3.一方その頃――ゼウズ。
ここまでオープニング。
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「うおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!」
ゼウズが号泣していた。
自室でベッドにダイブして、テオドロに似せたぬいぐるみを抱きしめている。強面の威厳ある顔立ちの老齢の男性が泣いている様は、ある意味で恐怖だった。
そんな彼に、冷めた口調で声をかける女性がいる。
「貴方が彼を下界へ送ると、決断したのでしょう? 我が主」
「う、うむぅ。しかしな、カタリィナよ……?」
「なんでしょう」
女性の天使――カタリィナは、表情を変えずにそう促した。
すると最高神たるゼウズは言うのだ。
「たしかに、このままだと他の神々がテオドロに何するか分からなかった。それでも、悲しいものは悲しいだろう? 我が子、いや孫のように育てたのだぞ?」
――こんな悲劇、あんまりだ!
ゼウズはそう叫ぶと、おいおいと泣きじゃくり始めた。
それこそ駄々っ子のように。
「はぁ、お言葉ですが我が主。気になるなら下界を見ればいいじゃないですか。貴方の権能を使えば造作もないことでしょう?」
「会うのと見るのは違うのだ! 見たら絶対、行きたくなる!!」
「………………」
カタリィナはどこか嘲笑するような表情を浮かべた。
しかし、それに気付かないゼウズはまた泣き始めるのだ。今度は大切なテオドロとの二人で撮った写し絵を抱きしめて。
そんな最高神を見て、部下は思うのだった。
――これは遠からず行くだろうな、と。
天界は今日も緩やかに時間が流れる。
それでも、ゼウズの周囲は慌ただしいのであった。
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