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武闘派団長のラブコメ

一体何が起きたというのか?


 サクヤとマリーは言い争いをやめて、イズナを凝視して固まっている。直也は興奮冷めやらぬまま、イズナのケモ耳尻尾の虜になっていてウズウズと触りたそうにしている。直也は結構可愛いもの好きで、神魔の戦時は親と逸れたドラゴンパピーを、良く可愛がっていたものである。


 そんな3人の様子をよそに、とても話をしにくそうな感じのイズナ。直也にもその雰囲気が伝わり、心構えを正して真摯な表情でイズナに向き合うと、彼女はサクヤとマリーが見守る中、覚悟を決めて口を開いた。


「直也様、ごめんなさい。ずっと言えなかったことがあります。私は実は・・・」


「神狐、お稲荷さんのいずなさん」


「えっ、知っておられたのですか?」


「うん。でも直ぐにはわからなかったよ。あまりに姿が変わっていたからね。・・・姿が変わっていても、イズナさんのその霊気は変わっていなかったから」


 直也は腰を大きく折り曲げ、頭を深く下げる。


「僕もイズナさんに言いたかったことがありました。イズナさん、ごめんなさい。謝っても謝っても、済まさないほどの迷惑と苦労をかけました」


 頭を下げたまま言葉を続ける。


「必ず、守って見せる。イズナさんと、桜と、仲間みんなとで一緒に生きていくと誓ったのに、僕は、約束を守れませんでした。それどころかイズナさんには、想像もつかないほどの苦労を掛けてしまいました。本当に申し訳ありませんでした」


「直也様、まずは、頭を上げてください。そんなに謝らないで下さい。あの時直也様が、魔王アスモデウスを引き付けて封印してくださらなかったら、私たちはみんな死んでおりました」


 下げた頭を上げさせて、その美しく可愛い顔で直也をを見つめる。


「今、この町があるのは、あの時、直也様が命をかけて戦って下さったからです。感謝こそすれ恨むことなど、何一つございません。確かに私達は寂しく悲しい思いはしましたが、あの時代はそれは当たり前のことです。みんなが同じ思いをしていました。悲しくて、辛くて、苦しくて、死んでしまいたいけれども・・・本当は生きたい。そんな時代。みんなとても直也様に感謝していましたよ。明日を、未来をくれたって」


 イズナは少し遠慮気味に直也の手を取って握る。


「戦後、私達は必死に復興を目指して頑張りました。とても大変でしたけれども、文句を言い者は一人もいませんでしたよ。だって、みんな幸せになるために頑張っていたのですから。直也様が教えてくれた、みんなが幸せになるために・・・それに」


 イズナは涙を流し、震える声で言葉を紡ぎだす。


「それに、帰ってきてくれたじゃないですか直也様は。千年もかかってしまわれたけど、ちゃんとパートナーの私のところに帰ってきてくれたじゃないですか」


 イズナは直也の頬を愛おしそうに撫でる。


 「直也様、お帰りなさい。ずっと、お戻りをお待ちしておりました」


 涙で言葉にならないイズナの迎えの言葉に、直也もたまらず涙を流してしまう。


「ただいま、イズナさん。ありがとう、ありがとう、ずっと待っていてくれて」


 感極まって、直也の胸に飛び込むイズナを優しく直也は抱き留めた。少しの間二人は抱き合い、お互いの変わらない温もりを感じ合う。直也はイズナのケモ耳に口を持っていき静かに伝える。


「イズナさん、すごく綺麗で可愛いくて魅力的な、良い女性になりましたね。後でケモ耳触らせてもらってもいいですか?」


「ふふっ、喜んで。それと忘れたのですか、私は昔からクールビューティーな良い女でしたよ」


 見つめ合い互いの心の距離を世界記録並みのスピードで縮めていく二人。完全に遠く離れた外野席の観客となってしまったサクヤとマリー。二人ともイズナの気持ちは痛いほど分かる。

 だが、どうしても良かったと思う心と、抱き合って抱擁する姿を見ると、悔しい、羨ましいと嫉妬をしてしまう。

 もやもやする想いを抱えながら伝説の武闘派団長のラブコメを拝見し、二人は次こそは自分が直也のヒロインに!と、願い、計画をするのであった。









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