12女神 シェルシア 依頼
卒業まで残り約半月
放課後一人で寮に帰ろうと歩いて居ると突然その人が目の前に現れた。
「イズミ何で私を呼ばないのよ。もう一ヶ月以上経って居るのよ!
待ち切れなくて来ちゃったじゃない!」
その声に気付き前を見るとそこに女神シェルシアが居た。
「エッ!何で来てるんですか!天界ってそんなに暇なんですか?」
「留守番なら頼んだわよ。ペットのニルルに」
「ペット?大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ、誰も来やし居ないもの。それより何で呼ばないの?ずっと待ってたのに。」
「えっと色々有りまして、ちょっと忘れてた。」
そう言って思わず笑うと
「だからその事を聞きたかったの?精霊と契約したんでしょ。その位向こうに居ても分かるわよ、
それで今どうなの?精霊と上手く行ってる?」
「それは大丈夫。結構気が合うみたい。」
「そう、それで貴女どの位寿命削られたの?」
「20年程だそうです。」
「20年!多いわね。私はまだ『ニシア』の名を貰って無いから地上での出来事に対して手出し出来ないからどうしようもないけれどイズミは本当にそれで良かったの?」
「うん俺は、・・あっ!私だね。私はタルトを死なせたくなかった。それに自分自身後悔を残したくなかったからあれで良かったと思う。それに何だろう。今凄く満足して居る。うんそう好きな人を救えた事を助けられた事に対してとても満足してるから。これで良い。例え20年寿命が短くなっても一度死んでこの世界に来たのだから何方かと言えばこの命は、プレゼントされた様な物でしょ。
それにそのプレゼントはまだ残って居るじゃない。だからこれで良いの。」
「そう。そう言う考えも有るのね。何だか男前って言うのかな?それとも恋する乙女?
何方にしてもイズミがそれで良いのなら私は何も言わない事にする。でも、ちゃんと1ヶ月に1度位連絡しなさいよ。私も退屈・・・・・心配して居るんだからね。」
「退屈なんだ。」
「そんな事言って無いわよ。たい・・たい・・え~~・・大変そうな貴女が心配だと言いたかったの。」
「うん。そう言う事にしておく。」
そう言って笑うと女神シェルシアは、ふくれて
「そう言いました。」
「ハイハイ。ねえ今度からシェルシアって呼んで良い?」
「別に私は構わないけど。突然どうして?」
「何だか凄く親しい友達の様に思えて、もっと気軽に話したいと思って。」
「女神に対して気軽にっていう言葉は気になるけどイズミなら良いわ。これからそう呼んで。」
「有難うシェルシア、そう言えばさっきニシアの名を貰ってないって言ってたけど、どう言う事?」
「それは今私は女神としてはまだ経験不足で地上で力を使う事を許されて無いのよ。
それが一人前と呼ばれる女神と認められればニシアの名を貰い
『シェルシア』から『シェルニシア』に名前が変わる分け。
だから言ったでしょ。貴女が私が初めて担当する人だって」
「成程。分かった、早くシェルニシアになれると良いわね。それから今度は、必ず連絡するわ。」
「待ってるわよ」
そして女神らしくない女神シェルシアが帰って行ったが
天界に帰ったシェルシアが突然想い出した様に
「あ~~!もっと話したい事有ったのに思わず帰って来ちゃった!次は、もっと話する!」
結構そそっかしいシェルシア、シェルニシアの名を貰うのはまだ先になりそうだ。
そして冒険者学校の方は、残り半月になると
冒険者ギルドからクラスFの依頼を受ける事が出来る様になる。
ただしクラスFの中でも教官の許可を得た物だけに限られる。
イズミ達は既に何度も以来を受けて報酬を受け取って居るがイズミ達にとって
この何度目かの依頼でも冒険者としての依頼が新鮮に感じられていた。
卒業が近づいたこの日は比較的簡単な薬草を採って来る事になって居るが
薬草と言ってもその生えている場所やその貴重性によってクラス分けされて居る
魔物や危険な場所に自生して居る物や貴重な薬草等を採って来るには
やはりクラスの高い冒険者に依頼されるが
イズミ達の様に駆け出しにもなっても居ない者達の受けられる薬草は、
比較的安全な場所に生えている物ばかり
しかしそれなら何故冒険者に依頼されるのか?
