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押し掛け女房 ??語り

 あたいは大戦の生き残りだ。とは言ってもまだ子供だったので実際には戦ったりはしていない。父と母とはぐれてしまい、何日も彷徨っている所を旦那様に助けてもらい大きな樹が生茂る里で暮らすことになった。

 驚いたことに、あたいみたいな人間以外の種族も暮らしていた。みんな旦那様が助けたらしい。旦那様はとても強くて優しくて、皆が旦那様に感謝していて、里の若い雌は皆ギラギラした目で旦那様を狙っていた。中でも尻尾がたくさんある狐はいつも旦那様に纏わりついていて特にひどかった。

 でも、旦那様には番い(つが)がいたので、番いの雌以外の誘惑には見向きもしなかった。でも、幼いあたいのことは妹のように可愛がってくれたと思う。


 旦那様はまだ幼いあたいの体を「よし、よし」と毎日毎日優しく撫でまわし、あたいの弱いところも指で執拗に責め立て、幼いあたいの体を快楽の虜にした。あたいはそれがとても嬉しかった。毎日がとても幸せだった。


 でも、旦那様はあたいを残していなくなってしまった。笑顔で「帰ってくるよ」と、戦場へ行った旦那様はいくら待っても、帰ってこなかった。旦那さまは、あたい達里の仲間を守る為に戦って、戦って、戦い抜いて死んでしまった。


でも、あたいは旦那様が死んだなんて信じられなかった。信じたくなかった。


 あたいは大戦が終わって少ししてからは里を出た。旦那様を探すためだ。旦那様は、絶対に死んでなんかいない。何処かで生きている。必ずまた会える。そんな予感がずっとしていた。


100年が過ぎ、200年が過ぎた頃には諦めかけたこともある。でも、旦那様は神様の契約者。きっと何処かで生きていることを信じてあたいは探し続けた。

 

 500年が過ぎ、600年が過ぎた頃にはあたいは世界中を調べ尽くしていた。もう旦那様のことは諦めなければならないと思いつつも探していた。

 

 800年が過ぎ、あたいの番いを探そうと思った。この800年で沢山の経験を積み、あたいは世界最強の一角を担う実力を身に着けていた。それはそうだろう、800年も生きていればどんな奴だって強くなる。旦那様は20歳くらいで最強だったが、それは特別だ。あたいは、あの強くて優しくて上手い旦那様以上の雄を番いにと心に決めた。


番う決めてからさらに200年が過ぎた。雌を磨き何時でも、番いとなれるように準備してから200年。あたいは旦那様と他の雄を比べてしまい、どんなオスにも魅力を感じることはなかった。


旦那様と出会ってから1,000年。1,007歳の純潔乙女。辛い。毎日が地獄のように辛い。


 運命の日は突然訪れた。それは、毎日が辛すぎて、いつも通りに大盛モリモリ、ご飯を食べている時だった。遠く離れた場所に突然現れた、とても愛しく懐かしい気配。旦那様?この気配は旦那様?場所は、あの里?今すぐに速攻で確認が必要だ!ご飯なんかを食べている暇は・・・イヤ、途中でお腹が空くと大変なので残さず食べてから出発だ。


そう、腹が減っては恋路はできぬ。もしも本当に旦那様だったら、絶対に責任を取ってもらおう。

 旦那様のせいで1,000年も独り身で、婚期をのがした責任を取ってもらおう。番いとなった時の嫁入りの道具や卵達を産んだ時のために作った自作の編み物もすべて持って行こう。




 あたいは1,000年待った。幸せになれるかもしれない、最後のチャンスは絶対に逃さない。


 そうさ、あたいはドラゴン、絶対の支配者。動き出したあたいは誰も止めらない。旦那様、待っていてくれ。あたいは、旦那様の純真無垢な新妻は、自作の純白のウエディングドレスを着て、あなたの隣に飛んで行くよ。



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