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最弱の魔王  作者: よーき屋支部
第三章 小人の祈りに想いを重せて
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〝ヒーラー〟

「何が起こった……」


 買い出しを終えた足で部室へと向かった黒部。目的地である一室に辿りついてドアを開けた彼は、変わり果てた部屋のありさまに我が目を疑った。


 まず目を引いたのは、部室の真ん中に我が物顔で鎮座するアンティークなテーブル。重厚な光沢を放つ天板の縁には複雑な模様が彫られており、よく見なくてもお高いのがわかる。中央にはどこから取り寄せたのか、マダム御用達であろうフィナンシェやフロランタンが品よく盛り付けられた皿まで置かれていた。


 その周りを囲むのは絶対に本革が張られているであろう三脚のチェスターフィールドチェア。一度腰かけてしまえば、目の前にいる犠牲者(浮暮波)のように微動だにできなくなることうけあいだ。


 紀久淑が作業を行っているこれまたビンテージでハイカラなティーテーブルの上には、ノーブル且つハイソサエティな方々が愛用していそうなティーセットが並ぶ。


 エレガントな所作でティーカップを琥珀色の液体で満たしていく紀久淑は、黒部の帰宅に気づくと柔らかい笑顔で彼を迎え入れた。


「お帰りなさいまし。ちょうどお茶が入るところですわ。おかけになってお待ちくださいな」


「お、おう。買ってきたもんはどうする?」


 下手に傷つけてしまう恐怖を思えば、まさか買ってきたものをそのままテーブルに置くわけにもいかない。というかできれば触りたくない。


 黒部の切なる思いが通じたわけではないだろうが、紀久淑は部室の一角へ目を向けながら答える。


「遠いところまでありがとうございます。それでしたら、冷蔵庫を用意させましたので、その中へお願いできますか?」


 言われて目を向けると、部室の隅、ロッカーの隣にはツードア式の冷蔵庫が鎮座している。マッドティーパーティの様相を呈する光景には不釣り合いな、それでいて部室という場へこれ以上に相応しいものはないだろうといったシンプルなデザインが目に優しい白物家電。


 この部屋を扱うにあたり、紀久淑自身が厳選に厳選を重ねて選び抜いた珠玉の逸品である。なじみ深いフォルムに癒しを覚えた黒部は、駆け寄る勢いでそれに向かった。思わず頬ずりしそうになるところを鋼の意思で自制して、買ってきたものをしまっていく。


 あらかた収納を終えてしまった黒部は、さあ逃げ場はなくなったぞと自分用に用意された椅子と対峙する。できれば触れることなく一生を終えたかった類いの邂逅に、それはもう尻込みしている。


 しかし、縋るような眼を自分へ向けている気がする浮暮波と目が合ったであろうところで、おっかなびっくり腰かける。分厚い前髪の奥に光る眼光は、直視したら消し飛ぶんじゃないかと思わせる力強さを湛えていた。


「失礼致しますわ」


 椅子に腰かけながらも若干腰を浮かせていたところ、図ったようなタイミングで紀久淑が、目の前にソーサー付きのティーカップを配膳する。


 ふくよかで上品な香りを上げる紅茶をまんじりともせず見つめる黒部と浮暮波の前で、何のてらいも躊躇いもなく紅茶を口にした紀久淑は、静かにカップをテーブルへ置きながら口を開いた。


「……全くもって、落ち着きませんわね」


「だよね!良かったそう思ってくれてて!」


「ひいぃ……」


 とりあえず一連の動作を行ってみたお嬢様であったが、校内というミスマッチが引き起こすカオスな空間に違和感しか感じられなかったようだ。


 我が意を得たりと声を上げる黒部も身体はまんじりともせず。浮暮波に至っては言わずもがなである。


 もっとも、紀久淑の意見は二人とは少しだけ趣を異にしている。


 学校という日常の空間を侵食する高級品に圧倒されている二人とは違い、紀久淑は学校という特別な空間に日常を持ち込みたくなかったのである。部室に見合うようシンプルな冷蔵庫を選んだ理由もそこにあった。


