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その聖女、不良です  作者: Aleku
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第十話

 



「神殿の文献によると時をさかのぼる事約500年前世界は魔族とその王によって支配されようとしていました。

 そんな時異界の勇者と共にこの世界に生まれ落ちた初代聖女と仲間達によって世界に平和が訪れ、それから何度も魔王と呼ばれるような脅威が現れる度に勇者と聖女は世界に現れては魔王を倒してきました、その事から聖女が生まれる時代には魔王と勇者が出現すると言われています。

 この三つの関係は切っても切れない関係と言えます。

 そして10年前神託によって聖女になる少女が現れたとお告げがあり教会総出で探し始めました、しかし今まで何処に居るかも分からず見つかりませんでした。

 諦めかけていた頃にもう一度神託でこのスレガム教国に居る事が分かり、このチャンスを逃せないと国内全てを探す事になり手始めに首都をくまなく探した時に出会ったのがそこに居るローズ様です」


「長い、要するに10年見つかんなかった聖女が私かもしれないって事でしょう?」


 聞き飽きたのかスターチの話を一言にまとめるローズの不遜な態度に驚きつつもスターチは少し訂正をする。


「いえ、(ハテナ)が有っても他の人間には疑いが有っても何も増えませんでしたので間違いないです。

 事実教会に在籍している聖女候補だった女性は、二度目の神託が有るまで聖女なのではと言われていましたが職業は何も増えなかったそうです」


 そう断言するスターチの顔は妙な迫力があった。


「そうまでしてこの子、ローズを探した理由は魔王が居るからですか?魔王は100年前に居たと聞いた事が有りますがてっきりお伽噺の中の事だとばかり…」


 ロンド達はスターチの言う事を信じる事にしたようで、ローズをここまで積極的に探していた理由を推測しながら聞く。


「ええ、今は民間人に公表されるべきでは無いから知らないのは仕方ありません。

 下手に不安をあおるのは混乱を招き犯罪の助長を促してしまう恐れがありますからね、10年前から徐々にではありますが魔物の脅威が増加傾向にあります、これは魔王が現れた時の特徴と一致します。

 3年前に帝国と連邦共和国が休戦したのは表向き王国が調停を行ったからとされていますが、実際は魔王の脅威に立ち向かうべく説得し続けた事によるものです。」


「あの停戦協定にそんな裏があったなんて、でも確定というわけでは無いのですよね?」


 不安そうにカルラは確認をするがスターチは首を横に振る


「魔族領近くの多数の国で魔族領から漏れてくる魔王の物と思われる強大な魔力が確認されています、更に今回ローズさんの情報に聖女の文字が確認された事によって確信を深めただけです」


「で?私に何をしろって言うの?もう遅いし早く帰ってくれないかな?」


 不快な気持ちを隠す気持ちが無いのか声に怒りが見え始めるローズ、ロンド達はそれを軽く叱るがローズの言う通り日も暮れ始めているため早く帰って欲しい気持ちは分かるようだった。

 そんな気持ちを察したのかスターチは話の続きは三日後にすると言い残し家を後にする。


 ロンド達はスターチの言っていた事を受け入れたつもりだったがしばらく放心に近い状態だった。

 ローズの不機嫌は治らないままだった。




 --------




「彼らにあそこまで話しても良かったのですか?」


「どの道これからお願いする為には話さなければいけなかった、それに今回の責任で私は辞任する事にしている、だから彼らに話した事による責任も私にあるから気にしなくて良い」


