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その聖女、不良です  作者: Aleku
10/22

第九話

 



 テレイオスが決死の覚悟で見たローズとその装備の情報はこうだった。


 解析結果


 名前)ローズ(10歳)Lv23

 職業)黒薔薇姫

 生命力)304

 魔力)分からない

 攻撃力)1

 守備力)235

 魔法攻撃力)163

 魔法防御力)348

 速さ)460

 特技

 根性LvMAX 気合いLvMAX 神聖魔法Lv不明 生活魔法Lv6 爆炎魔法Lv3 聖具生成Lv4 天上天下唯我独尊Lv3


 名前)黒薔薇姫の愛用バット

 攻撃力)1

 効果)防御力無視 防御不可 反撃不可 痛覚増加

 説明)

 黒薔薇姫の怒りを買った愚か者はこのバットでシバかれる

 このバットで殴られる時にはいかなる行動も意味をなさない

 お前もOUTになりたいのか?


 名前)黒薔薇姫の特攻服

 効果)逃走妨害 乱戦時能力値上昇 自陣へ鼓舞効果

 説明)黒薔薇姫の勝負服

 これを見た敵は逃げる事を諦め敗北の二文字を魂に焼き付ける

 背中を見た味方に勝利の二文字を与える

 つぎはOUTだ

 命拾いしたなお兄さん


 テレイオスは頭が混乱する思いだった。

 解析結果が喋りかけてくる、しかも警告をしてくるなんて前代未聞だった。

 本当はより詳しく解析をしたかったが命の危険を感じ断念、そもそも詳しい解析には専門の道具も必要なので出来なかった。

 そして自身の立てた仮説が合っている事、あの痛みようは痛覚増加が原因だと分かった。

 ふと気づいたのは先ほどまでのロイセンの悲鳴が聞こえなくなっていた事だった、思考の海から出て見やるとバットを上に振りかぶり耕すように殴りつけるローズの姿と怯えて声も出なくなりまるで幼子の様に縮こまる変わり果てたロイセンの姿だった。

 ロンドとバンディはそれ以上起こらない様に結構前から止めに入っているようで抱きかかえようと奮闘していた。


「おい騎士隊長とやらさっさと手伝いやがれ!」


「もう止めるんだローズ!もう大丈夫だから!あとは父さん達に任せなさい!」


 止めようと必死の二人に聞く耳を持とうとしないローズ。


「まだ足りない!もっと心を折らないといけないんだ!」


「十分だ!もう十分折れている!これ以上は折れる所が無い!」


「そうだローズちゃん!それにこれ以上はこの後の調査が出来なくなっちまう、何なら今でも出来るか怪しいんだ!」


 ローズの身体能力で抑える事が出来ずロイセンを守る事で何とか妨害する事が出来ていた二人だが、一人分の隙間がありそこから叩こうと動くローズに苦戦を強いられていた。

 テレイオスは状況を把握しその隙間を埋めるが説得出来る気もしようという気もなかった。


「ローズちゃん、おれはその意見に賛成だ」


「おいお前正気か!?」


「ならどけよ!」


 テレイオスのいきなりの発言に驚愕する二人とさっさとどいて欲しそうに懇願するローズ


「まあ待て、話は終わっちゃいない、ここで更に痛めつけても同じなんだ」


「どういう事だよ!」


「ここで心を完全に折ってもそれは嬢ちゃんへの心が折れただけなんだ、他の相手へはきっと同じことをするだろう」


「じゃあどうすれば良いんだよ!」


 本当にどうすれば良いのか分からないのか髪をクシャクシャににしながらしゃがみ込むローズにテレイオスは諭すように言う


「被害者じゃない人間に折って貰えればいいんだ」


「…どうして」


 動きが止まったローズに同じ目線になるようにしゃがみ話すテレイオスの表情はいたって真剣だった。


「被害者から仕返しが怖くなっても仕返しされないようにするだけなんだ、ならばバレた時に関係ない奴が襲ってくると思った方が恐ろしいと人は思うから隠れて行うんだ」


「隠れてやるなら意味が無いじゃない」


「だが完全に隠すなんて不可能なんだ、どうしても最後にはバレるから、法律も刑罰も存在し今でもその有用性から使用されている」


「でも…」


「もちろん法律も刑罰も万能じゃない、だから嬢ちゃんがやりたいならやれば良い、だけどこれ以上は弱い者虐めになって今度は嬢ちゃんを罪に問わなくちゃいけなくなっちまう」


