第十九話
扉を開けた先に見えたのは寝室のようで、ベットと少しの家具が置いてあり破損が無ければ普通の部屋に見える。
普通では無いのはベットの横に金属製の箱が入り口のドア方向に向かって設置されてある所だ。
テレイオスは荷物の中からナイフを取り出すと入り口からその箱に向かって勢いよく投擲する、ナイフが箱に当たると金属音が部屋に反響する。
「とりあえず危険な罠のいくつかは無いのは分かったな。」
「なんでそんなのが分かるのさ?」
「それはな、宝箱部屋の罠はいくつかパターンが有るんだが、一つ目は入り口を開けた時、二つ目は入った時、三つめは宝箱に触れた時、四つ目は宝箱を開けた時なんだが、今の一連の行動で三つは無い事が分かるんだ。」
テレイオスはローズに指を折りながら説明する。
「一つ目は開ける時に少しだけ開けて抵抗があるか確認したらわかる、隙間で中が見える所まで開けなくても引っ掛かりが有るからな。
二つ目は魔術系の物で、中に異物が入った時に発動する物だから物を入れれば空打ちしてくれるんだ。
三つ目は宝箱に振動か何かが伝わると発動するんだが、そういうのは危険な物が多くてああやって物をぶつけて確認するんだ。
四つ目は宝箱の中から何かが飛び出したり部屋に何かが起きたりするんだ。
勿論これ以外の罠も存在するが複雑になればなるほど脅威的な物は無くなっていくんだ。」
「やけに詳しいね、宝箱探しでもしてたの?」
「そんな所だ、さっ、開けるとしますか。」
テレイオスは荷物から紐を取り出すと通路に落ちている廃材を繋ぎ合わせ一本の長い棒にする、その棒で宝箱の突起に引っ掛けると器用に持ち上げて開ける。
中の様子が気になるのか通路の両側を見張っていたデイジーとコーデリーもその様子を見守る。
蓋を開けてからも部屋や宝箱に変化は無く、テレイオスが慎重に安全を確認してから部屋の中に入って行く。
「今回は罠は無かったみたいだぞ~。
入って大丈夫そうだ、ここで少し休憩がてら宝箱の中身をローズ見てみるか?」
テレイオスは安全の確認が出来たと判断し中で休憩を挟むことを提案、デイジーとローズが先に入りコーデリーは後ろを警戒しながら入ると扉を閉める。
扉が閉まるとデイジーは持ってきていた荷物から自身の分とローズの分の水筒を取り出し手渡し水分補給する。
「さ、水分も摂ったし宝箱の中身を改めて見るか。」
テレイオスと共に宝箱の中を覗き込むデイジーとローズ、中身を見ると四角い箱の底に赤い宝石が目立つ装飾が施されたネックレスが置いてあった。
「これは何だろうな?
見た感じだと何の効果も無さそうだからただの装飾品っぽいな?」
「…許さない…許さない…。」
テレイオスがネックレスを手に取ると部屋のどこからか女性の声が聞こえてくる。
その声は小さいながらも怒りの感情が聞いて取れる。
テレイオス達は部屋を見回し声の出所を探すが見つからない。
「あ~、こういうタイプか~。
ローズ、これはたぶん中身自体に仕掛けがあるタイプだ、こういう時はひとまず中身を元に戻すと直る場合があるが、こうして既に戻しててまだ聞こえるからもう一つの対処をしなくちゃいけない。」
テレイオスが言うように宝箱の中にネックレスが戻されているがいまだに声が聞こえている。
テレイオスとデイジーが部屋のあちらこちらを歩き回り何かを探し始める、そんな光景を見ていたローズだったがスタスタと歩き始めるとベットと壁の間に在る隙間まで行く。
「なに探してるのか知らないけどここに何かあるんじゃないん?」
「え?
ローズはそこに何かあると思うのかい?」
「テレイオスさん、恐らくローズさんの言っている事は有っています。
ローズさんにバレたのが衝撃的だったのか先ほどまで隠れていた気配が今はあそこから感じられます。」
ローズは親指で自身の背後を指さしてテレイオス達に聞く、テレイオスは信じられないといった表情をしているがデイジーがローズが正しいと肯定したため、本来やる予定だった事を優先し行動に移す。
「ローズ、その存在になぜ気付いたかは後で聞かせてくれ。
その前にまずはそこをゆっくり離れてこちらに来るんだ。
今のままそこに居ると危険だからな。」
「ああ、こいつを倒すかんじ?