 これではわざわざ学校でプレイする意味がないではないかと不満げな顔を浮かべながら、紀久淑は目の前にある調度品を眺めている。


 とはいえ、意見が一致しているのであれば黒部達に文句はない。決定権が紀久淑にある以上、彼女が反対派にいてくれるのは僥倖以外の何物でもなかった。


「早急に、元に戻させますわ」


「ああ、そうしてくれ。こんなんに囲まれてたら、ノアに集中できる気がしない」


「全くですわ。これでは風情がありませんもの」


「紀久淑さんのこだわりは分からんが、今回ばっかりは賛成だ」


 二人の間に横たわる見解の相違が浮き彫りになることはなく、それでも満場一致で可決された。チョイチョイすれ違う割にはうまくやれているな、この二人。


 ここで、黒部が白票を投じていた浮暮波へ目を向ける。自分と同じ感性を持つであろう彼女の精神状態を慮っての行動である。せっかくここまで足を運んでもらったのに、この仕打ちはあんまりだろうと声をかけた。


「悪いな、浮暮波さん。大丈夫か?」


「……私は、ここで殺されるのでしょうか?」


「「はい?」」


 怯えと覚悟。本来ならば絶対に交わらないであろう感情をないまぜにした声音で、二人に問いかける浮暮波。


 あまりのストレスに心が壊れてしまったのだろうかと慌てる黒部をよそに、淡々とした語り口を続けた。


「以前読んだ本に、贅を凝らしたもてなしを受けた人物がそのまま殺されてしまう描写がありまして……その時に浮かべた情景が、今この光景と重なってしまうのです」


「どんだけ偏った知識だよ。いや気持ちはわかるけどな」


「とんだ風評被害もあったものですわ……なんですの、黒部さんのその目は」


「いや、なんでも」


 黒部のもの言いたげな視線に、心外ですわとジト目を返す紀久淑。


 だが、浮暮波の言いたいこともわかる。今の部室に並ぶ調度品が醸し出す雰囲気は、成金趣味の海外マフィアが使う応接室以外のなにものでもない。


 一刻も早い初期化を望む三人ではあったが、ここが学校施設であるが故の弊害に遮られる。


「とはいえ、さすがに今から下げさせていては時間がもったいないので、今日はこのままクエストへ参りましょう」


 望まぬリフォームのインパクトが強すぎて忘れがちだが、三人はノアをプレイするために集まっているのだ。


 いくら落ち着かないとはいえ、メインフィールドはあくまでノアであり、〝もう一人の自分(セカンド・サイド)〟を主軸において活動する以上、時間の限られたそちらを優先するべきだろう。気疲れはするが、肉体への負担的には快適な空間であることに変わりはない。


「……だな。んじゃ、さっそく始めよう。集合場所はどうする?」


「まずは、浮暮波さんのチュートリアルを済まさなければなりませんわね。浮暮波さんも、それで構いませんか?」


 少しためらいながらも同意を示す黒部。相変わらず尻は少し浮いたままだ。若干プルプルしてきている。


 紀久淑は黒部へ何やってんだこいつという視線を投げかけるが、あえてのスルーを決める。あまり横道に逸れている時間もないと合理的な判断を下し、今後の動きを確認したところで、浮暮波からまさかの返答が返る。


「いえ……実は、ミニゲームだけであれば、個人でそれなりの回数を行っております」


「ってことは、普通にチュートリアルも終わってんのか」


「はい。街の中で行えるクエストであれば、そちらも何度か受注しております」


「おおっ」


「では、全くの未経験ではないということですわね……ふむ」


 先ほどはノアに全く関心を示さないような発言をしていた浮暮波から、まさかのプレイング発言。


 これを受けた二人は少しだけ驚いたものの、ある程度納得もしていた。


 何せ、我が国が誇る最先端技術の結晶である。興味がなくても触れてみたいと思うのは当然だ。それをきっかけにノアにハマってくれれば嬉しいなと思う黒部と、一つ間を置く紀久淑。