 ローズはその言葉にピクリと反応を示し押し黙る


「お父さん達は別にこのくそジジイが可愛くて嬢ちゃんを止めてるわけじゃない、嬢ちゃんが大変な事にならない為の行動なんだ、理解してやってくれ、な?」


「うん」


 ローズはうつ向いたまま返事をして黒い装備は両方光の粒になり消えて行き、意識が有る人間全員に安どの声が漏れる


「おいお前ら!ロンドの嬢ちゃんがこれだけ働いてくれたんだ、分かってると思うが後始末は俺達がやらなくちゃいけねぇ仕事だ!サボるんじゃねえぞ!やれ!」


 バンディの大声に警備兵たちは一斉に動き始め怪我人の治療と捕縛をどんどん進めていく、騎士達は警備兵では捕縛出来ない身分の者達を捕縛するのを手伝っていく。

 ロンドは気絶していたカルラの介抱をテレイオスに頼み4人一緒に家に帰っていく。



 家に着くと荒れた光景が広がっておりテレイオスは壊れた物や慰謝料はロイセンの資産の差し押さえからきっちりと支払うことを約束する。

 少しすると警備兵と共にアンネが家に帰ってきて目が腫れていて泣いたのが良く分かる、事情を聞くとお昼過ぎた後に家に着くと既にこの惨状で、ローズと母に何か有ったと分かりロンドを呼びに警備兵の詰め所に行ったそうだ。

 警備兵の詰め所にはロンド達と入れ違いで到着してすぐに追いかけようとしたが、ラブルに止められ一緒に詰め所で待機をしていたがローズと思われる爆発音、街の異変等で気が気では無かったそうで何度泣いたか分からなかったと文句を言う、ラブルが現場に送っていた伝令によって事態が収まったのでこちらに送って貰ったらしい。


 アンネとの会話の最中にカルラの意識も戻り家族で今回の事を励ましあっていると来客がやってくる。


「どなたです?こちらは今日はもう疲れているのですが」


 ロンドがやや警戒していると外から現場に戻っていたテレイオスの謝罪が返ってきた。


「疲れている所申し訳ないが会って欲しい方が居るんだ」


「大丈夫なのか」


「俺が保証しよう」


 ロンドは大丈夫かどうか家族に目で確認をする、家族はしぶしぶ了解し家へと通す。


「また会ったねローズさん」


 家に入ってきたのはローズの解析を担当した仮面の老神官だった。

 老神官は家に入り席へと案内されると床に座りローズ達に謝罪し始める。


「今回の騒動は全面的に教会側、しいては私にに責任があります、その事について正式な場でも行うがまずはこの場でも謝罪させて欲しい」


 頭を深く下げて言う


「本当に申し訳ありませんでした、あと少しで取り返しのつかない事になっていた事は全て私に責任があります、なので虫の良い話ではあるが教会への怒りは納めて貰えないだろうか」


 何やら必死の様子だが一番の被害者とも呼べるカルラは当然の疑問を聞く。


「あなたは神官の一人でしょう?そんなあなたに責任を求めても仕方ないのでは?」


「申し訳ない、こうなっては隠すのは無礼なので…」


 そう言い老神官は仮面を外す、その顔にロンドとカルラは見覚えがあるのか驚愕の表情をする。

 ローズとアンネは見た事有る様な気がするだけで両親の驚き様に疑問を覚える。


「だれ?」


「見た事有る様な気がするんだけどね?」


「アンネとローズは覚えて無いかもしれないがこの人はスレガム教教皇のスターチ・スレガム様だよ」


 ローズ達の率直な言葉に何も反応しない教皇にロンドが教えてあげるが二人ともそっけない態度だった。


「もうすぐ教皇は引退するので気にしないでください」


「もしかして今回の事ですか?」


「ええ、今回の騒動は余りに大きくなりすぎた事、そして決して許されるような事では無いので当事者だけではなく責任者の私も責任をもって自任をしようかと」


 本当に申し訳ないと思っているようでしんみりとした空気になる。


「で?そんな人が謝罪や責任を取ってまで何で教会への怒りを無くさせようとするんだ?」


 ローズはそんなの関係ないと言わんばかりに質問を投げかける。


「それは聖女という職業そのものについてお話しなければいけませんね」




 スターチは静かに語りだす。





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