流拾ノ太刀》 【虚狼天閃】
私は振り向きざまに刀を振ると、その一撃は見事にクラグを捉えた。しかし致命傷には至らず、少し傷をつけた程度であった。そしてそのまま追撃を仕掛けようとしたのだが突然地面から手が生えてきた。
「芸のない攻撃だ!」
《天剣一刀流拾壱ノ太刀》 【虚狼蜻蛉】
私は地面から現れた腕ごと切断したのである。するとクラグは苦痛に表情を歪めながらも私を睨みつけてきたのだ。そしてそのまま私に向かって攻撃を仕掛けてくるがそれを全て避けていくうちに段々と楽しくなってきたのである!
「へぇ……中々やるじゃないか?」
「小娘もな!」
そう呟くと同時に今度は私から仕掛けたのだ!虚狼で一気に距離を詰めて刀を振り下ろす。
何度も
斬りかかり、少しずつクラグにダメージを与えていく。そして遂には致命傷を与えたのだ!
「はぁ……はぁ……」
と荒い息づかいをしている私に対して、クラグは余裕そうな笑みを浮かべているのだった。
《天剣一刀流拾弐ノ太刀》
【虚狼月華】
私は大きく振りかぶると一気に振り下ろす。その瞬間、まるで三日月のような形の衝撃波が放たれたのである!!それをまともに喰らってしまったクラグはそのまま地面に倒れ伏したのだった。
しかしまだ息があるようで、私の足を掴みながらこう言ってきたのだ。
「小娘……いやリゼよ……貴様はいずれ世界を滅ぼすぞ?」と……
私はその言葉を聞いて思わず鼻で笑ってしまったのだ。そしてこう答えたのである。
私は気絶したクラグを地面に寝かせると、そのまま立ち去っていくのだった。
《【賢き者】は【全知全能】へとスキルが進化しました。》
いまはスキルが進化したのはどうでもいい。この戦争を終わりにしないと。
私は震えている王に刀を向ける。
「逃げるなよ?さぁどうする降参するか?それとも死を選ぶか?好きな方を選べ」
しかし国王は口を開かずただ震えているだけだ。私は呆れたようにため息をついて、剣を振り上げるのだった。
そして次の瞬間には王の首が飛び鮮血が噴き出て散っていく。その光景を見ていた周りの兵士たち達は悲鳴を上げながら逃げ出していく。中には勇敢に立ち向かう者もいたのだが、私の敵ではなかったのである。
こうして戦争は終結したのであった。
その後アウルム王国軍は解体され、各領地へと散らばる事となったのだ。
私は【戦場の鬼姫】と呼ばれて恐れられるようになったが、そんな事はどうでも良かったのである。ただみんなが無事ならそれでいいと思っていたのだから……
被害は死者3名…負傷者50名と喜べないが勝利には違いない。




