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魔王のセンチメンタルジャーニー

 私は主様と魂が繋がっている。だから一番どころか特別な絆を築いている。私は主様のオンリーワンなのだ。そういう自負もあって妻が何人いようが実はあまり気にはならない。元々が色欲の魔王というのもあると思う。


 今の私は魔王の頃と違い、他者を恨み妬み堕として神に反逆させる事なんかよりも、主様の傍で健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも真心を尽くして共にいることに幸せを感じている。


 私は旦那様が困っている時は東西南北駆け付けて何処にでも駆け付けて助ける所存だ。要するに今の私は、男女の恋愛や睦み事に嫉妬や不愉快な思いは感じるけれど、主様が望むのであれば受け入れて許してしまう理解ある都合良い女。




 主様は今とても困っている。困り果てていると言っても良い。みんなに言った「受け入れて責任を取ります」の件についてだ。


 普段であればここまで大事にはならなかったと思うけれど、妻の座を争って興奮している女達の前で、「責任を取って受け入れる」という発言は両者の間に大きなすれ違いを生み出してしまった。


 私は早く正直に事情を話した方が良い、時間が経てば経つほど傷が深くなると進言をしたのだけれども、みんなの嬉しそうにする顔を見ると言い出す勇気がないらしい。



 主様も彼女達みんなのことを憎からず思っているどころか、確かな好意を持っているのだから、素直に全員と付き合ってしまえば良いと思う。大戦前ならいざ知らず、今の世の中では重婚は認められているのだろうし、優秀で魅力的な主様のとの結婚であればそれを嫌がる女はいないだろう。思い切って一度全員とヤッてしまえば覚悟を決める事だって出来ると思うのに。


 まあ、それが出来ないからこういう事態に陥っている訳なのだけれど。


 主様の心の中では、好きだった女が忘れられず他の女に好意を抱くことに罪悪感があるみたいだし。堅苦しくて面倒くさいぞ、主様。色々難しく考えないで取り敢えず、やってみれば良いのに。


 私が思うには、時間が有ろうが無かろうが彼女達と結ばれる未来には変わりがなく、単に遅いか早いかのだけの話になると思っている。結果が変わらないのであれば少し早い方が良いに決まっているし。


 でも主様が、時間が必要と言うのであれば、取り敢えずは恋人とか婚約者とかにしてもらって、結婚を少し先延ばしにするのも案の一つだと思うけど。


「結婚を前提に恋人から始めさせてくれませんか」

 この辺りが落しどころかな。


 結婚はしません付き合いもしませんなどと言ってしまった日には、このセフィロトが灰燼に帰すことになってしまう。九尾となったイズナや火竜が戦ったら私の結界ではもう抑えることは出来ないと思う。

 旦那様は何気に訪れていた怪獣大戦争からセフィロトを救った英雄と言えるのだが、同時に痴情の縺れでセフィロトを滅亡の危機に晒した戦犯でもあるのだけれども。





 主様に言ってみる。


 なんなら私からみんなに言いましょうか。


 え、駄目ですか。


 自分で言う?ちゃんと間違わずに言えますか?


 と言うかなんて彼女達に言う気ですか?


 待って欲しい?待つっていつまでですか?


 心の整理が付くまで?それっていつですか?


 いつ迄かかるかも分からないんですか?


 彼女達はそれはまで待たなければいけないんですか?


 彼女達にいつになるか分からないけど待っていて


 欲しい、そう言うつもり何ですか?


 彼女達は主様に惚れているから待てと言われれば待つでしょうが、人生には限りがあります。彼女達の時間を理由なくただ奪うというのであれば、別れてあげて他の人との幸せも考えてあげた方が良いのではないですか?

彼女達であればいくらでも良い相手がいるでしょうし。



・・・・・・。



 主様は彼女達のことが好きですよね。他の男に奪われるのは嫌ですよね。


 だったら自分に素直になったら良いんじゃないですか。


 彼女達を失ってしまった後で、彼女達が他の男の物になってしまった後で後悔しても知りませんよ。


私はもう行きますね。よく考えて後悔しないように頑張って下さいね。


 主様、私はみんなとの中を応援しますからね。




 私は困っている主様もっと困らせてやるとその場を離れた。私は彼女達に嫉妬してしまった。魔王の自分が、途中からまるで大好きな片思いの相手に自分の親友の相談に乗って恋の橋渡しをしている少女のような、切ない想いに心が締め付けられて涙が出てきたからだ。

 色欲の魔王の恋心を鷲掴みにして泣かせるなんて主様は本当にひどい男だ。


 でもそういうとことも大好き。



 センチメンタルジャーニーな淡い感情を一人楽しむ色欲の大罪の魔王アスモデウスであった。





























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