31 ミリニシアでの魔族その3 危機
更新遅くなってすみません。
そんな中ブックマして頂ける方も増え感謝感謝です。
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私達がカリナ達を探す振りをしながら予定の屋敷へ向かと間も無く精霊状態でシルクが戻って来た。
そのシルクがその状態のまま私にカリナの捕まって居る様子を伝えてくれた。
「イズミ。カリナは今の所大丈夫。ただ問題なのが何方か一方を救出すれば
何かしらの合図を送って仲間に知らせるみたいよ。それと定時連絡の様な物も要されてて
合図を送れなくても定時連絡が無ければ他に捕まってる人が危険な目に遭う仕組みになってるみたい。」
「成程ね。流石にあいつ等も考えて行動してる分けだ。でも捕まってるのがシェルシアとカリナなら
カリナを助けてもシェルシアなら何とかなるんじゃない?」
「それじゃカリナを救出する?」
「待って、まずは魔族全員を確認してからの方が良いと思うわ。
確認が出来たらカリナの救出をお願い。」
「判った。」
そのまま4人で屋敷まで来ると一旦屋敷の周りをぐるっと回ってから中へ入って行った。
その屋敷の入り口付近にはエルフのミシュアが隠れている。
2階へ行くとバージョスとタリウス3階にはシャルドとミンドルがそれぞれ隠れて居る。
そしてオルイドは私達から距離をとって後を付いて来て居る。
一応予定通り進んで居るが今の所魔族からの接触が無いのが気に掛かった。
私達が屋敷の中に入って間も無く3人の男性が私達の所へ歩み寄って来た。
1人は60歳を過ぎているだろうか杖を突いた男性で残りの2人は20代半ばの男性で
杖を突いた人の付き添いの様に見えた一瞬身構えたけれどもシルクによると人族だと言う事で
剣から手を離し話を聞く事にした。
「アンタらここに入っちゃいかんよ。ここは、長い間放置されてるからいつ崩れてもおかしくないね。」
優しい口調で杖を突いた人から言われた。
どうやら中へ入る私達を見かけて注意しに来たらしい事が判った。
「すみません直ぐに出ますから。ワザワザ教えに来てくれたんですか?有難う御座います。」
私が言うとその男性は手を振りながらにこやかに近づくと躓きそうになり
2人の男性が急いで支えに入った。
「父さん足元注意しないと怪我するよ。」
「ああ、有難う。」
その話を聞いてどうやら親子らしい事が判った。
おそらく父親が足腰を悪くして息子が一緒に付き添って居るのだろう。
その父親が私に向き直るとその父親が私に対して。
「ここは良く子供らが遊びに入って来てね、だけれどこんな状態だろう?時々階段から転げ落ちたり
天井から吊り下げられた物が落ちて来たりして怪我をする子が出るんだ。それで心配になって」
「そうだったんですか、有難う御座います。」
私が礼を言うとにこやかに微笑む男性が一歩前へ出ようとして又転びそうになり
私が手で身体を支えようとするとその男性が私の手を掴んだ。
その手は力強くとても身体の弱った人の手とは思えない。
元冒険者で足腰を依頼中に痛めたのかと考えていると突然残りの2人がタルトとセティアに
圧しかかり私に手を掴んで居た男性も杖を投げ捨て私に襲い掛かった。
「エッ!」
油断して居た私達は驚いて一瞬対応が遅れその場に倒されると隠れて居たシャルドとミンドルが走り寄って来るのが見えた。
「シルク!シャルド!ミンドル」
私が叫ぶと階段の窓からか飛び込んで来た体の大きなたった1人の男にシャルドとミンドルがあっと言う間に
倒された。
「イズミ魔族よ!」
シルクが叫びその男に退治しようとした時その魔族が倒されて居たタルトを片手で持ち上げると
私に向かってニヤリと笑った。
「おい。精霊い使い。精霊に何かさせようとしたら此奴の首が折れる事になる。実体化させろ」
精霊に実体化?何処まで私達の事知ってるんだろう?
仕方なくシルクを呼び出した。
「シルク聞いてた?実体化してくれる?」
「判ったわ。」
シルクが実体化すると階段を誰かが上がって来る足音がしてそちらを見ると
頭に角を生やした魔族が堂々と片手にタリウスを引き摺りながら上がって来た。
「おい!変装を解くのはのはまだ早いぞ!」
タルトを掴んだままの魔族がその男に向かって怒るかの様に怒鳴ると
階段を上がって来た魔族は事も無げに笑い。
「どうせこいつ等しか居ないんだろ?良いじゃないか。ほれ土産。」
そう言って引き摺って来たタリウスを私達の方へ投げ飛ばした。
「残りの奴らはどうした?」
「一応縛って有る。そいつはしぶとくてな。少々痛めつけたらこうなった。」
そのタリウスはボロ雑巾の様にその場に倒れそのまま動かないで居るが
まだ息があり気を失って居る様に見えた。
タリウスも手練れの筈だったがそれをいとも簡単にここまで痛めつけるとは
この魔族の底力が知れず恐ろしくなった。
そう思って居ると2つの足音が階段を上がって来るのに気付きそちらへ視線を向けると
2人の男が姿を現した。
1人は何処にでも居そうなやせ型の細い目の男で
もう一人は如何にも軍人らしいガッチリした体格で
顔も厳つく何よりもその目つきが鋭く只者でない雰囲気を醸し出していた。
その目つきの鋭い男が階段を先に上がって来た魔族を見据えると静かだけれども
迫力のある声で話し掛けた。
「おい!リムド、やり過ぎだ。まさか殺しちゃいないだろうな?」
「ジャシルか、一応生きてるから心配するな。」
ジャシル?この茶色の髪の厳つい顔のこの魔族がボス?
