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男の娘って何ですか?  作者: とらいぜん
1章女神 シェルシア
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16女神 シェルシア  洞窟2 想い

間も無く卒業のイズミ、これから新展開の予感

そのきっかけがここから始まるのでは?




洞窟内に飛び込んで来た筈のミナトが今ここに居ない。

その意味する所は崩れ落ちた岩の下敷きになったとしか考えられ無かった。


「ミナト」


イズミが思わず呟くも誰も答える筈も無く

思い出されるのは昨夜楽しそうに会話をして居たミナトの顔

そのミナトがもしかしたら岩の下敷きになって・・・

そう考えると涙が止まらなくなった。


その時入り口の方から岩が崩れる様な『ガラガラ』と言う大きな音が響いて来た。

その音を聞いて『又洞窟の弱くなった部分が崩落した。』そうイズミが思って居ると

シルクがイズミに顔を近付けて来た。

そして


「イズミ、風が動いた。誰か来るわ。」


「シルク何処?誰が来るの?」


「今崩落した入り口の近く、怪我をして足を引き摺って居るわ。男の人だけれど、

もしかして彼がイズミの言って居たミナトと言う人かしら?」


シルクの言った方角を見ると確かに何かが動いて居るのが見える。

「シルクどんな人?」


「黒髪に黒い瞳の男性左足を怪我をしてこちらに歩いて来るわ。」


「ミナトだ!」

イズミは直ぐに立ち上がりミナトに向かって暗い中走り出した。


「ミナト~~~」


イズミが駆け寄ると安心したのかミナトが崩れ落ちた。

それを見たイズミはミナトに抱き着き泣き叫んでした。


「ミナト、良かった生きて居た!良かった。良かった~。」


直ぐにタルトも駆け寄りミナトにヒールを掛けるも

余りにも酷いけがの為治り切らない。

ミナトは、痛みが大分引いたから大丈夫と言って居たが

その傷が余りにも酷く見て居られずシルクに傷の治し方を聞くと、

やはり傷口にキスをするしか無いと言われ少し躊躇したが思い切ってその足の傷を治す事にした。


「私も出来るだけやって見る」


そう言ってミナトの足に顔を近付けてキスをする。

元男としての初めて男に対してのキスだったがおかしな事に戸惑う事無くキスをする事が出来た。

そのまま唇を当て続けるとタルトの時と同じように自分の体の中から何かが

ミナトの傷ついた足へ流れ込んで行くのが分かる。


その流れが落ち着くのを感じてから唇を放すと

その傷が治って行くのが自分の目で確認できた。

『良かった精霊の力が効いた』


怪我をしたミナトも驚いた様に

自分の足を眺めて居た。

そしてイズミに何をしたのか聞いて来たので精霊の力で治した事を説明しようとしたが

『幾ら傷を治す為とは言え私がミナトの足にキスをして良かったんだろうか?