安全な場所なら誰でも行けそうな気がするが物には絶対と言う物は無い。
時には、偶然魔物や野生動物の襲撃に遭い怪我をする者も居る為
せめて自分の身は自分で守れる冒険者に依頼される事になる。
イズミ達はその依頼の為薬草を採りにマリナ山麓に来ていた。
マリナ山の標高は比較的低く山頂まで樹々が生え所々
樹の生えて居ない場所も在るが全体的に見通しが良いとは言えなかった。
期間は2日間の間に採って来ることになっている為、一夜夜営する事になるが
半日ミリニシアまで掛かる為実際に薬草を採れるのは1日だけだった。
採った薬草の代金は、自分達の物になる為張り切るイズミ達。
しかしカフェス達が着いて行く事に苦に感じ始めて居る事に気付いたキャミアが
「イズミもう少しペース落とさない?」
「だってキャミア時間が余り無いから早く行かないと」
「それは分かるけどその前に皆がダウンしちゃうわよ」
「う~ん。分かった、ペース落とすわ。」
そのイズミ達が今居るのはマリナ山の中腹近く。
今回依頼された薬草はマリナ山中腹に群生して居る物で比較的手に入り易い物
場所的にも普段別段危険と言う場所では無かった。
イズミ達もその事を知って居てまるでピクニックにでも行くような気分でマリナ山を登って居た。
しかもその薬草は直ぐに見つかり余りにも今迄が何事も無く依頼をこなして居た為油断して、
誰も見張りに着く事無く全員で薬草を採って居ると突然何処からか突然唸り声が聞こえるのに気が付いた。
その声に驚き皆で周りを見るとそこに1匹のワーウルフが居るのに気づきキャミアが
剣を向け
「イズミ手伝って、タルト達は後ろへ下がって防御をお願い。それじゃイズミ行くわよ。」
その声を合図にイズミは風の刃を放ちその後直ぐに
斬りつけられたワーウルフに斬り掛かったキャミア。
一撃目は避けられたがその返す刀で斬りつける事に成功した。
しかしそのワーウルフはまだ動きが鈍らずキャミアに襲い掛かる。
そこをイズミが更に風の刃で攻撃するとようやくそのワーウルフがその場で倒れた。
それを見たキャミアが
「何でこんな所にワーウルフが居るの?もしかしてハグレ?それとも・・」
その時後ろでそのワーウルフに対して防御魔法を張って居たタルト達から「キャー!」と言う悲鳴が上がった!
タルトの方を振り向くとタルト達の後ろから新たなワーウルフ2匹が襲い掛かろうとして居るのが見えた。
「しまった!おとりに引っかかった?」
タルト達の詠唱は到底間にあわない。
イズミも直ぐに風の防壁を作ろうとしたが余りに近く間に合わない。
タルトに対して叫ぶしか無かった!
「タルト~~!」
襲い掛かったワーウルフはタルトの直ぐ目で飛びつこうと飛んだ時
何かに阻まれ崩れ落ちる様にその場に倒れた。
そこへイズミが風の刃を先ほどよりも強力に範囲を広げて攻撃して
仕留めた。
それに気が付いたキャミアが
「イズミ防壁、有難う助かったわ。」
「待って私じゃない!シルク貴女?」
直ぐに実体化したシルクが現れ
「私じゃなく彼女よ。」
指を指した先には、薄緑色の髪の女の子が一人立って居た。
「シルク彼女って誰?」
「私と同じ精霊、彼女は森の精霊でまだ上級にはなってない筈。」
そしてその森の精霊に対してシルクが
「ミラエス貴女がここに居ると言う事は白銀の魔女様が此方へいらして居るのかしら?」
「シルク久し振り、白銀の魔女様はこの麓で野営の準備をなさっています。
私はシルクがここに居る事に気付いたので挨拶に来たら
彼女達が襲われてたので思わず手を出してしまってけど良かったかしら?」
「いいえ、有難う、助かったわ。」
そしてシルクがイズミに向きを変え
「イズミ紹介するわ、彼女は森の精霊のミラエス彼女は精霊女王の命により白銀の魔女様に着いて居るの
」
それを聞いて居た皆が驚いた様に
「「「白銀の魔女様が今ここに?」」」
それを聞いたイズミが
「白銀の魔女様って誰だっけ?」
「貴女知らないの?」
驚いた様にイズミに問いかけるタルト
「あの冒険者学校設立の原因にもなった世界初クラスS冒険者白銀の魔女様よ!」
「ああ、そう言えば聞いた事有る様な。・・」
「有る様なじゃないわよ。ここに居るって大変な事よ!」
「そんな凄い人なの?」
「そうよ。多くの魔物を一瞬で倒しアリタリス帝国の危機を救い
世界初の女性クラスS冒険者になった白銀の魔女様を知らない冒険者なんて潜りの冒険者よ。」
「そっそんなに凄い人なの?」
その時のタルトの興奮のしようと言ったら凄い物を感じた。
そして続けて
「私の叔母も白銀の魔女様と一緒に居た事有るのよ。私もそんな冒険者になりたくて。」
タルトの叔母さんもそんな凄い人だったんだね。
それを聞いたタルトが嬉しそうに
「そうよ。又シャーリに会いたいな。」
そう言って憧れの人でも思い浮かべる様に宙を見つめた。
キャミア達はそのまま山を下りて白銀の魔女様に挨拶に行きたいと言って居たが
そうすると引き受けた依頼が失敗になってしまうと分かると渋々諦める事にしたようだった。
その日は、そこで野営して翌朝残りの薬草を採ってミリニシアに帰る事になった。
しかしシルクは翌朝白銀の魔女様に挨拶に行くと言って山を下りて行った。
精霊の移動速度が速く挨拶に行くと言ってから間も無く気が付くと私の元に戻って来ていた。
その事に気付いたキャミア達から白銀の魔女に着いて質問攻めにあって居たシルクを可哀そうに思ったのは私だけだったかも知れない。
兎に角タルトを気持ちを躍らせ語らせる事が出来る白銀の魔女、
私のライバルで有る事に違いなかった!
『多くの魔物を一瞬で倒し帝国の危機を救った白銀の魔女!・・強敵現る・・・勝てる気がしない・・・』トホホ。
思わず膝を着くイズミの姿がそこに有った。
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今後とも『男の娘って何?』
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