 テレイオスは気になっていた事を聞くと帰ってきた答えに戸惑いを隠せなかったが、今回の事が大きいだけあって仕方ないと思い口を噤む。


「最後にやり残した大仕事は全て片付けなければなテレイオス、最後まで手伝ってくれないか?」

「もちろん、まだ恩は返し切れていませんから」


 スターチは仮面越しではあるが表情穏やかに神殿へと帰っていく。



 --------




 その日の昼過ぎには各地に行っている残りの10人の司教に召集の連絡を便で送り、一番遅くても連絡が行くまでに四日はかかり集まるのは二週間はかかる見込みだった。

 教会によるロイセンへの処罰は二週間後になる予定で、あれから直ぐに行われた家宅捜索とそれによって判明した不正の証拠を押さえる事が出来たので裁判所に出すと、三日後の夕方に公開裁判が行われた。


「被告人ロイセン・ナイチードは詐欺と横領及び賄賂による不正の数々並びに先日の少女への暴行事件の主犯として此度の裁判に掛けられている、その事に異論は有るか?」


「私が一連の犯行に関与した覚えは有りません、これは司教である私を貶めるための何者かによる罠です、少女への暴行とありますが私は保護をするために動いていたにすぎません、ましてや詐欺や賄賂なんて事私は行っておりません」


 ロイセンはそれが正しいと思っているような口ぶりでしらを切ろうとする、その顔は自信に満ちている。


「裁判での証言や証拠に偽証や不正が発覚した場合、それに関わった者は全て重罪になるがそれも踏まえての証言と捉えてよろしいか?」


「ええ、もちろんです裁判官殿」


「ではその根拠となる証拠や証言が出来る者に心当たりは有りますか?」


「いきなりの事なのでそういった物は有りませんが、私に罪を被せようとする人物には心当たりがございます」


 ロイセンの証言に会場は騒めきそれを好機ととらえたのかロイセンは続きを話し出す。


「その答えは私を失墜させる事で一番利益のあるものが一番怪しいと思われ、その人物はここに居るガルデン司教になります!奴が今回の事件及び賄賂等の証拠を捏造した犯人に間違いございません」


「被告人、推測で語るのはあまりよろしくありません、証拠をもって論じる事を命じます

 裁判官の毅然とした態度に不満だったのか、それとも会場を味方につければ勝てると思ったのか定かでは無いがロイセンの主張は続く


「裁判官殿、これは状況証拠に基づく証言であります、さらにガルデン司教にはそれを行う理由もございます、それは教皇様の座を争っていた私を落とすことで確実になるからです。

 更にガルデン司教は本来十一人の司教だった所に十二人目として追加されただけではなく素顔も晒さず仮面を着けたまま、公的な時には一切喋った姿を見た事が無いほどで素性が明らかでない人物でもあります。

 以上を根拠としてガルデン司教の素性や家宅捜索等をして調べ上げる必要があると進言いたします」


 会場はざわざわと騒ぎ出しロイセンは勝ち誇る顔をする、指名されたガルデン司教は周りからの疑いの視線を気にする素振りの無い足取りで傍聴席から証言台まで出てくる。


「この裁判に関係のない者は立ち去っていただきたい、先ほどの被告人の証言は精査のされていない物なので証言としては無効となる、出て来る必要はない早く戻りたまえ」


「裁判官様、これから話したり行う事は証拠にはなりませんが先ほどの証言をより確実に無効となるもので、此度の裁判には関係ないかもしれませんが裁判の妨げを無くす事になるものなのでお許しを頂きたい所存です」


 ガルデンの傍に居た若い神官が書類をもって裁判官に渡す、それは証人としての裁判への参加の許可を求める物だった。

 裁判官の鋭い視線と仮面越しでも分かるガルデン司教の無言の時間に会場中にも沈黙が流れる。

 しばらくすると裁判官が折れたのか許可の判を押した。


「提出するのが遅いだけで正式な書類のこれは受理しよう、次からは裁判が始まる前に提出するように。

 被告人に関しても書類を事前に提出するようにしなさい。

 双方次に同じように勝手な憶測を話すような事、証拠や証人を事前の許可なく提出をした場合、裁判時の罰則規定に基づき処罰しますので忘れないように。

 では証人をここへ。」


「証人は私自身です」






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