「では、失礼ながらご職業をお聞きしてもよろしいですか?」


 婚活か見合いのようなニュアンスになってしまった気がするが、他に言いようがないので仕方がない。


 浮暮波も気にした様子もなく、代わりに申し訳なさそうな顔で答える。


「いえ、職業は選択しておりません。無職のままです…」


 可哀相な自己申告をさせている気がするが、他に言いようが以下略。


 もじもじしながら下を向いてしまった姿を見た黒部が、妙な空気を一新させようと声を張る。


「あ、じゃああれか、戦闘系じゃないクエスト受けてたんだな!バイトしてたんだな!」


 完全な無職ではないフリーターを慰めるような発言になった気がするが、これは他にも言い方があっただろう。空気を変える前に読め。



 ―――ここで、黒部が挙げた〝バイト〟と呼ばれるクエストについて説明しよう。


 ノアで受けるクエストにはいくつか種類があり、その中には〝非戦闘クエスト〟と呼ばれるものがある。


 文字通り、戦闘とは別に起こるトラブルを解決していくクエストであり、内容も城壁の建築作業やファッションショーのモデルまで雑多に存在する。


 簡単なクエストが多いため報酬はお察しの通りであるが、ものによっては継続することでステータスが上がったり、別途入手できるアイテムなどもあるから侮れない。


 ファンタジー世界における日常が体験できる物珍しさや、戦闘に自信がないプレイヤーも安心してチャレンジできる内容から意外と需要は高い。


 何より、一人でも手軽に受けられる簡単さはソロプレイヤーに嬉しい。新たな交流を持てる出会いの場としても使われ、他校のプレイヤーとパーティを組むきっかけも作れるのだ。


 因みにこれは、紀久淑とパーティを組む前に黒部が行っていたクエストであり、前回のイレギュラー・クエストで実入りがなかった場合、二人が受けようとしていたクエストでもある。


 戦闘がないということはつまり職業による優劣もないということであり、浮暮波が定職につかないままでもクエストを受けられた理由はそこにあった。



「では、まずは浮暮波さんの職業を決めてから参りましょう」


「だな」


 だが、パーティを組んでのクエストとなるとそうも言っていられない。


 比較的平和な採集系のクエストを受注しても、マップ内にモンスターがいる。所謂シティアドベンチャーと呼ばれるクエストですらボスが出る。パーティクエストに戦闘はつきものなのだ。


