16 イズミ達の悩み
その旅も最初の5日間は順調に進み何事も無かったがその日はイズミ達は盗賊に襲われた。
彼等はボロボロの服に身を包み襲って来たがそれ等をイズミがまるで遊んで居るかの様に捻じ伏せた。
その時心配していたミナトに向かい。
「ミナト大丈夫、貴方は私が守る。」
その言葉がミナトには辛い言葉として心に残った。
『本当なら男である俺がイズミ達を守らなければならないのにこれじゃまるで逆じゃないか。』
そして最後にニコリと笑い又何事も無かった様に旅を始める対し自分を情けなく思う気持ちが大きくなっていくのが分かった。
しかしその夜イズミ達と話しその笑顔を見るとその気持ちが和らぐのも確かな事実。
イズミと居ると安らぎ何故か近くに居るだけで心躍る気がした。
後で知った事だがイズミが使って居たのは魔法ではなく『精霊の力』だそうだ。
詳しくは分から無いが綺麗なイズミらしいその『精霊』という言葉にミナトは何故だか嬉しくなった。
そしてその他にも俺とシトラルと言う竜人と帝国の勇者そしてシフォンとパーティを組んで居たらしい事が分かったが未だ俺とシフォンの関係の事になるとイズミは黙り込んでしまって居た。
時々イズミ達の話しに出て来るシフォンと言う名。
ミナトが思い出そうとしても思い出せないその名をイズミが口に出す時何故か沈んだか顔になる。
『俺とそのシフォンとは余り仲が良く無かったのかも?
そうなると尚更会い難いな』
そんな思いがミナトの心を痛めた。
そしてある夜、野営しイズミ達が食事の用意をしている時
ミナトが用を足しにテントから離れて行ったその先の暗闇から数名の男達が現れた。
彼等の頭には角が生え目が赤々と光り輝きまるで今にも殺されるのではないかと思えた。
「うっうあわ~~!」
ミナトは逃げようとするが
恐ろしさの余り足が上手く動かないそんな所を彼らに捕まってしまった。
その時ミナトの叫び声が聞えたのかイズミ達が駆け寄り精霊の力で彼等を倒してしまった。
ミナトが全く歯が立たなかった彼等を簡単に倒したイズミを見るミナトは自分が途轍もなく
情けない存在に思えた。
そしてついイズミが出してくれた手を跳ね除けてしまった。
「イズミほって置いてくれ。俺男で有りながらずっとイズミ達に助けられてばかりだ!
本当情けない!」
「でも、それは今ミナトが魔法を使えないだけで決してミナトのせいじゃ」
イズミのその言葉を途中でミナトが遮り
「そんな事関係ない!俺は、・・・もうイズミ達に助けてもらわなくても良い。
一人で首都まで行って見せる、
もし途中で死んだとしてもそれは俺自身のせいでイズミ達には」
そこまでミナトが言った時シェルシアがミナトの頬を平手で叩いた。
「バカ!貴方今イズミがどんな気持ちか分かる?見なさいよこの手」
そう言ってイズミの右手を掴んでミナトの目の前に持って来ると
「この手はね、イズミが貴方を助ける為に失ったのよ!それなのに貴方はそんな女々しい事を言って恥ずかしいと思わないの?」
それを聞いたミナトは愕然とした。
自分を助ける為に自分の右手を失いながら今迄全くその事に触れず
自分の事をずっと気遣ってくれたイズミ。
『情けない。情けない。』自分がどれ程小さな人間だったんだろうか?
それなのに今も変わらず自分を気遣ってくれるイズミを見ると涙が出そうになって来た。
「イズミゴメン。俺の為の怪我だったんだそれなのに俺は自分だけの事でつい。」
そう言って必死に涙を押さえ俯いたまま顔を上げられなかった。
その彼女を助けようと彼女の友達のシェルシアがイズミにずっと付き添って居る。
ミナトはイズミの為彼女に「責任を取る」そう言ったが
彼女はその言葉を跳ね除けた。
「それはダメ。私はミナトをシフォンさんの所へ届けなきゃ行けないのだからそれは出来ない。」
又『シフォン』その人は一体どんな人なんだ!
イズミがこんなにもその人に拘るのは何故?
今のミナトには目の前のイズミの事がシフォンと言う顔も知らない人よりもずっと大事な人になって居た。
「それじゃ俺はそのシフォンと言う人の所へ行って話を付けるだから一緒になろう。」
「ミナトは私の右手の事に対して罪の意識が有るかも知れないけど
其れだけだったら私はその言葉を受け取れないし、シフォンさんとの関係を壊したくない。」
又シフォンだ。
『違う俺は今目の前に居るイズミの事の方がずっと大事な存在なんだ。』伝えたかった。
「そんな・・俺はその手の事だけじゃ無いんだ、俺イズミの事が」
そこまで言い掛けた時シェルシアがミナトを止めた。
「ミナトそこまで、後はシフォン達に会ってから決めましょ。イズミも良いわね。」
シェルシアのその言葉にイズミが頷くとミナトもそのまま黙るしかなった。
そしてその思いを抱えたままそのシフォンと言う人が居る
首都キリガリへ向かって旅を続ける事になった。
途中知り合った行商の荷馬車に護衛をする事を条件に乗せてもらい
旅を続ける事もあり途中盗賊に襲われる事も無くスムーズにキリガリ近くの漁港まで来ていた。
ここからは主道をキリガリに向けてそのまま行けば迷う事無く首都キリガリまで着ける。
その前にこの漁港で一泊して身体を休めてから向かう事になった。
「ミナト疲れたでしょ、ここには新鮮な美味しい魚が食べられるんだってここで一泊してからキリガリに向かおう。」
以前あんな事を俺がイズミに言ったのに
まるで何も無かったかのように今まで通り振舞うイズミの姿を見て
自分の器の小ささを感じていた。
そしてそのイズミ自身はシフォンの所へミナトを送り届ける時間が日々減って行く事に
不安を感じていた。
そして自分自身の気持ちが一体どうなってしまったのか?
タルトへの気持ちは、確かに大好きな女性と言う気持ちが始めは有ったが
今は大切な親友と言う気持ちが大きくなってる
それに対してミナトへの気持ちは逆に始めて会った時は楽しい心許せる友と言う感じだったが
今はその頃と随分変わって来ていた。
シェルシアに言わせればそれが本来のイズミの心の有り様だと言われたが
生前男として16年間生きて来たイズミとしては未だその言葉がしっくりこない。
『シェルシア私本当にこのままで良いのかな?』
時々シェルシアに問いかけるも何時も
『そのままのイズミで良いのよ』と微笑みながら答えが帰って来る。
そう言う時以前シェルシアが言って居た。
『前世では女性として生まれる筈が何かの間違えで男として生まれて来た。』
それが今女性の身体を得て本来のイズミの心が表に出て来たと言う事なのだが
『男として生きた16年、ヤッパ長いよな~。』
今だ悩むイズミがそこに居た。
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これらは、同日更新又は前後日更新の物と同時間の物とする予定ですので
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今後とも『男の娘って何?』
宜しくお願いします。




