拾ノ訓
ある日のこと。いつものようにクラウスと、別件で相談していた時のこと。彼がふと思い出したように尋ねてきたのだった。
「リゼ、貴方の命を狙う輩はどうなったのです?」
と。私の命を狙う輩……即ち、あの暗殺者のことである。私はその質問にこう答えた。
「ええ、それならもう心配ないわ。返り討ちにして仲間にしたもの。」
「え?」
すると彼は驚愕に目を見開く。その反応がちょっと面白かったので私は思わず笑ってしまったのだった。
「何を笑っているのですか?」
「だって、貴方がそんな驚くなんて……珍しいんだもの」
と私が言うと彼は少しムッとした表情になる。
「私だって驚きますよ……それに、貴方の命を狙う輩は相当手練れだったはずです。それをどうやって……」
「それはいいでしょ?まぁその暗殺者を見たいなら呼びましょうか?丁度今来ているはずだし……」
と私が言うと彼は顔を顰める。
「結構です……というか、本当にいるんですか?」
「ええ。というか貴方の後ろにいるわよ?」
「……は?」
「お久しぶりでございます。山南さん…私です山崎丞です。今はヒュース・エコーズって名前ですが。」
そう……彼は新撰組の監察方を務めた彼の登場にクラウスは目を瞬かせる。
「これは……どういうことです?何でここに?」
と尋ねる彼に山崎君…ヒュースはにっこり笑う。
「実はですね、リゼお嬢さまを狙っていた私は返り討ちにあって、前世の記憶を思い出さされましてね。雇い主を殺した後そのまま雇用されたという感じです」
「なるほど、そういうことでしたか……」
「ヒュースには我が御庭番衆の筆頭を務めてもらっているわ。そしてスキル【密偵】【変装】【分身体】を授けたわ。さらにエクストラスキルとして、敵のスキルをコピー出来るエクストラスキル……《能力複製》を持たせているわ。これで万が一にも彼に負けたとしても大丈夫なはずよ」
私が山崎君の説明をすると彼は頷く。
というかヒュースって凄いよね…
「ヒュース早速で悪いんだけど…分身体を使って各国の動きを監視してくれるかしら?何かあればすぐに連絡を頂戴」
と私が言うと彼は頷く。
すると彼はそのまま消えてしまったのであった。
ちなみに、あのヒュースも分身体である。本体は王国にいるのである。
「それはそうとリゼ…なんだかあの頃の人たちが続々来ているようなんですが…気のせいですか?」
「気のせいではないわよ?人斬り田中新兵衛に山南さんそれに左之助、幕末の人たちが集まっているような気がするの…もしかしたら、他にも来ているのかしら?」
そう呟く私にクラウスは何やら言いたげな目をしている。すると……
「まぁ気にしている場合でもないわ?まずはこの領をどうするかしか頭にないもの」
と私は笑うのだった。




