11女神 シェルシア 精霊使い
あの事件から数日後の
放課後イズミの元へキャミアが駆け寄って来た。
「イズミ貴女一体何したの?教官が直ぐイズミに教官室へ来るように言われたわ」
「エッ!呼び出し?私に?何かやった覚えが・・・どれだ!・・・覚えが‥有り過ぎる。
もしかして教室の机の裏に書いた落書きがバレた?
それとも校長の石像の腕を折ったのがバレた?
それとも校庭の・・・」
「イズミ、貴女一体何やてるのよ!兎に角急いで教官室に行きなさい。」
「ハッハイ!」
急いでクラス担当の教官の元へ行くと
担当の教官から精霊使いの事について話が始まった。
『良かった。あの事がバレたかと思った。』
精霊なら問題ない筈。
教官からは
「精霊使いの事なのだが正直俺達には精霊使いの事が良く分から無いのだ。
何しろこの国に精霊使いなる者は数名しか居らんのでな。
そこで急な話なのだが明日この国の精霊使いがここへイズミに会いに来る事になった。」
「明日ですか?」
「そうだ、明日2人の精霊使いが来る。そしてイズミの精霊を鑑定して精霊使いの認定を出す予定だ。」
「あっハイ、分かりました。それで私は、何か用意して置く事有りますか?」
「校長の石像の腕を直しておけ」
「エッ!今何て?」
「校長の石像の腕を直しておけと言ったんだ。」
「エ~~!知ってたんですか?」
「何言ってる!皆が見て居る前で折って置いて俺が知らない分け無いだろうが!」
知って居た!
誰に手伝っ手貰おうやっぱりタルトかな?
「ゴッ御免なさい直しておきます・・」
「あっそれから校庭の横の防護壁もな。」
「それもですか~。」
「当たり前だ!それともまさか他にも何か有るんじゃ無いだろうな?」
「ナイ!ナイ!ナイ!」
思いっきり顔を振って否定。
ヤバイ、ヤバイ皆ばれる。
急いで部屋へ帰るとキャミア達が心配して待って居てくれた。
「イズミどうだった?何を言われたの?」
キャミアが心配してくれたので。
「明日ミリニシア神皇国の精霊使い2人が来て私の資質を見るみたい。
そこで私の精霊使いの認定を出す予定らしいんだけど。問題が・・・キャミア、
石像の件バレてた~~!どうしよう~。明日まで直せって!」
「本当貴女ってあの3人を素手で倒したり精霊と契約したりと
本当に凄いんだかそそっかしいんだか分から無いわね~。誰か修復魔法使る人居る?」
「私一応出来るけど余り上手く無いよ。」
おお~流石タルト。
「タルト有難う~。それでね。実はもう一つ・・・」
「何?ちょっと怖いんだけど。」
「えっと・・校庭の防護壁なんだけどね・・」
「エッ!あの壊れた防護壁もイズミがやったの?・・もうしょうがないわね
。直ぐ一緒に直しに行きましょう。」
「タルト有難う~。やっぱり持つべきはタルトさんでゴワス」
「ゴワスって何?」
「いえっ何でもない気にしないで。」
ヤッパリ向こうの笑いは取れないね。
結構滑るのって恥ずかしい。
でもタルトには精霊の事も黙ってて貰ってるし
石像の修復も手伝って貰っちゃってるし迷惑ばかり掛けてるな。
何かお礼したいけどまだ何も出来ないのが悔しい。
その日の夕方何とか石像と防護壁をタルトに直して貰い
無事翌日を迎える事が出来た。
そして私の資質を確認しに来た2人の内1人は女性の精霊使いのマルシェリア金髪で青い目の綺麗な人で水の精霊使い
もう1人は男性でケミス、栗毛短髪で青い目をした精悍な感じの人で土の精霊使い
が今私の前に居る。
最初に女性のマルシェリアが精霊を呼び出して欲しいと言うので『シルク』に実体化して貰った。
「マルシェリアさん彼女が私の契約精霊のシルク、風の大精霊です。」
するとシルクは私の隣に並びニコッと微笑んだだけで一言もしゃべらなかった。
そのシルクを見た精霊使いの2人は驚いた様に。
「「本物の大精霊!」」
直ぐにマルシェリアが自分の契約精霊を呼び出し確認を始めた。
「ウェシアちょっと来て」
すると直ぐにウェシアと言われた水色の髪と水色の瞳を持つ少女の精霊が現れ
そのままシルクの前に行き。
「シルクお久し振りです。まさか貴女が契約なさるなんて驚きです。」
「イズミは特別な存在よ貴女の契約者には悪いけどイズミには彼女達にはない力を持っている。
それに彼女と利害が一致したのと彼女からは他の人と違う風が吹いて来るのよ。
何故か楽しそうじゃない?だからイズミと契約したの」
「そう言う事なら納得したわ。」
そしてウエシアはマルシェリアに向き直り
「マルシェリア、彼女は風の大精霊シルク本人に間違いありません」
「有難う。ウエシア」
「それではイズミ疑う分けじゃ無いけど決まりなのでテストさせてもらうわね。」
