8話
8話
手紙を渡されて開いてみたらなんと王様からの手紙だった。
内容は勇者である息子のパーティーに入ってくれたことへの感謝から始まっていて、アレンからパーティーを抜けたいという仲間から相談されたことなどが書かれていた。
そして最後に協力してくれている褒美はなんでも取らせるが、もし抜けようものなら世界に居場所がなくなるようにしてやるって感じのことが書かれていた。
これって脅迫みたいじゃないか。
つまり私には追放される以外に辞める手立てがないことになってしまった。
なんてことだ、夢ののんびり生活には魔王を倒すしかないということか。
これはショックだった。
とにかく何とかしてアレンからいらない奴と思われないと。
魔王を倒すなんて現実味がなさすぎる。
それにしてもアレンは王子様だったのか。
それがなんで筋肉質な女にしか興味がなくなったんだろう
まあいいか、それよりも今後を考えなくては。
金はダンジョンをクリアしたので豊富にある、そしてダンジョンをクリアーしたからしばらくは休みになるだろう。
とりあえずは身を休めてから考えよう。
そう思っていたら帰り道にベニスの装備が壊れてしまったので急遽次の街を目指すことになった。
どうやら休みは延期のようだ。
途中でモンスターを狩りながら進んでいたら助けを求める声が聞こえてきた。
いそいで駆けつけると盗賊が商人の馬車を襲っているようだ。
さすがの私でもああいうやつらを許してはおけない。
颯爽と駆けつけて援護に入る。アレンがものすごい勢いで盗賊を打倒していく。
さすが勇者としか言えない活躍ぶりだ。
そう思っていたら一人がこっそり馬車に近づいているのに気づいてしまった。
気づいた以上はほっておくわけにもいかない。
だが私のところからは距離がある。
駆けつける前に馬車から娘が連れ出されてしまった。
「お前ら武器を捨てろ!捨てないとこのお嬢ちゃんの顔に傷が入っていくぜ。」
そういって人質を取ったやつは叫んだ。
これには護衛もアレン達も動きを止めざるをえない。
だが武器を捨てれば殺されるのは目に見えているからできない。
どちらが先にしびれを切らすかだが、私はちょうどいま馬車の反対側にいる。
このままこっそり近づくしかない。
このピンチを救えるのは私しかいないと思えば勇気もわいてくる。
そろり、そろり。
「早く捨てねえか。俺は本気だぞ。」
そう言って盗賊は娘の服を破いて見せる。
娘の下着があらわになると娘は叫びをあげた。
「貴様卑怯だと思わないのか。」とアレンが叫ぶが
「俺様は盗賊よ。卑怯大いに結構だ。ガハハハッ。」
ついに盗賊の近くまで来た、距離にしてあと2歩くらいか。
深呼吸して機をうかがう。見つかっては全てが水の泡だ。
誰かが盗賊の気を一瞬ひいてくれたら何とかなるんだけど。
するとアレンが「わかった武器を捨てるから娘を離すんだ。」って言うと
「なら早く捨てやがれ。」と盗賊が叫ぶ。
「娘の開放が先だ。」「お前らに決定権はねえ。わからないならわからせてやる。」そう言って上着全てを脱がせてしまった。
娘の顔が羞恥に染まっていく。
アレンが何か叫ぶ前に盗賊が「へへへ、このままこいつを犯すのも悪くねえな」とか言い出した。
そうしたらミントが「それならば罪なき少女ではなく私にしなさい」と言って服に手をかけようとする。
盗賊の気がミントの身体に向いたので後ろから襲い掛かる。
盗賊の頭を思いっきり杖で殴ったら盗賊は倒れた。
ついでに娘を確保してマントに抱え込む。
「もう大丈夫だよ。」って言って娘を落ち着かせている間にアレンが全てを始末してしまった。