恋は盲目www
「好きです!」
「ごめん」
今日もまた一人の女の子を振ってしまった・・・そう、自分で言うのもなんだが、俺はモテる
これで何人目だろうか、おそらくだがこれまで振った女の数は優に2桁を超えるだろう
だが、そんな俺でも手に入れられない女がいる・・それがあの女「明城さくら」だ
あの女を一言で言い表すならそれは…「天災」だろう
「ぼ、ぼぼぼ、僕と付き合ってくだ「どきなさい!」
「ひぃ」
「キモイのよ、豚が」
あの女が「天災」と呼ばれる所以はあのように、自分に告白してくる男たちを罵倒し、心を折っていくところにある
まあ、一部のやつは恍惚とした表情を浮かべているが・・・
ともかく、あんな見るからに敵意むき出しな女に惚れるやつなんて、いくらあの女が美しいと言っても、愚か者としか言えないだろう。
要するに俺も愚か者なのだが・・
まあ、勘違いするな
俺があの女を手に入れたい理由はただ一つ、完璧な男になりたいからだ。
文武両道、モデル顔負けのスタイル、そして何人もの女を虜にしてきたこの顔、残すは女だけだそれを俺はあの女にすることを決めた。
だが・・・どうしたものか、俺は今まで言い寄られる側の人間だったため、どう話しかけたら良いのかすらわからない。
仕方ない、できればあいつはには頼りたくなかったが・・
「ただいま玲華」
「おかーえり」
「うわっ、なんで玄関で座ってんだ?」
「待ってたの!で、何か聞きたいことあるんじゃないの~?」
「な!?」
「フフフ・・お兄ちゃんのことなら何でもわかるんだよ・・」
「そうか、なら話が早い」
「好きな子ができた、どうやって話しかければいいんだ?」
「え・・」
急に黙ったりしてどうしたんだろうか、うーむ、もしや腹が減っているのでは?うんきっとそうだ。俺はなんて妹の気持ちがわかる兄貴なんだ。自分でも感動したぞ。
「もうお兄ちゃんはしょうがないな〜特別に私が女の子との喋り方を教えてあげる」
(お兄ちゃんに好きな人?嘘・・うそうそうそ・・やだやだやだお兄ちゃんは私のもの!どうすれば・・・・!!そうだ!)
「まず女の子と話すときに一番大事なのは・・・その子の手を握ることだよ!お兄ちゃん! 」
「なるほど」(手を握ればいいんだな)
次の日
よし、昨日玲華が言った通りにやってみるか
「さくらさん!」
さり気なく彼女の手を握ろうとした瞬間、世界が回転した
「はっ」
「ここは?」
「保健室よ」
担任の村田が言った。そうか、あのとき俺はあの女に一本背負いをうけて・・・
「なぜだ・・」
「玲華・・・」
「ん?なに?お兄ちゃん」
「今日お前の言った通りにあいつに話しかけたら、投げられたんだが・・・」
「・・・」
「おい玲華、お前・・嘘ついてないだろうな?」
「も、もちろんだよ、うそなんかつかないって!あ、あ・・あれだ!お兄ちゃん今日その人のスカート見てないでしょ!だからダメだったんだよ!女の子と話すときは、そ、その、パンツを見てから手を握らないと変態になるんだからねっ!」
(私何言ってるの!?私のバカバカバカ!)
「そ、そうなのか・・・?パンツを見なければいけなかったのか・・・」
次の日
俺は学校に早めに登校し、教室の自分の席に座り作戦を確認していた。
明城さくらは登校してくる時間が早く教室には一番に入ってくる、そこで先に来た俺が話をきりだす・・・なんて完璧な作戦なんだ、失敗する未来が見えないな
ん?足音が聞こえる、どうやらおでましのようだ
ガラララ
教室にあいつがはいって・・・こない!?ドアを開けて俺と目があったあいつは相変わらずの無表情のままドアをピシャリと閉めた・・・っておい無反応はひどくないか!?
こうなったら意地だ!「待て・・・」俺は幽鬼のように立ち上がり、さくらのスカートを上に持ちあげー恥ずかしさから自分の目を若干そらしながら、白い布地を視界に捉えた
そしてもう片方の手で桜の手を握った。
よし!
「やぁ、さk」
その後のことは覚えていない。気づいたら保健室のベッドの上にいた。
「あなたねぇ・・どうしたらこうなるの」
「うるさい村田」
「へ?」
どうしてだ、どうしてこうなるっ!
ー帰宅後ー
ガチャ バン!
俺は強くドアを開けた
「おい玲華」
ビクッ
「な、なにかな?おにいちゃん」
「もう一度聞くぞ、嘘はついてないな?」
「・・ツイテナイヨ?」
「じゃあなんで俺は全身を打撲してるんだ!しかもあいつの俺を見る目が完全に変質者を見る目に変わってるんだぞ!どう考えてもおかしいだろこの状況!」
「そ、それは・・・」
「もういい。」
「待ってお兄ちゃん・・・」
(どうしよう、このままじゃお兄ちゃんに嫌われちゃう、どうしよ・・・)
玲華が何かすごく唸っているが・・
は!俺はなんて馬鹿なんだ、玲華はこんなにも俺のために考えてくれているのに、おれは玲華に八つ当たりをしてしまって・・
しかもよく考えたら俺はさくらのパンツをしっかりと見れていない、おそらく敗因はそこにあったのだろう
「玲華、すまない」
「ほへ?」
「俺はとんだ馬鹿野郎だ、こんなにも熱心に考えてくれる妹を疑ってしまった。」
「自分のことなのにおまえだけに考えさせるんて最低だよな。」
「これからは協力して考えよう」
「教えてくれ、今回は何がいけなかったんだ」
「うん、わかった」
(え・・お兄ちゃんってこんなにバカだっけ?)
「それじゃあ、ゴニョゴニョ」
ごめんねお兄ちゃん。
次の日
(よし、今日こそは落としてみせる!大丈夫だ俺!俺ならいける!)
きーんこんかーんこーん
午後のホームルームの終わりを告げるチャイムが鳴り終わった。
瞬間
「さくらさん!」
俺は彼女の手を取り走り出した。
彼女はなぜか抵抗を見せなかった。
「ここら辺にしとくか・・・さくらさん!」
相変わらず彼女は冷たい視線をぶつけてくる。だが俺はやらねばならないっ!
「君が好きだ!」
そう伝えた時、彼女の目が戸惑いと驚きと極微量の恥じらいの色を見せた気がした
思えば彼女はそのルックスの完璧さからか、男子からはもちろん、女子からでさえ近寄り難い存在として見られていた節があった・・気がするような気がする
つまりそれ則ち彼女の弱点と成りうる唯一の事実だということだろう
そしてその弱点が露呈した今こそ一気に畳み掛ける時!
俺は、サッカー部で培った脚力により一瞬にして彼女の目の前まで接近した。
彼女はそれに反応し、左拳で鳩尾を狙いにきたがそれを躱す、
残った右拳ですかさずフックを仕掛けてくるがそれも躱す、
それでも止まらずその右拳の勢いにのせて体を左にひねり、強力な威力の回し蹴りを放ってくるがそれも躱し、
「これで終わりだーー!!!」
勝利を宣言しながら流れるようにして彼女の左手を俺の股間に引き寄せて言った
「もう一度言う!君が好きだ!俺と付き合っ「死ねぇ!!!」ごふぅっ!」
そして俺の夢ははかなく散った。・・・ついでに男としての尊厳も。