それから精霊使いのケミスとマルシェリアそして教官と校長の立ち合いの元、
校庭でテストが行われた。マルシェリアと呼ばれる精霊使いが
もう一人の精霊使いのケミスにも精霊フォンド栗毛で青い目の少年を呼び出させた。
「それではイズミ貴女の力で彼らの防御壁を攻撃してみて。」
その言葉と同時に校庭の防御壁の前に土と圧縮された水の防御壁が重ねられて作り出された。
「私自身がやった方が良いのかしら?」
「ええ貴女が得た力を使ってみて。」
「それじゃ~。」
精霊の力は魔法と違い詠唱も何も要らない、ただそれをどうしたいかを考えて放てば良い。
後は、精霊の力で調整されて的に当たる為外れる事は無い。
イズミはその力を使い二重の防御壁を見つめ幾つもの風の刃を叩きつけた。
その刃は水の防壁を何も無かったかのように水飛沫を上げる事さえなく切り裂き
そのまま土の防壁を破壊してその後ろに控えた学校の防壁をも破壊した。
あっけに取られている精霊使い2人と校長達。
「ゲ!また壊しちゃった!ねえシルクちょっと強かった?」
「そうね。あの程度ならもっとイメージ的に弱くても良かったかもしれないわね。」
「そうか~。的には当たるけど力加減がね~。又怒られなきゃ良いけど、テストだし大丈夫だよね。」
そう言って校長の方をチラッと見るがその校長も呆然と壊れた防御壁を見つめて居るだけだった。
そこへ精霊使いのマルシェリアから
「イズミ凄いわね。それでは今度はこちらから攻撃するから防御壁を張って見て。」
「ハイ」
今度は、イズミが風が吹き荒れる空間を目の前に作り防御壁とした。
「それじゃ行くわね」
その合図とともに土の槍と圧縮され高スピードで飛来する水の槍がその防御壁に当たると
土の槍は砕け散り水の槍は吹き荒れる風で揉まれ、その熱で蒸発して消えた。
「凄いわね。これが大精霊の力。私達じゃ手も足も出ないじゃない。」
「有難う御座います。これで良かったですか?」
マルシェリアの言葉にイズミが答えたが暫くマルシェリアが考え込んだ後
「イズミ貴女は、このミリニシア神皇国の9番目の精霊使いと認めます。後に正式書面で送られて来ますのでそれまで待って居て下さい。それとイズミ、これだけの力が有ると分かった以上
多分貴方に国に仕える様に要請が来ると思いますがどうすします?」
「私は自由な冒険者で居たいと思います。なので出来れば辞退したいのですが。」
「そうよね。誰に縛られる事無く
自由に生きて行きたい人が冒険者になりたい人の殆どだものね。
でも、断るにはそれ相応の理由が必要よ。考えて置いて」
「えっ!理由ですか?シルク~~どうしよう~~。」
「私はそう言うのは良く分から無いから・・・でも私も自由に動きたいわね。誰か相談できる人居ないの?」
「そうなるとヤッパリキャミア達しか居ないし、うん相談してみる。」
その夜その事をキャミア達に相談すると。
キャミア自身は
「国に仕えるなんて凄いじゃない。勿体ないわよ」
「でも私は、自由にしたいし」
「私も縛られるのは嫌ね。イズミの気持ち分かわ」
カフェスも私と同じ考えらしいのが嬉しいけど
やはり解決策が無い。
そのカフェスがタルトへ向くと
「ねえタルトはどう思う?」
「私は、クラスAの冒険者を目指して居るから・・・」
それを聞いたカフェスが
「クラスAか、そうなるとこのままだとイズミがクラスA冒険者の一番近くに行く事になるのね。」
「うん。でも私にはまだその力が無いから。」
「タルト!私タルトと一緒にクラスA冒険者になりたい!
ねえ一緒クラスA冒険者になろう。だからここは一度断りたい。何か無いかな?」
「それだったらその事を伝えたらどう?学校の仲間と一緒に努力してクラスA冒険者になる約束をした
だからその約束を破って自分だけ国に仕える事が出来ない、しかしその友と一緒に必ずやクラスA冒険者になる。そう言ってみれば?クラスA冒険者なら国に仕えるも同然の冒険者。自分をもっと鍛えてから国に仕えたいと言う事になれば違うんじゃないかな?」
「カフェス!ナイスアイディア!それで行ってみる。私は、力があってもまだまだ未熟なので
もっと自分を鍛えてから国に仕える。なら行けるかも?」
その後改めて学校に認定書を持って来た精霊使いのマルシェリアにその事を伝えると
条件が申し渡された。
それは、
「イズミの自由を認め自ら努力してクラスAになる事を認める。しかし条件として国より『特別召集』された際には、必ず応える事。」
特別召集が何回呼ばれるか分から無いけど一応私の要求が通った事になる。
ここに『ミリニシア神皇国9番目の精霊使いである。私イズミ、風の精霊使い誕生なのです。』
うわ~責任重そう~。