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一三ノ訓

さて、銀行設立から2ヶ月が経った。公共事業第一弾である道路整備は稼働を始め、着実に整えられている。

銀行にも、まずは商会の者たちが商会名義で口座を作り、預金していった。するとその商会に関係する者が個人で口座を作り、都市部では大分銀行の存在感も大きくなってきた。それに伴い、みんなも忙しそうにしている。課題としては、どう都市以外にも広げていくか…なのよね。

学園建設は資金も無事溜まり、現在建設中。出来上がればすぐに稼働させる予定だ。とはいえ、高等部を優先的に建設させているから、初等部に領民の子供達全員が通えるようになるまでは、まだまだ道のりは遠い。


私の仕事は減ることはなく、寧ろ増えていく一方だ。

その時ヒュースから通信が来た。


《お嬢…隣国のアウルム王国から軍が国境付近で確認された模様です。それは王がこの領を奪いたいそうです。》

《そう…なら準備しないとね。》

《……。》

《楽しい喧嘩になりそうね。》

そこまで聞いたところで、私は通信を切った。そしてすぐさまクラウスを呼び出しをかけるよう伝えたのだった。


《突然どうしたというのです?》

《ヒュースからの緊急連絡よ。隣国アウルム王国が攻めて来るかもしれないとの事だそうなのです!だからすぐに戻ってきて頂戴!!》

《なんですって!?それは本当ですか?!》

《ええ。間違いありませんわ!今も衛兵たちからの報告を聞いているところですもの!!》


私がそう答えると彼は少しだけ沈黙し口角を上げる。


《分かりました。すぐに戻ります。》

そして通信が切れたのだった。……どうやらやる気を出してくれたみたいね?しかし、こうもタイミング良く隣国から戦争を仕掛けてくるなんてね?まあでも、こちらとしては好都合だわ!だってこれで堂々とアウルム王国に宣戦布告が出来るもの!!

私は早速、各部署の責任者を集め会議を開いた。

まず初めにヒュースからの連絡を皆に伝えたのである。すると皆は驚きつつもどこか納得している様子だったわ。それはそうよね?だってこの領地はおかしくも発展し過ぎている為喉から手が出るほどだ。


「おそらく状況をみるに2日後…アウルム王国軍は攻めてくるでしょう。」


私の言葉に皆の表情が強ばる。そして私の次の言葉を待っていたのだ。しかし、私はニヤリと笑ってこう告げたのだった。

さあ……楽しい戦争の始まりだ!!

****

 ***

クラウスとヒュースを呼び出し、会議が始まった。

まず最初に私が口を開く。

「さて、2人ともよく来てくれたわ!早速だけど本題に入りますわよ?」

「はい。それでどのような作戦なのでしょうか?まさかとは思いますが……」

クラウスの言葉に私は小さく頷く。そして再び口を開いたのだった。


「私も前線に立つ。久しぶりの喧嘩だ。血が滾ってしょうがねぇんだよ。」


その顔は公爵令嬢リーゼロッテではなく幕末の新撰組副長土方歳三としての顔だった。

それを聞いたクラウスとヒュースは目を見開き震えた。

そしてそれと同時に2人はニヤリと笑い始めたのである。

そしてクラウスが口を開いたのだ。


そう……この場にいる全員が、新たな戦いに胸を踊らせていたのである。

ちなみに、この時の私はまだ知らなかったのでした。このアウルム王国の軍が攻めてきた本当の理由というものを……。しかし、その事を知るのはもう少し後になってからなのであった。


二日後…国境の丘に展開している新撰組は王国軍と睨み合いをしている。


「作戦だが、八番隊とサヤノの隊は左右に展開するように!一番隊、三番隊は私と一緒に正面突破で敵陣へ突っ込むんだ!!四番隊、五番隊は王国軍の背後を取り強襲せよ!二番隊、六番隊は国境線を越えたもの迎撃せよ!七番隊は救護にあたって!指示は各自隊長に従え!いいな!全隊戦闘開始!」

「はいっ!!!」

「ヒュース…隠密部隊は状況に応じて動け!」

こうしてアウルム王国軍との戦闘の火蓋が切って落とされたのだ。私は最前線に立ち指示を出す。


《スキル》【鬼ノ号令】【新撰組ノ絆】【誠ノ魂】【鬼神ノ軍略】

獲得しました。

さぁ土方歳三としての軍略を見せてやりましょうか。

ね? アウルム王国とエルテニア領の戦争が始まった。その様子を遠く離れた場所で観察する者の姿があった。それは、アウルム王国の王であるアルゼイ・ユル・アウルムだ。彼はニマニマと笑いこう呟くのだった。

《こんな形であの領を手に入れる事が出来るとはな!それにこの兵力差ならば楽勝だろう!》

そう……王は初めからエルテニア領を手に入れるために、わざとその気にさせるような事を言ったのである。そうとも知らずに王国軍はどんどん攻め込んで行く。しかし……それを率いるものは、ただの領主の私兵にすぎないのだ。負ける筈など無いと思っていたもののその圧倒的な兵力差に為す術もなく敗走する事になるのだった。

そんな中で一人だけ平然と佇む者がいた。その人物とはリーゼロッテ・B・エルダーであった。彼女は鋭い眼光を向けながら刀を抜いて1人を抜刀する。


そして一言こう呟いたのである。

「弱い……弱過ぎるぞ?もっと私を楽しませろ!」

その言葉を聞いた王国軍の兵士たちは震え上がった。それもそのはず、相手はたかだか一人の少女なのだ。それなのに何故こんなにも恐ろしいと感じるのだろうか?それに彼女の持つ剣からは異様な雰囲気を感じるのだ。まるでこの世のものではないような禍々しいものを……

そう考えている間にも次々と仲間が倒れていくではないか!一体どう言う事だと混乱していると、リーゼロッテがニヤリと笑う。

「さぁ作戦開始だ!」

その言葉で姿を消すスキルで展開していた各部隊が動き出す。


そして、王国軍の背後を取り強襲する。

「な、なんだこれは!?」

突然の出来事に動揺していると、リーゼロッテが目の前に現れたのである。


「よう?お前らの大将はどこだ?」


と聞いてくる彼女に思わず後退りする兵士たちだったが、すぐに冷静さを取り戻してこう答えたのだ。

「誰が貴様のような下等生物に教えるものか!」

するとリーゼロッテはニヤリと笑い、

「そうかい……なら死ね!」

と言い放つと同時に刀を振り下ろす。すると次の瞬間には王国軍の兵士たちの首が飛んでいたのだ。その光景を見た他の兵士たちは恐怖で動けなくなる。そして次々と殺されていくのだった。



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