そのジャシルと呼ばれた男と一緒に階段を上がって来たやせ型の男が
私達を押さえていた3人の人族の男に合図を送ると彼等はさっと身を引き私達の側から離れて行った。
それを確認するとジャシルと言う男が私に近づき身を屈めとニヤつきながら顔を近付けて来た。
「俺らは戦争屋だお前らの考える位の事は分かるんだよ。それからお前の仲間2人も俺達が預かって居る
下手な事をすれば分かって居るだろうな?」
この場に居る魔族は4人残り2人がシェルシアとカリナの所に居るとすれば人数は合う。
「貴方がボスね。」
「ボスか、良い言葉だな。まあそんな所だ。それから人質はお前の仲間2人だけじゃ無い事を覚えて置け」
ジャシルが一緒に階段を上がって来たやせ型の男に合図を送ると私達を押し倒した人族の男達が
無言のまま互いに首を絞め合い始めた。
操られている!
術者だ!
そう思うと冷や汗が背中に流れるのを感じた。
「止めて!」
私が叫びジャシルが片手を上げるとその術者らしい魔族が人族の男達に合図を送り彼等もその手を止めた。
そして続けてジャシルが私を掴んで窓まで連れて行きそこから外を見ると
何時の間にか集まって来ていた大勢の人達を指さした。
「それからあいつ等も俺達の指示通りに動く事を忘れるな。」
「あの人達は?」
「あいつ等は俺達の言うがままに動く奴隷だ。」
「操って居るやはり彼が術者なのね。」
「タタン」
ジャシルが隣に居た魔族を呼ぶと屋敷の敷地内に居た多くの人達を
指で示す方向へ自由に動かしてもせた。
それを確認させたジャシルは満足そうに笑うとリムドと呼ばれた魔族と最初に私達に襲い掛かった魔族に
私達を後ろ手に縛り上げさせた。
『問題はタタンと呼ばれた人を操る事の出来る魔族か、一人なら私がなんとでも出来るけど
問題はその後残った魔族がどう動くか?同時にもし一人でも倒し損ねれば
人質に取られた人が殺される事も十分考えられる。
それにシエルシアはどうにかなるとしても捕まったまたままのカリナもどうなるか判らない。』
そう思うと一人で動く事は出来なかった。
かと言ってタルト達と話そうとしても離れた場所に一人づつ縛り上げられてる為相談する事も出来ない。
1人悩んで居ると最初に私達を襲った魔族が縛ったままセティアを無理やり立たせ隣り合って部屋へ連れて行こうとして居るのが見えた。
嫌がるセティアを見て思わず私がその魔族に風の刃を放つとセティアを盾に使われ
慌てて風の刃を解くとその魔族が薄ら笑いながら私にイヤらしい笑いを見せ。
「無駄な事はよせ。俺はこいつから楽しませて貰う良いよなジャシル」
「ああ、勝手にしろ」
ジャシルは笑いながら私の髪を掴み上げるとニヤリと嫌な笑いを見せ。
「その次は俺がお前の相手をしてやるから楽しみに待ってろ。」
その間にも連れ去られるセティアが身体を片腕で抱き上げられながら連れて行かれる。
セティアが暴れて逃げようとするが太い魔族の腕がそれを許さなかった。
「止めて!嫌!いやだ~!」
セティアがどんなに泣き叫ぼうとその魔族は嬉しそうにしているだけで
その動きには何も躊躇する様な動きは見られなかった。
その姿を見て私は思わず叫んだ!
「セティア!ダメ!止めて!私なら何でも言う事聞くからお願いセティアを許してあげて。」
「ダメだ。どっちにしろ次はお前が俺の相手になって貰う。」
「オルイド!ゴメン、予定通り行かなかった・・・」
「何だ男の名か?ここに居た奴らは既に動ける者など一人も居ない。残念だったな。」
そう笑うジャシルの後ろではその魔族の男に嫌がるセティアが部屋の中へ連れ去られて行ってしまった。
それからのセティアの泣き叫ぶ声と
何かを叩いたり抑え込む様な大きな音が何度もその部屋から聞こえたが
やがてセティアの声が聞えなくなり静かになった。
それを嬉しそうにジャシルはニヤケながら私に顔を近付け私の頬をその太い人指し指で撫でた。
「これが現実だ。」
そう言って笑うジャシルが憎くてしかたなかったが
今この部屋には、私にはジャシルそしてタルトにはタタンと呼ばれた魔族
実体化したシルクにはリムドと呼ばれた魔族が一人づつ彼女達を片手で掴み
もう一方の手に短剣を持ち
『動けば仲間の命の保証はない』と脅され勝手に動く事すら出来ずに居た。
「セティア・・・ゴメン・・」
その言葉も空しく暫くセティアが連れ去られたその部屋から誰も出て来る気配が無かった。




