27 元女神のシェルシア
「そう仕方ないわね、所で私達を誘拐みたいな真似をして連れて来るなんてどんな理由が有るのかしら?
その理由をちゃんと聞かせて貰えるわよね。オルイド」
その言葉にその男はフードをとり馬車を止めた。
「何時気が付いたんだ?」
「最初からよ。逃げようと思えば何時でも逃げられたけど貴方が居たから様子を見てたの。
それで何故こんな事したか答えて貰えるわよね。」
「・・・」
「貴方が大好きなタルトにこんな思いまでさせて誘拐染みた事したんだものただ事じゃ無いわよね。
どうなの?オルイド」
「バクス派の逃げた魔族達がタルト達やミリニシアの人達を狙って居る。
あいつ等既に人族に化けてミリニシアに潜んでるんだ。」
「魔族?貴方イズミ達の強さ過少評価してない?イズミそんじょそこらの魔族より強いわよ。
それに私だって守る事に関しては自信有るしこんな事しなくても話せば対処出来ると思うけど。」
「イヤ過少評価等して無いさ。イズミは強い俺など到底及ばない程にな
しかしそれには条件が有る。その他に被害が及ばないと言う条件が。」
「どう言う事?」
「イズミは優しすぎるんだ、以前俺と戦った時も周りの被害を考えてこいつは力を出し切れず
俺と互角の戦いになった。もし人混みの中で人質を取られたこいつが魔族にお襲われたらどうなると思う?」
「なされるがまま?」
「恐らくそうなる、そんな奴がタルト達を守れると思うか?」
「それにしてもこんな事しなくても良かったんじゃない?」
「俺が何年タルトを見て来てると思うんだ。
タルトはミリニシアの人達が危ないと知ったら必ず助けようとするだろう。
でもそれがあいつ等の狙いなんだ。あいつ等はファシズ達に協力したタルト達を恨んでる。
イヤ、本当は誰でも良いのかも知れないが兎に角あいつ等は自分の怒りの対象を探してるんだ。
あいつ等は歪んでるファシズの言葉を信じない程にな。」
「それで彼女達を何処へ連れて行くつもり?」
「エルフの森の俺達の村で保護する。流石にバカなあいつ等でも森の中でエルフと戦うような事はしないだろう。それに来たとしてもそれこそこちらの思う壺だ」
「それでタルトは、納得すると思う?」
「思う思わないの問題じゃない。例え恨まれようと俺が死のうと彼女さえ生きて居ればそれで良い。
それでいずれ他の男と結ばれても彼女が幸せでさえ有れば。」
「随分男らしい身勝手な考えね。
タルトは、ずっとその事を胸に抱えながら生きて行かなくちゃならないのよ。
それが幸せだと思う?
貴方は残った人の事を全く分かってない。」
「しかしタルト達が死んでは何にもならないだろう。」
「私が死なせやしない。行き先変更よ。行き先はニシア森の神殿!あの石頭に
会うのは癪に障るけど仕方ないわね。ほら!惚けっとしてないで出発~!」
「おっおう」
まだイズミ達は寝てるしこのまま神殿に行くとしてその後
やっぱりミリニシアの冒険者ギルドにも行かなくちゃならないわね。
まあそちらはイズミに任せるか。
「あっそう言えばこの睡眠薬何時になったら切れるの?」
「明日の朝には切れる筈だが」
「そうそれじゃもう少し寝てて貰おうかな。」
シェルシアが睡眠の魔法を掛けイズミ達がシェルシアの睡眠魔法が解かれたのが
ニシアの森の神殿に到着するその日の朝だった。
「うわ~腰が痛い!」
「すまんな。暫くの間そこで寝て居て貰ってたから。」
「オルイド!」
イズミが寝起きに腰を擦りながら声のする方を見るとそこには
オルイドが馬車から馬を外して居る所だった。
そしてそこから中を覗きこんで居るシェルシアがイズミが起きたのを確認すると
嬉しそうに手を振りながら挨拶をして来た。
「おはようイズミ起きたみたいね。朝食用意できてるから食べない?
