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男の娘って何ですか?  作者: とらいぜん
3章 魔族
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30  ミリニシアでの魔族その2

囮に使って居る宿は少々高めだが女性に人気が有り綺麗で食事も人気の宿

場所は人気の多い場所に在り昼は一般の客も利用する人気店だ。

この場所なら人の目にも付きやすく私達も見つけやすいだろうと皆と決めた宿だ。

部屋数はそんなに多く無いがどの部屋も手入れが行き届きオルイド達が使って居る宿とは大違いだった。

一応偽装の為私達の部屋は4人部屋を数日間借りて有るけど

今は私とタルト2人だけがこの宿に来ている。

セティア達とは後でここで合流する予定で今日魔族達がこれ以上の接触が無ければそのまま合流

もし何かしらあった場合オルイド側で保護する予定になって居る。

その宿の部屋でタルトと2人で部屋の装飾品などを見ながら雑談して居た。


「タルト、こっちの宿が私達の拠点だったら良いのにね。」


「でも、流石にこっちは目立ち過ぎかもね。オルイド達が行動しずらいでしょうし

隠れるには合わないから仕方ないよ。所でシルクまだ帰って来ないみたいだけどまだ魔族達の拠点の宿見付からないのかな?」


「そう言えば遅いよね。そろそろ帰って来てもおかしく無いんだけど」


それから暫くしてシルクが帰って来ると魔族達の使って居る宿が2つある事が判った。


1つはジャシルと言う魔族ともう一人2人で使って居る『モーカス』と言う古いが少し大き目の宿

もう一つは残りの4人が泊ってる『リンカ』と言うマーカスから少し離れた宿の2軒だった。

そしてもう一つシルクがも足らした情報があった。


「それからその宿から少し東へ行った所に魔族を誘き出すのに丁度良い

壊れかけた3階建ての屋敷跡が在るわ。

そこなら暴れ放題よ。」


「シルク有難う。オルイド達さえ良ければそこへ誘き出そうか。」


「分かったわ。それじゃオルイド達にも伝えて来る。」


シルクがオルイド達にその事を伝えに行き1時間程で


シェルシア始めセティア達がイズミ達の部屋へ入って来た。


「イズミ。魔増達が食いついて来てあいつ等の居場所も分かったし早速明日行くわよ。」


バタンと大きな音を立ててドアを開けたと同時にシェルシアが元気にイズミ達に言葉を放った。

イズミは今迄見せた事の無い様な生き生きとした彼女らしからぬ笑顔を見て

逆に不安が募って来た。


「シェルシア張り切るのは良いけど大丈夫?」


「任せなさい!シルクが調べてくれた屋敷の見取り図も手に入れたし問題無いわ。

それよりイズミ既に魔族の一人がこの宿の前で私達の様子を伺ってるから気を付けなさい。

恐らく近い内に彼等は行動を開始する筈。

その前に私達が動く。良いわね。」


嬉しそうに腕組みをしながらシェルシアが話すと途中からシルクが口を挟んで来た。


「それなんだけど今外に居た魔族の男に後から来た魔族がその男を急ぎ帰させたわ。

恐らく彼等が動き出すのはもっと早いんじゃないかしら?

もしかしたら明日にでも動き出す可能性が有るわ。」


「シルク!その男を直ぐ追って情報を得て貰える?」


「直ぐ行くわ。」


シルクが精霊状態になり窓から風に乗り飛んで行くと

その場に居る全員がイズミの周りに集まり

直ぐにその対策を練り出した。

そしてその後ろには腕組みをして固まったままのシェルシアだけがその場に取り残されて居た。


「私頑張ってるよね。確かさっきまで私が引っ張ってた筈なんだけど、何でこうなるの?」


呟いたシェルシアの額に一粒の汗が流れていた。


シルクが帰って来たのは、その日の夕方皆が食事を取ろうとした頃

私達の部屋へ帰って来た。

彼女の話によると彼等の行動開始が明日の夕方以降

計画としては一人一人拉致して行く計画らしい。

簡単な話まず一人を連れ去り残った者が探しに出た所を一人づつ拉致して行くと言う。

正直余りにも安直な方法だけれど私達が彼等の事を知らなければ結構有効な手段には違いなかった。


「それじゃあ私達も明日の夕方から行動開始ね。まずは、

彼等の思う様に拉致されない様に必ず2人以上で行動する事。

恐らく私達がここを出た時から尾行して来る筈だから買い物でもする振りをしながら例の屋敷まで誘き寄せる。組み合わせは私とセティアとカリナ、そしてイズミとタルト2組で行動する事。良いわね。既にオルイド達が屋敷の中に待機して居る筈だから中にさえ入ってしまえば私達の勝ちよ。」