 そのため、浮暮波にも何かしらの職業に就いて貰わなければならない。とはいえ、何の前情報もなしに選択させるには、ノアの職業は多過ぎる。


 そうした状況を加味して、まずは彼女の適正から確認していこうという結論に達した。


「ではまず、近接戦闘などは可能ですか?」


「無理ですね」


「すがすがしいまでに言い切ったな」


「活動的な私を想像できますか?」


「……うん、悪かった」


 一応想像はできた。できたのだが、長い髪を振り乱しながら戦う様は都市伝説かクリーチャーにしか見えなかったのだ。


 予想通りではあったが、これで戦闘職は消えた。次は細かい特技から絞っていこうと切り口を変えていく。


「次に、浮暮波さんの特技を教えていただけますか?」


「夜目が利きます」


「それは特技なのか?」


 いやにはっきりした口調で申告してくれたところ申し訳ないが、どちらかといえば、それは特徴や長所と呼ぶのではなかろうか。技ではないだろう。


 一方、なぜか得意げな顔を浮かべる浮暮波は、これを得るに至った理由を述べる。


「暗い中で本を読むのが日常なので……自然と、これに順応するように変質したようです」


「いや、髪切れよ」


「……私に裸になって歩けと?」


「顔出しNGにもほどがあるだろ」


 髪は服ではない。少なくとも、我が身を体毛で覆う構造を捨てたのが我々人類だ。並列思考を得る遥か昔の進化ツリーで分岐していたはずだ。


 二人のやり取りの横で、浮暮波の回答を律義にもメモしている紀久淑。ツッコミは黒部に丸投げした完全分業制を敷いたうえで、浮暮波からあがる情報を羅列していく。 


「あとは、体内時計が正確です」


「どう身につけたんだ、それ」


「放っておくといつまでも本を読んでしまうので、餓死を避ける必要にかられて身につけました……今では、コンマ一桁まで正確に測れます」


「人類の進化はそっち方面には向かわなかったはずなんだけどなあ」


「ふむ、リキャスト計算が得意そうですわね」


 黒部がツッコミを入れている間に、紀久淑は真面目に考えていたらしい。


 最後に、これだけは聞いておかなければならないと思う質問を問いかけた。


「では、浮暮波さん自身がご希望される職種はございますか?」


「……いえ、ありません」


 少し間をおいて、浮暮波が答えた。


 いつもの、会話に慣れていない彼女独特の間。思案に暮れるにはあまりに短く、思いを馳せるには絶対的に足りない空白。


 浮暮波自身ですら無意識に行っていた訴えに、この時は誰も気づけなかった。


 ややあって、紀久淑が意見をまとめたうえで結論を述べる。それでもあくまで浮暮波の意思を尊重するよう、提案するような口調だった。


「もし、浮暮波さんが宜しければなのですが、僧侶をお選びいただけませんか?」


「僧侶……回復職ですね」


「はい。リキャストが正確な浮暮波さんにこの役職を引き受けて頂ければ、わたくし達は安心して攻撃に専念できます。何より、後衛職はあまり身体に負担をかけません。わたくし達が守るので、荒事に巻き込まれることも少ないでしょう」



 ―――RPGにおける後衛職。攻撃の要と呼ぶのが魔法使いだとしたら、守りの要と呼べる存在は僧侶だろう。


 強力な攻撃手段は持たないものの、障壁をはじめとした防御魔法と最大の特徴ともいえる回復呪文を操る、神々からの祝福を得た癒し手。


 これが一人いるかいないかで、パーティの安定感や継戦能力には雲泥の差がある。真名のようなアタッカーであれば積極的に攻撃が行えるようになり、クロベーのように防御力に難があるキャラの生存確率も上げることができるからだ。


 しかし、英雄願望の強いプレイヤーが多くを占める高校生サーバにおいて、回復職はあまり人気がない。どうやら直接的な攻撃手段が少ない僧侶という職種は、どうしても地味な印象をプレイヤーに与えてしまうようだ。


 一年生のうちはそれが顕著で、メンバー全員がアタッカーというパーティがほとんどを占めている。そういったグループも後々分業制の重要度に気づいていくが、転職を迫られるメンバーは、グループ内の発言力や戦闘時の練度で無理矢理変えさせられるものが多い。


 その結果、不満を持つプレイヤーがいやいや就く職業というイメージがついて回っていたのだ。……去年までは。


 そういった高校生の機微に気づいた某プロダクションが、回復職をはじめとした補助職の価値観を一変させたのだ。


 ノアとのタイアップで結成した〝とある女性アイドルグループ〟に現れた〝聖女〟の人気を受けて、初期から回復職を選ぶプレイヤーが増加した。メディアの影響力というのはいつの時代も凄まじい。


 その後、職業人口が増えたことで補助職の有用性も見直され、地味で報われないと言われた者達が日の目を浴びるようになったのだった。



「確かにいいかもな」


 紀久淑の提案に黒部も納得のようだ。浮暮波にも否やはないようではあるが、同時に申し訳なさそうに眉を落とす。落としているんだ。二人には見えていなくても罪悪感でいっぱいなんだ。


