プロローグ
次話から本編です。
「前衛は対人範囲攻撃。後衛は敵前衛に気絶デバフ。敵精霊発動前に一気に仕掛けるよ」
「了解。サポ編の後衛の全体回復必要?」
「いや、次の精霊召喚で全体起きだから今はまだ温存しといて。それよりも確定クリの遠距離持ち居れば敵精霊前に掃射して」
「おk。タイミングは任せる」
「終了五分前で罠張るから今のうちに前衛の攻撃バフ掛けといて」
「了解」
――――
――
「ふう・・・。お疲れ。ナイスバトル」
「うん。そっちこそナイス采配。その指揮がないとこのゲームではやっていけないわ俺」
「それは大袈裟な。俺としちゃインしてくれるだけでありがたいんだから。他の皆もサンキュー!かりおすとろさんナイスパンチ~!あゆさんラスゴス調整さすが~!後衛さんバフありがとね~」
「ありがと~。それじゃ早いけどお先失礼するね~」
「おk、りょーかい。お疲れ~」
「お疲れ~」
「かるびさん落ちたし俺も落ちるわ、みんなまた明日もよろしく~。乙でした~」
† † † †
とあるスマホゲームにて、噂の新人ギルドが全勝無敗のトップギルドに難なく勝利するという、前代未聞の珍事件が発生していた。
15人対15人の対人戦闘ゲーム。主な火力ソースである前衛は5名。その他バフデバフなどの支援を司る後衛が10名。
かなりの人数で行う戦闘の為、プレイヤーのログイン人数の差と指示出しする指揮官の裁量で戦闘の優劣は大きく変わる。
その他、プレイヤー個々の戦闘力、使役する精霊(ゴーストと呼ばれる事もあり、最近では省略され、ゴスと呼ばれる事が殆どになった)などでも戦況は左右される。
そんな個人個人の能力パラメータを把握した上で、常に変化する盤面を正確に見極め、即座に柔軟な対応をしなければ勝ち目は薄い新人組織の指揮官を務めるというのは中々に大変なものだ。
中高生より社会人のプレイヤーが多いこのゲームにおいて、新規ギルドが成し遂げたトップギルドの打倒と言う快挙は、ゲーム内にあっと言う間に知れ渡った。
しかもその実、期待のルーキーと囁かれる指揮官の『*』のプレイヤーは、高校生である。