ミナトはシフォンの事が好きなのに他の女性からその様な事をされて迷惑じゃ無かっただろうか』

等と考え始めてしまい。


「うん、効いて良かった。これも精霊の力なの、口からでしか効力が出ないのが難点なんだけれど

効果は抜群なんだ。だから私自身の問題なんだけれど・・・誰にでも出来る分けじゃ・・・

ゴメンこんな方法でしか治癒させる方法が無くて。」


そんなイズミに対してミナトは優しくイズミの頭を撫でながら


「俺の方こそごめんな、皆を助けに来た筈なのに逆に心配掛けさせて

それにイズミにこんな事までさせてしまって。」


この時イズミは

『何て優しい人なんだろう。こんな人に慕われるシフォンと言う人が羨ましい』

とさえ思い始めて居た。

そう、この時イズミの中で何かが変わろうとして居たがイズミ自身それを自覚する事が出来ずに居た。


そしてミナトからここから出る方法を考えなくてはならないと言われ皆とも相談したが

兎に角洞窟の岩盤が弱くなっていて下手に大きな力を加えると何処から崩れるか分からないのではないかと言う事になった。


「ねえ、どうせ崩れるなら入り口近くで何か方法を考えた方が良いんじゃない?」

イズミが提案すると。


「あそこが一番最初に崩れたんだから入り口付近が一番脆くなっているんじゃないかな?」

とキャミアが答える。


「それじゃその周辺の岩盤を補強すれば良いんだよね。」

イズミが何か思いついた様にそう答えるとミナトも

それに追従して

「そうか。イズミ、隣に居る精霊に頼んで外に居るミラエスと連絡取れないか?」


「えっ!ミナト、シルクが見えるの?」

この時まだシルクは精霊状態でまだ実体化して居なかったのだった。


「ああ、見えるよ。後シフォンと勇者も見える筈だ。」


「私以外にも見える人居たんだ!凄い!」


「イズミ何の事?シルクってイズミの精霊でしょ?」


タルトが不思議そうに聞いて来ると所を見ると

ヤッパリ他の人達には見えて無い様だった。


「うん。ここに居るんだけれど精霊状態だと私以外には見えなかったの、でもミナトには見えるみい。」


「それじゃミナトも特別?」


「そうだと思う。所でミナト外に何を伝えれば良いの?」


「ミラエスに洞窟入り口付近に木の根を張らせる事が出来るか聞いて見てくれ。それが可能なら

出来るだけ多くの根を張らせて入り口付近の岩盤を補強して欲しいと伝えて欲しいんだ。」


「分かった。それじゃシルクお願い。」


その事をシルクに伝えると直ぐに皆で洞窟入り口まで移動し樹の根が張るのを待って居ると

間も無くまるで生き物の様に外から根が入り込み洞窟の中で成長し始めた。

そして直ぐに岩盤を覆いつくす程の根が張り付くとその成長が止まりそれを確認したミナトが

皆が居る事を確認して。


「イズミ、シルクに頼んで洞窟の入り口前を開ける様に伝えてくれ、中からこの瓦礫を吹っ飛ばす。」


それを聞いてそのままシルクに伝えて貰い

外の安全が確認できるとミナトが皆に向かい


「良し、行くぞ皆瓦礫が吹き飛んだら直ぐに外へ走れ、

幾ら樹の根で補強されてるとはいえ何時まで持つか分から無いからな」


その言葉に頷く皆を確認すると。


「エアバースト!」


空気の塊が入り口の岩を吹き飛ばした。

それを見て直ぐに走り出すイズミ達。

彼女達が全員外に出て間もなくその洞窟が崩落した。

無事全員が洞窟から出る事が出来た。

その安心感からカフェスが呟いた。


「助かった。」


それは、ここに居る全員の思いでも有った。


全員がその場に座り込みほっと一息着いてる時ミナトに白銀の魔女が駆け寄り

抱きついて泣き出した。


その白銀の魔女を見るミナトの目はとても優しく愛しい人を見る目をしていた。

その姿を見たイズミは胸が締め付けられる様な苦しみを感じた。

『何でだよ、相手は男だぞ何でこんなに苦しいんだよ。おかしい、そうきっとこの身体のせいだ

でなきゃこんな想いをする筈ないじゃないか。』そう思いながら頬を暖かな物が流れ落ちるのを感じた。

その時白銀の魔女からミナトの傷を治した礼を言われたが、

自分からは、助けられた礼を言うのが精一杯だった。

それを見ていたキャミアがイズミの様子に気付いた。

「イズミ貴女」


「お願い見ないで!」

そう言って駆け出してしまった。

『嫌だ!何で涙が止まらない。胸が苦しい、こんなの皆に見られたくない。』 

必死に涙を止めようとしても止められない、タルト達にこんな姿見られたくないその思いで走り続けたが

途中でキャミアに捕まってしまった。


「イズミ、ゴメン私達貴女の気持ちも考えずに言い過ぎた。本当にミナトの事が好きだったのね。」


「分かんない!ミナトは、ただの友達だった筈なのに何でこんなに苦しいの?分かんないよ!」


そうミナトとは話も合ったし意気投合して楽しかったのも確かだったけれど

男だしそれ以上の気持ちは無かった筈。

なのにあの白銀の魔女を見るミナトを見た瞬間急に胸が締め付けられる様に苦しくなり

自然に涙がこぼれ落ちた、絶対こんなの変だよ。

私おかしくなっちゃった。

そんな思いをしながらもその気持ちを抑え様としていたイズミにキャミアから優しい声でささやかれた。


「本当不器用な子ね。兎に角部屋に戻りましょう。イズミいいわね。」


そう言われ皆で部屋に戻ってもまだその胸の苦しみは残ったままだった。

必死に涙を抑えてはいたもののキャミア達の優しい言葉がそれを簡単に崩壊させた。


「イズミ今日は私が付き合ってあげる思いっきり泣きなさい。人前で泣けるのは女の特権よ。」


その言葉にキャミアに抱きつき声を出して泣いてしまった。

何時から自分がこんなにも涙脆くなってしまったんだろう。

この身体になって何かが変わった気がした。

初めは身体だけで心は男のままだと思ってたのにいつの間にか

その心の中も変わって来てるのかも知れない。

そんな思いが巡る中キャミアの優しい甘い香りがとても心地好く

少しづつ気持ちが落ち着いてくるのが分かった。


「キャミア有難う。もう大丈夫。」


そう言って顔を上げたが正直まだ胸の苦しみは残っていた。


翌日は休みになり突然の休みにイズミ達は街中に出て買い物や食事を楽しみ誰も前日のイズミの事を

話す人は居なかった。

そんなキャミア達の優しさに触れイズミもだいぶ落ち着きをとりもどしていた。


予定では二日後生徒達や白銀の魔女達の模擬戰が行われその翌日卒業式となる筈だ。


又ミナト達と会う事になるその時自分は平常心で居られるだろうか心配が過ったが

気がつけばその模擬戰当日を迎えていた。


何時も読んで頂き有難うございます。

ブックマ登録も少しづつ増え皆様に感謝しております。

宜しければ

感想なども頂ければ等と贅沢な事も考えて居ますが・・・(^_^;)

気が向いた時で構いませんので宜しくお願いします。


現在『世界で最高の身体を手に入れたら・・』

https://ncode.syosetu.com/n0371fz/

とコラボ中~。


これらは、同日更新又は前後日更新の物と同時間の物とする予定ですので

興味の有る方は、覗いて見て下さいませ。

今後とも『男の娘って何?』

宜しくお願いします。

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