表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴブリンでも勇者になれますか?  作者: 結生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/43

俺が証明するんだ

 星暦二〇二五年一月四日。


 カルデネ洞窟での一件から二日経った今日。またしても私の元に一通の手紙が届いていた。

 その送り主は先日と同じお父様からのものだった。

 内容は縁談が本決まりしたとのこと。そして、顔合わせは来週とのこと。



「長いようで短かったな~。私の騎士団生活」



 悔いが残るかと言われたらそうでもない。

 というか、入ってまだ四日目ってマジ?

 アルケ村やカルデネ洞窟のことがあって、もう一生分の仕事をしたのではないのか?

 って言っても私が何かをしたかと問われれば、……思いのほか何もしてなかった。

 ひたすらツッコんだり文句言ったりばっかりだった気がする。

 なんにしてもこことはもうすぐおさらばすることになるだろう。

 私が何を言ったとしてもお父様が意見を変えることなんてないのだから。

 そう私が何かを諦めようとした時、ふと頭にゼルとヘイヴィアの顔が思い浮かんだ。

 あの二人にはちゃんとなりたいものがあるんだよね……。



「ん、何考えてんだろう。忘れよ忘れよ。さてと、とりあず、着替えましょうか」



 寝巻から着替える為にクローゼットに手を駆けようとしたその瞬間。



「おう、マナ。起きてるか!」

「きゃああああああ!!! 何勝手に入ってきてるの!?」



 何の前触れもなく部屋の扉を開けてゼルが無遠慮に部屋の中に入ってきた。



「なんだ? そんなに騒いで」

「女の子の部屋に無断で入るってどんな神経してるの!? せめてノックくらいして!」

「別にいいだろ。知らない仲じゃないんだし」



 え? 何? 私がおかしいの? なんでこのゴブリンこんなにデリカシーがないの?



「もし私が部屋で着替えてたらどうするのよ!」

「どうするって、別にどうもしないけど?」



 ああそうか。これあれだ。種族が違うから起きるギャップだ。きっとゴブリンの生活圏じゃノックって文化がないのだろう。

 あと、ゴブリンだから人間の女性の裸にも興味がないんだ。

 ……いや別にそれはいいんだけど、なんかちょっと悔しいって思ってしまった。いや、嘘。やっぱり今のなし。



「とにかく、他の人はともかく、私の部屋に入る時はノックしてよね。絶対だからね」

「ん~、分かったよ」



 渋々と言った感じでゼルは了承した。



「それで? こんな朝早くから私の部屋に何の用?」

「ああ、団長が呼んでるから早く下に来いよって伝えに来た」

「団長が? 何の用だろう?」

「さぁ? でも行けば分かるだろ」

「そうね。着替えたら、行くからゼルは先に行ってて」

「ほ~い」

「あ、待ってゼル」

「ん? なんだ?」

「え、あ、いや……」



 あれ? なんで私、ゼルを呼び止めたんだろう?

 自分でも分からない。でも、何か聞かなきゃいけないことがあった気がする。



「用がないなら先に行くぞ」



 ゼルの背中が見えなくなりそうになったその時。



「ゼルは!」

「あ?」

「ゼルはどうして勇者になりたいの?」



 そう自然と言葉が漏れた。



「マナは世間でゴブリンがどんな風に思われているか知ってるか?」

「………うん」



 もちろん知っている。

 最弱の種族にして醜い容姿。

 世間の評判はあまりいいとは言えない。



「俺は勇者になって、見返してやるんだ。俺たちゴブリンを見下してた連中を。そして、ゴブリンの、いや、弱いと思われている種族の評価を俺が変えてやるんだ! 生まれながらにどんなハンデを背負っていても強くなれるって俺が証明するんだ」


 その瞳は何にも臆することなくただ前だけを向いていた。

 ああ、そうか。このゴブリンはきっと誰に何と言われようとも自分の夢に向かって真っすぐ突き進む。

 魔法が使えなくて、身体能力もヒューマン以下。

 そんな弱小種族でも彼は努力でそれを乗り越えようとしている。



「ありがとう、ゼル」

「おう」

 


 ゼルもヘイヴィアも強い信念を持っていて自分の夢に向かってひた走っている。

 なのに、私は親の言いなりで……。

 こんなんで本当にいいのだろうか?

 今まで疑問にすら思ったことのないことだけど、二人を見ていてふとそう思わずにはいられなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