「はい……ですが、お二人はそれでよろしいのでしょうか?」


「ん?」


「私にあつらえたような職業ではありますが、お二人の希望に添えているかどうか……」


 ここまでしてもらってといわんばかりに恐縮している浮暮波の姿に、ああそんなことかといわんばかりに返す紀久淑。


「ご心配なく。わたくし達もできることならば、回復役をスカウトしたかったのです。勿論浮暮波さんの希望を優先しましたが」


「え?まだ足痛いの?」


 いったいお前はいつの話をしているんだ、紀久淑の足の話は忘れてやれ。


 素なのか天然なのかわからない黒部の返しに何言ってんだこいつという顔をしながらも、律義に返してあげる紀久淑は黒部に甘いと思う。調子に乗らないうちに厳しくしておくべきだ。


「そうではなく、わたくし達に今最も必要なポジションはそこですわ」


「回復魔法ね……そもそも、エクス・マキナに回復魔法は効かないんじゃなかったっけ?」


 黒部が言うように、エクス・マキナに回復魔法は効果がない。魂のない無生物に、神の祝福は届かないのだ。


 とはいえ、他でもない本人がそれを把握していないわけがない。紀久淑は軽く頷くと、自分の考えを述べた。


「わたくしは元の防御も高いですし、この先は回避メインに装備を整えていくので問題ありませんわ。懸念である魔法防御も、先のアイテムでだいぶ改善されているので、回復魔法の恩恵を受けられずとも戦えますわ」


 何より、と付け加えながら黒部にジト目を向ける。仲間を募集する理由がどこにあるか、まさかまた忘れたわけじゃないよなと言わんばかりの表情はとても冷たい。


「黒部さんが毎度落ちていたらお話になりませんわ」


「すみません……」


 力なく頭を下げる黒部。際しては硬いテーブルに額を打ち付けての平身低頭だ。


 ゴッという掛け値なしに痛い音が響いて、紀久淑が少し慌てる。浮暮波も青い顔をしているが、さほど深刻な事態ではない。冷たいテーブルがひんやりと黒部の患部を癒していた。


「……まあ、足りない所を補いあってこそのパーティです。力をあわせて、目指せ最強ですわ!」


「このお嬢様ホント少年漫画好きだな……でも、ありがとう」


 額をさすりながら顔を上げる黒部が、苦笑交じりにお礼を言う。釣り目が細められる様は、彼の顔面が行える精いっぱいの穏やかな表情だ。


 紀久淑の言葉を受けてか、浮暮波もまた緩く微笑む。濫読家である彼女も紀久淑の言葉には感じ入るところがあるらしく、目の前にある光景を眩しそうに見ている。


 どこか一歩引いたような、決して手の届かない物語に触れるような眼差しで。


「……いい言葉ですね」


 それを敏感に感じ取った二人は、寂しそうな顔をする浮暮波に笑いかける。


 貴女も、わたくし達と共に行きましょう、と。


 妙な括りで、自分を仲間外れにしてんじゃねえよ、と。


「改めて、わたくし達に足りないところを、浮暮波さんが補ってくださいまし」


「……はい、私にできることがあるのならば、誠心誠意これに臨ませていただきます」


 図書室の際に告げられた言葉そのままに、浮暮波が首肯する。それを受けた黒部達もまた、笑顔でこれを歓迎した。


 しかし、続く言葉は違うものだった。緞帳のような前髪が常よりも深く顔を覆う。光が入るのを嫌うように。光の下へ出るのを嫌うように。


 自身を受け入れようとするものを落胆させないように、拒絶された自分が消沈しないように言葉を続けた。


「ですが、お二人が私をいらないと思ったらすぐ仰ってください」


「ふっ、浮暮波さんがここに私はいられないと思う方が先かもしれないぜ!」


「本末転倒ですわ……」

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