勿論オルイドが作った物だけどね。」
「シェルシア!えっ!どう言う事?一体ここ何処?」
イズミが馬車から降りるとそこは直ぐ目の前に森があり馬車を止めた場所には
既に他の馬車も数台止めてあった。
そして良く周りを見渡すとそこは見覚えのある場所。
「シェルシア。ここもしかして神殿の入り口?」
「正解~。以前依頼で来てたもんね。」
「でも何でこんな所に連れて来たの?・・えっ!
まさか私達が襲われた場所からもしかして私ずっと寝てたって事?」
「そう言う事。まあ事情は皆が起きてからオルイドと一緒に説明するわ。」
そして食後オルイドの話によると
魔族との戦いの翌日ふと自分達を隠れて監視して居る数人の魔族
が居る事に気づいたそうだ。
コッソリ彼等の後を付けると4人の魔族がそこに居た。
そして彼等の話を聞く事が出来たがその内容と言うのが。
「ファシズの話しは信用ならない!第一今迄多くの仲間があいつ等により命を落としたでは無いか!
口では良い事を言って置いて何をするかわかったもんじゃ無い!」
「おう。それは俺も賛成だ!今までバクスの為働いて来てここに来て急にクリアが魔王だからと
直ぐにアイツの下に着けるか!飛んでもない!奴らは俺達のやって来た事を全て潰したじゃ無いか!
あいつ等さえいなけりゃ俺達だってもっと上に上がれたかも知れない。」
「だったらあいつ等に一泡ふかしてやらないか!イラエミス共和国では俺らの対策が施され分が悪いが
ミリニシアだったらあの女達も居るし多少暴れても直ぐには気付かれまい。
どうせやるならあの女達に楽しませて貰ってから暴れても遅く無いだろう。」
「あの女?俺達を治療してくれたあのエルフの女か?
俺は・・・」
「はあ?なに怖気づいてる?」
「違う!俺は、彼女達に感謝してるんだ。その彼女達は、俺や一緒に居た仲間を敵味方関係なく治療してくれた。だから、彼女達に手を出すのは反対だ。」
「あんなのはあいつ等が俺達を懐柔させる為にやってたに違いないじゃ無いか!あんなものに騙されるな!」
「しかし俺はやっぱり嫌だ!例えそうだろうと敵である俺達を治療してくれた事に違いない。
魔族の誇りをもって治療してくれた相手を襲う事は出来ない!」
「何が誇りだ!ふざけるな!俺達は今迄必死に戦って来た。
それをあいつ等が全て台無しにしたんじゃないか!お前みたいな奴は魔族の風上にも置けん!
死んで誇り高く死んで行った仲間に詫びろ!」
結局反対したその男は他の3人の魔族に殴り殺されたそうだ。
その後直ぐにオルイドはイズミ達に一言言って彼等を追って行ったが
ミリニシアへ入って行った所を確認した後見失ってしまったそうだ。
その時聞いた話がその他にもまだ人数は分らないが仲間が居る。
「そう、それで何故ここへ」
最初に口を開いたのはセティアだった。
「ここへは私が話を聞きに来ました。」
シャルシアが嬉しそうにそう言うと。
「「「誰に?」」」
セティアやタルト達まで声を揃えて聞いて来たがイズミは何となく判った気がした。
「勿論キプリニシア。」
「へえ?ニシア様?女神様と話せるの?」
「だから私は最初から元女神だと言ってたじゃない。」
セティアが聞いたその返事に全員が驚いた表情でイズミの方へ視線を送ると
イズミはすまなそうにただ頷くだけだった。
「「「えっえ~~!冗談かと思ってた!」」」
流石ニシアの風のメンバー息がピッタリだった。
ただ一人頭を抱えたイズミを除いて。




