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熱血ジョニーと新職業

 冒険者ギルドの地下、ジョニーの秘密の部屋。部屋は思ったよりも広く、天井も高くて照明が幾つも付いているため室内はとても明るい。壁にはヒバの木を加工した板が隙間なくはめ込まれていているため、木の持つ香りがほのかに香っている。良く見ると壁の板にはいくつもの魔方陣が描書かれている。床は コンクリートがむき出しになっているが凹凸なく綺麗に整備されているため、室内を見ればとても綺麗な訓練場に見えなくもない。


 気になるとすれば、秘密の部屋の更に奥の部屋が存在しているらしくハート形でピンク色の観音開きのドアがあり、左右の壁にはやたらとマッチョな仁王像が彫られている事位だ。



「さて直也、テストの内容なんだけれどね、私の貴方の事を教えて欲しいのよ。本当の貴方の事をね。ああ、安心してここは壁に防音魔法が掛けて、どんなに悲鳴を上げても大丈夫なようにしてあるから誰にも聞かれることはないわ。まあ、私があれだけキレた振りをしたのだから誰も来ないだろうけど」


 ジョニーは慣れた手つきで後ろ手で入り口の戸を施錠する。


「本当の僕の事、ですか?」


「そうよ貴方普通じゃないでしょ?シラサキ代表やイズナ様の事もあるけどね。そうね、イズナ様の関係については後でじっくりと色々と聞かせてもらいたいけど、今日は置いていくわ」


真剣な眼差しで直也を見つめ、


「私ね、あの時、イズナ様が貴方にキレた時にね、あの時はみんなイズナ様の力に驚いていたけれども、あれはね、そんなレベルの話じゃ無かったわ。直ぐに誰かが結界を張ってくれたおかげで無事だったけれど、あの時に私が感じた力は人智を超えるものだったわ」


「ジョニーさん、えーと一体何を言っているのか」


 ジョニーは持っていたナイフを鞘に戻すと、今度は腰に下げていた長剣を抜いた。話をしながら自分の精神を集中して意識を広げている。戦闘態勢をいつでも取れるように準備している。


 「聞いて頂戴直也。私はね、現役の時に一度だけ見たことがあるの。ワルキューレと上位悪魔の戦闘をね。あの時も生きた心地はしなかったわ。でも、もう駄目だとは思わなかったわ。逃げるだけなら出来ると思えたのよ。でもね、あのイズナ様を見た時は、もう絶対に死んだと思ったわ」


 長剣に魔力が流れ始めて銀色の刃が光を放ち始めた。


「あの時イズナ様の力は、S級の冒険者やガーディアンズのナンバーズ達にだって太刀打ちできないほどのものだった。なのに、なんで貴方は何もなかったように、今生きていられるの?あの時、貴方は私には想像も出来ないほどの力の暴力に晒されていたわ。おそらく私なら一撃かすっただけで死ぬほどのね」


 直也はジョニーがあの時のイズナの力をしっかりと正確に把握していることに驚きを感じた。そしてジョニーがこれから取るであろう行動を予測し、霊気を何時でも高められるように用意する。


「ねえ、教えて頂戴直也。貴方は一体何者で、どれほどの力を持っているの?目的は何かあるの?どうしてこの町に?・・・聞きたいことは沢山あるわ。でもね、私は馬鹿だから言葉よりこういう方法が貴方の事を知ることが出来ると思うのよ」


 ジョニーは整った顔をにいたずらをいた子供のように満面の笑みを浮かべて長剣を構える。


「さあ、ここからはお楽しみの時間よ!直也、貴方という人間を私に教えて頂戴!」


 直也は ジョニーに好感を感じた。自分もこういうシンプルな考え方は嫌いじゃないほうだ。拳で語る。過去に何度か経験をしたことがあるが、最後はいつも笑っていたような気がする。


「ジョニーさん、宜しくお願いします」


「ええ、いくわよ!」


 二人の闘気が激しくぶつかり合い、やがてお互いの体が激しく重なり合い、お互いを知るための二人の戦闘が始まった。






一方その頃。



「冒険者ギルドへようこそ、シラサキ代表」


 直也を追いかけてきたサクヤ、マリー、リーシェ、アスはギルドの職員に暖かく迎えられた。ギルドの職員は全員明るい笑顔を見せていた。サクヤは受付の女性職員に直也の事を尋ねようと声をかける。


「少し聞きたいのだけれども、私達が来る前に冒険者登録希望の20歳位の男性が来なかったかしら?」



「・・・・・・いえ私はチョトわからないネ」


「?」


「私ナニも知らないネ」


 急に片言になった女性職員をいぶかし気にサクヤは見る。女性職員はサクヤから顔を反らして目をそむけてしまう。サクヤは女性職員から目を後ろに座る他の職員を向ける。サクヤの視線を感じた職員達はそろってあさっての方を向いて決して目を合わせようとしない。


「何か隠しているわね、こいつら」


「ええ、間違いなく隠しています」


「すっごく、怪しいです」


 サクヤ、マリー、リーシェの3人があまりにも怪しいギルドの職員を追求しようとすると


「主様は大丈夫ですよ。むしろ楽しそうにしてる感じです」


 アスが直也は心配はないと言い出した。


「アス、お前に直也の事がわかるのか?」


「はいだって、私は主様の従者よめですから」


「なんだか変なニュアンスが」


とリーシェ。


「それより私、冒険者登録したいです。主様と一緒に冒険したいです。お姉さん、お姉さん私の冒険者登録をお願いします。私の職業は魔王少女?いや、魔法少女で!」


「魔法少女?」


 可愛らしい女の子が言う魔法少女。冒険者ギルドが結成されてから数百年、今ままで一回も聞いたことの無い職業に、職員一同首を傾げた。














































 





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