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直也の日記

 どうやらこの食堂の大将のコウさんは時間魔法と空間魔法を操るらしい。らしい、と言うのははっきりと魔法を見たり聞いたりした者がいないからだ。


 しかしそう言われれば納得もできる。あの人智を越えた調理のスピード、流れるようにして作られる美味しい料理には、人の手を越えた何かがあるのでは、と思わせるほどの物があった。レーヴァの無理な全メニュー36品オーダーを僅か30分ほどの時間で作り終えてしまった。逆に30分で全部食べ切ったレーヴァも凄いが。最後に大将とてもやり切ったような、はつらつとした良い顔をしてたな。



 そうそうもう一つ気が付いたことがある。女将さんのチカさんだ。身のこなしや足さばきを見ていて思ったのだけど女将さんは長年武術の修練を積んだと人としか思えない。


 数多くの皿を両手のおぼんの上に持ち店内を動き回る女将さんの体軸は、鉄の芯棒でも入っているがごとく一切ぶれることは無かった。女将さんの動きを良く見ていると女将さんは常に相手の正面に立つことをしていなかった。どんな相手にも僅かに、本当に僅かにだが体をかた向けて立っていた。

 

 普通の人ではまず気が付くことはないと思う。女将さんは決して自身の正中線をお客さんに取らせるマネをしていなかった。

 僕は帰りに女将さんと挨拶を交わす際に女将さんの正面をこっそりと取りにいったのだけど、何度試みてもいつの間にか重心を入れ替えていて結局最後まで女将さんの正中線を取ることが出来なかった。


 自然にアレをこなしていると思うから絶対に何かの武術の達人だ。




僕は帰りに何度も振り返って食堂を見た。絶品で魔法のような料理を作る元気な大将のコウさんと絶対に超達人な明るい親切な女将さんのチカさんが切り盛りするアオヤマ食堂。


 みんな今日一日でこのアオヤマ食堂のファンになってしまった。レーヴァなんかは珍しい食材の調達依頼などを専属で引き受ける様な話までしていた。でもって報酬は料理食べ放題だそうだ。よっぽど気に入ってしまったみたいだな。



 この町は面白い。色々とすごい人達が大勢いて、毎日何かが起こっている。たまには困ってしまうこともあるけれど、飽きるとか退屈だとかが全くない楽しくて刺激的な町だ。




 僕はこんな素晴らしい街を作って残してくれた桜に心からの感謝をして、今日は筆を置くことにしようと思う。








 そうそう忘れていた。今日のシャロンさんとフレイヤさんはなんかとても怖かった。シャロンさんはアスにアリッサさん、フレイヤさんはイズナさんか。

 

 二人共もしかしてそっち系の性癖の方達なのかな? まいったな。二人とも僕の事を親の仇か何かの様に睨んできたけれど。はあ、これから大変かも。まあ、暫くの間は気を付けよう。




 さあ、明日は何か良いことがあると良いな。







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