シェルシアが元の調子を取り戻し皆に向かって作戦を説明していた。


「後は先程話し合った様にもし拉致された場合私が渡した笛を吹く事、

音自体は出ないから隠れて吹けば彼等には分からないしシルクが見付け易くなるから必ず実践して欲しい。」


その笛とは私が近くの店で買って来た安い物だけれど音が出ない様に少しいじって有る

その代わりシルクにはその風の動きを覚えて貰いその笛を吹けば何処に居るか分かるようにしてあった。


「でっイズミその笛は良いとしてさっきから何故か私がこれから良い所と言う時に

貴女に持って行かれて居る気がするんですけど。」


ふくれっ面になりながらシェルシアが私に言い寄って来るけど私も

言って置かなくちゃならない事が有るから仕方ないんだよね~。


「えっへへへ。でも皆の安全を考えたら言って置かないと行けないな~と思って。

でもあの作戦シェルシアが考えたんでしょ。」


「んっ、イズミ達がギルドに行った後オルイドやセティア達も居たけど殆ど私が考えたかな?

まああの屋敷の事は後になってシルクが持って来た物だからオルイド達の案なんだけどね。

ただ魔族の尾行の為顔を知られてない人を一人残して貰う事になってるから。それは私の案。

もし何か有ったらいけないからね。」


「そうよね。流石シェルシアだわ。」


その一言でシェルシアの機嫌が直り顔に輝きが戻って来るのが判った。


「ちょっちょろい・・・元女神がこんなにちょろくて良いのかな?」


私が

呟くもそんな事にも気づかず更に元気にテキパキと皆に指示を飛ばしていた。


そして翌日の夕方最初にセティア達が宿から出て行くと

その後を少し離れて魔族の男が付いて行くのがシルクの報告で判った。


「食い付いた。次に私達がここを出て別ルートで予定の屋敷へ向かう。

タルト良い?」


「何時でも良いよ。」


タルトの意思を確認すると二人で頷き少し時間を空けてから私達も宿を出ると

間も無くシルクがセティア達の誰かが笛を吹いたと急いで精霊状態で飛んで行った。

そして直ぐに戻ると

シルクから驚きの報告を受ける事になった。


「イズミ、今セティア達と一緒に居た筈のシェルシアが突然消えた。でも、彼女も笛を持って居た筈なのに何故か彼女が笛を吹いて来ないのよ。」


「そんな!シェルシアには昨日ちゃんと渡した筈よ!」


そして急いで私達が部屋から出ようとした時

シェルシアが使って居たベッドの上にポツン何か置かれたままなのに気が付き近づいて見ると。


「笛?あ~~。シェルシア笛忘れてる~~!」


「イズミ、でもシェルシアはあの幻術使えるんでしょ。大丈夫じゃないかな?」


「そうなんだけど、あのシェルシアだからな~

何をしでかすかそれが心配で。」


「あっ・・・判っちゃった気がする・・・」


その後宿を出てセティア達と合流する為宿を出て急いで歩いてるとシルクが

私に近づいて来た。


「イズミ、笛が鳴ってる!行ってみる。イズミはそのままセティアと合流して。」


「判った。シルクそっちは頼むわ」


そこでシルクと分かれるとそのままセティア達の所ヘ行くと

セティアが不安そうな面持ちで私達を待って居た。


「イズミ!ゴメン!シェルシアとカリナが何時の間にか居なくなってた!油断はしてなかった。

なのに気が付いたら2人共・・・」


「セティアのせいじゃ無いよ。きっと彼等が人混みに紛れて得意の隠蔽魔法を使って居たのかも知れない、その場合貴女一人じゃどうしようも無かった筈だからそんなに自分を責めないで。

それに今シルクがカリナの元へ向かってるからきっと大丈夫よ。」


タルトが動揺しているセティアの手を繋ぎながら静かに宥めている

その脇に居たイズミが此方の様子を伺って居る一人の男に気付いた。


「私達を見て居る人が居る。タルトこのまま、あの屋敷に行こう。」


「うん、セティア行こう。カリナはシルクが向かってるからきっと大丈夫よ。

シェルシアは・・・羽目を外さなきゃ良いけど・・・」


タルトが苦笑いしながらセティアの背を押し例の屋敷へと歩を進めると

イズミが見付けたその男もイズミ達の後を追って行った。

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