ならやらなくて良いよ、こいつは私がやるよ。」
デイジーが止める間もなくローズは行動に移した。
「ウジウジうるせえんだよ!」
ローズが叫びながら何もない虚空に対して殴りかかると手ごたえが有ったのか何かがベットに倒れこんだ。
ベットの上には人一人分のへこみが出来てそこに徐々に影が出来うっすらと姿があらわになっていく。
半透明で見えるようになった声の主は水色の長いくせ毛が特徴的な女の子で顔は田舎の少女の様な垢抜けない感じの印象を持たせる。
「ユ、許さないイイイイ‼」
「うるさい!
そんなに許せない奴が居んならさっさと殴って来いよ!」
少女が狂気を感じさせる顔でローズへと飛び掛かるがローズはそれを一蹴して反論する。
少女は再度殴られた事によって心が折れたのかベットの上で俯きブツブツ呟いてるだけの置物へと変わる。
ローズはそれを見ると溜息を吐きテレイオス達の元へと戻る。
「ローズ、あまり危険な事はしないでくれ。
俺達が出来るだけ危険の無い様にしていてもそこに突っ込まれたら意味が無いじゃないか。」
「危険な感じは一切感じなかったから動いただけだよ。
危険そうならちゃんと大人しくしておくから安心して。」
「その判断は…とりあえずこの話はまた今度きちんとしよう。
それよりもどうやって気付いたのか教えて欲しいんだけどどうやったんだい?」
「確かに、私でも気づかなかったのにどうやって?」
「どう説明すれば良いかな…」
二人の疑問に頭を少し書きながら面倒そうに答えに詰まっていると思わぬ援護が入る。
「多分視線だろ?」
「そう!それそれ!」
コーデリーが心当たりが有ったのか確認するとローズはスッキリした顔で肯定する。
「なんかこの館に来てからずっと陰湿な視線と哀れみ?の視線を感じてたんだけど、さっきはネックレスを持った時からあの位置から恨みがましい視線を感じたんだよね。
そんな中二人がうろうろして何かを探すもんだから多分あれなんだろうな~って思って言ったら正解だった訳。」
「俺も殺気や敵意なんかは分かるんだが感じなかったぞ?」
「自分も一瞬しか感じなかったから多分そういった物に敏感な体質なんだと思う。」
「ハハ…それはそうとさっき二人は見つけたら何をしようとしてたの?」
乾いた笑いをするローズは話を変えるように話題を振る。
「ああいう時はですね、レイス系の魔物が原因だったり呪われた物だったりするのです。
呪いの場合触れた人物だけに聞こえる筈なので先程ではその候補は消えます。
そうなるとレイス系になりますが私達が言っていたように気配等を隠しているので見つけることが困難なのです。
ローズさんがどうやって見えるようにしたのか分かりませんが、本来であれば居る場所を通ると細く脆い糸が顔や体にかかった感覚になります。
それを感じたあたりにエリアヒールを使う事でレイス系を倒すのです。」
「じゃあ、今ああなってるアイツもそう倒すの?」
ローズの視線の先には壊れたラジオの様にぼそぼそと話している少女がベットに座り込んでいた。
それを見たデイジーは何かを諦めたように首を横に振る。
「ローズさんの言うように危険が無さそうなので今は刺激を与えない方が良さそうですね。
ただ、もし襲い掛かるようでしたらその時は…」
ローズ達一行は少女を置いて部屋を出るために支度をする。
元々軽い球形のつもりだったが思わぬ形で終了した事により疲労があまりとれている気がしなかったのか、奥にではなく入り口方向へ行く事を合図するテレイオスに反対意見は出る事は無くついて行く三人。
部屋を出てドアを閉めようとした時少女は動き出す、少女の行動に臨戦態勢をとるが少女はベットから出て立ち上がりローズ達の方へと向くと頭を下げる。
「私達を…助けて…」
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おやすみなさい
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