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それぞれの思い語り 忍びとエルフ


忍びのメイド


 私は今、完全武装で世界最強の災害級の火竜、終焉のレーヴァテインに刀を向けているところだ。


 人間がドラゴンに刀を向けるなんて、常識では考えられないと思われるかもしれない。

 実際に噴煙吹き上げる火山に刀を向けている様な錯覚を覚えている。


 だが、人間だろうがドラゴンだろうが、悪魔だろうが、そんなことは関係ない。あのトカゲ女は私の直也に抱き付き唇を吸いまくり、さらには妻の座を奪おうとしている。


 誰が一番直也にふさわしいかだと。



 そんなのは私に決まっているじゃないか!



 私ほど直也の事を知り尽くしている者はいないだろうが!


 私は直也が朝起きてから夜寝るまでの間、ずっと直也を見守っている。万が一の時を考え直也の服に縫い込んだ追跡用の魔道具も本当に良い仕事をしてくれている。


・・・まあ、魔道具のことは置いておくとしよう。


 気を取り直して、



 私以外に直也の好物を知っているだろうか?直也の嫌いな食べ物を知っているか?直也の服の好みは、交友関係は、いつも立ち寄る場所は?誰か知っているか?



 私は全部知っている。知っているぞ!



 考えてもみろ。直也が毎日食べているのは私の愛情がたっぷり入った御飯。直也が毎日美味しい美味しいと私が作った御飯を食べている時点で、すでに私は勝者。選ばれているようなものだろうに。


 他にも部屋の掃除や衣類の洗濯も私がやっているし、最近はよく直也と買い物デートもしている。

 

 これはもうある種の既成事実ではないだろうか。商店街のみなさんには直也は私の婚約者と伝えてあるし、同じ屋敷で同棲中と言ってある。たまにみなさんの前で手を繋いでみせているのも良い結果を産んでいる。最近では二人で歩いていると結婚は何時?とか、子供の予定はどうなの?とか、色々とおば様方に聞かれるようになって、直也も私のことを女として見ずにはいられない事だろう。


 まさか恋愛に忍びの欺瞞・工作活動が役に立つなんて思ってもいなかったし、ここまでするとは私自身思ってもみなかった。

 直也はこの私にそこまでの事をしてでも欲しいと思わせる魅力的な男であるということだ。



 私から直也を奪おうとする奴は許さない。


 私の直也を奪おうとする奴にはきつい仕置きをくれてやる。


 私は摩利。守護神摩利支天の加護を受ける、陽炎の忍び。何人たりとも私を捉えることは出来ない。自分が死んだことさえ気付かせない忍びの妙技、とくと味わわせてやる。









天然エルフの少しユルい決意



「私も頑張ります」


 私には頑張る事しか出来ません。皆さんと違って、私には特別な物は何もないから。


 あ、でも昔からなかなか良い天然と言う個性を持っているとは言われていました。



 サクヤさんもマリーさんもイズナさんもアスちゃんもとても美人で、とっても魅力的で、私が足元にも及ばない様な強さを持っています。


 心の強さや力強さ、魔力や才能も敵いません。そんな皆さんが揃って直也さんの側にいます。直也さんは本当に優しくて魅了がある人だから当然ですよね。


 私も乱暴な男の人に掴まってしまい、怖くて泣いてしまいそうな時に直也さんに助けてもらいました。見て見ぬ振りをする人達が大勢いる中で、迷わず私を男達から助けてくれました。本当に嬉しかった。本当に感謝しかありません。


 

 直也さんはとても精霊に愛されている人です。私はエルフなので精霊や妖精を見たり、お話をすることが出来ますが、直也さんの周りにいる沢山の精霊の姿にとてもびっくりしたのを覚えています。

 

 こんなに精霊達から好かれる人ってどんな人だろう、その直也さんへの興味が好きになったきっかけでした。そこからは一瞬でした。直也さんの側で話をして触れ合っている内に、アッと言う間に直也さんに惹かれて好きになってしまいました。


 皆さんに私は勝てません。私が直也さんに選んでもらえるはずありません。


 でも、本当は直也さんに選んでもらいたい。もっと私を見てもらいたい。


 精一杯頑張れば何かが変わるかもしれない。


 そう、私は変わりたい。日陰に生きる今までの自分を変えて、もっと自分を磨いて、いつも空を仰いで上を見て、精一杯胸を張って自分の道を歩んで生きてみたい。


 だから私は頑張ることにします。みんなの冒険者の仲間として、友達として、恋敵として少しでも前に進むことが出来るように毎日、倒れてしまわない程度に頑張りたいと思います。



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