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十一ノ訓

そんなことがあってから1ヶ月程が経ち銀行設立に向けて奔走した。建物の確保、備品の確保…相変わらず、やることは山ほどあった。そして、約束の会合の日がきた。 指定された場所は、エルダー公爵領支部商業ギルドの本部。メラドに会った時も思ったけれども、相変わらず重々しい内装に威圧されるわ。


「………さて、皆さん。本日は忙しい最中お集まりいただき誠にありがとうございます」


まずは、私からの挨拶。ここにいるメンバーはそれこそ1秒1秒のスケジュールがビッチリ埋まっているのだから、本当に今日ここに集まって貰えて感謝。


「いやいや。私どもとしても、ここ最近話題の商会の会頭である貴方にお会いできることを、楽しみにしておりましたぞ」


ギラリと光る鋭い眼光。さ、流石…迫力満点だわ。


「今日はエルダー商会としてではなく、このエルテニア領主としてお話があります。」


私のその言葉を皮切りに、その場の空気が一気に引き締まった。

恐らく今回の話は商会内でもトップシークレットなのだろう。会合を開くのも大変だったようだ。

そんな彼らに向けて私はこう告げるのであった。

やっとのことで会議場を確保したものの……またしても此処か。まあ仕方ないんだけれどもね?だってエルダー公爵領の商業ギルドは本部だし、他の支部に話を通してもらうにはこの方が手っ取り早いし。それに、今回は貴族が相手だもの。下手な人では対応出来ないわ。

とはいえ、今回に関しては私がいるからということでそこまで酷いことにはならないと思うけれども……。

そして、話は冒頭へと戻るのであった。

まず最初に私はこう切り出すことにした。


「ほう…領主様としてですか」

「ええ。でなければ、皆様をお集めすることなんて、できませんわ。我が商会は未だ新参者ですし」

「ご謙遜を。その活躍はよく耳にしております」

「まあ……お褒めの言葉として、受け取らせていただきますわ。それで、今日の用件なのですけれども…」


ピシリと空気が一瞬凍った。


「まず、我が領に銀行を設立致しました。是非、皆様にもご利用いただきたいですわ」

「……銀行、ですか?」

「ええ」

「失礼ですが、それははじめて聞きますな?」

と一人が疑問の声を上げる。

私はそれに対してこう答えるのであった。

まず銀行とは何か?から説明しなくてはならない。

私は手短に自分の前世の世界にあったものについて説明した。そして、その仕組みについてもある程度簡単には説明していったのだった。すると……

やはりというかなんというか……反応は芳しくなかった。まあそれもそうか。だって、この文明レベルだもの。いきなり銀行と言われても分からないだろう。しかし、これは言わばお金の貸し借りをするシステムなのだというと、興味を示す人たちも出てきた。

そうしてある程度話が進んだところで私は本題を切り出した。

これからこの大陸に……というかエルダー公爵領全土に支店を展開していくつもりであることをだ。そしてそれには資金を融資していただける方が必要なのである。その目的の為に集まって貰ったのだから。

私の説明に彼らは皆、興味深げに聞き入っているのがわかる。しかし、反応が芳しくないのもまた事実であった。何故かって?そりゃあね……銀行というものが今までないのだもの……


「リーゼロッテ様は、銀行をこのエルダー公爵領およびエルテニア領に展開したいと仰られるが……しかし、それは難しいのでは?」

「ええ。確かにそうですわね」

「まず第一に資金ですぞ。その資金を一体どうするのです?まさか、商会で出す訳にもいくまいし……」

「ええ。ですので、融資していただきたいのです」

「はて……?融資とは一体……?」

私は彼らにも分かるように説明をする。すると彼らは納得したようで頷くのだった。

「なるほど……つまりは、融資と言う形で資金を調達したいと仰られるのですな?」

「ええ。その通りですわ。」


すると彼らは考え込んでしまう。まあ、いきなりそんな提案されても困るよね……と思いつつ私は話を続けることにしたのだ。


「そもそも銀行とは、お金を貸したり借りたりできる場所のことですわ。」

「ふむ……しかしそれは分かるが……」

「それにこの大陸には未だその概念がありませんもの。なので、まずはエルダー公爵領から展開していきたいと考えておりますの。」

「……つまり、どういうことです?」

「ですから、まずはこのエルテニア領にて銀行を展開させていただきたいのです。その後、他の地域にも支店を展開するつもりですわ」

と私は答えたのだった。しかし……そうは言っても資金がないのである。その事を告げると彼らはなんとも言えない顔をする。

そこで私は切り出すことにした。


「それでですね。皆様には融資して頂けないでしょうか?もちろん利子は発生致しませんが……」

「……なるほど。ですが、本当にそれは安全なのでしょうか。大切な資金を預けるのです。危険があってはならない。」

「勿論、我が家の庇護下に置くのです。配備する騎士団…新撰組の質は良いということを言っておきましょう。逆に不正を行うようであれば、その牙は勿論犯人に向きますので悪しからず。」

「ふむ。その交換条件として、私たちに何を求めるのですか?」

「銀行設立に関しては、何も求めるものなどないですよ。我が領のお金の廻りが良くなればそれが一番なのですから。あ、ですが商業ギルドには今まで資金部に務めていた人たちを銀行にヘッドハンティングさせて貰ってよろしいですか?覚えることが沢山あるでしょうが、その分給料も弾みますし。」


と私が言うと、彼らは笑った。そしてこう告げるのだ。

……いいよって。流石は大手ギルドである。話が早いわ。

こうして私は、エルダー公爵領に銀行を設立することに成功したのであった。しかし、まだ始まったばかりなのだけれどもね?これからが本番よ!頑張るぞー!! そんな決意を新たにしたのだった。

さて、銀行の設立の目処がたったところで次は本題にいきましょうか。

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