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運命に抗う者たち ~The Black~  作者: 斬崎 奇人
第一章 【It was crazy】
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Chapter.03 【灰と黒】

第三話です。


これで、メインキャラは全員揃いました。


最後の方、少しグロ注意です。



風に吹かれて揺れる、灰色のマフラーに灰色の髪。


そして、髪の色よりも僅かに明るい色をした灰色の眼が、リヴィアにを難するかのような視線を送り付けた。


「いきなり、刀を投げ付ける奴がいるかッ!!」

「ここに、居るだろ。あと、刀を投げ付けたのはお前が姉さんに怪我を負わせてしまうようなことをしでかしたからだ」


キッパリと言い切ったリヴィアは、灰色の男性に投げ付けかわされたせいで、どこか飛んでいって仕舞った刀は何故かリヴィアの手におさまっている。


一体何時、取って来たのだろう。


いや、刀を取ってくる時間は皆無だった。


それならば、どうして。


しかし、灰色の男性やリヴィアの姉であるセイはそんなことには気にも止めていなかった。


「リヴィア、お前はもう少しセイに対する優しさを俺にも寄越してくれないのか?」

「……キメェ……。俺は、姉さんが“俺の姉さんだから”優しくするだよ。お前なんぞに誰が、優しさを分けるか」


リヴィアのあまりにも辛辣過ぎる言葉に、灰色の男性は暫く口を半開きに開けたまま呆然としているとふと、我に返ったのか乾いた笑い声を上げ始めた。


そのせいでリヴィアに再度、「キメェ」と言われることになるのだがそんな二人の間に割って入ったのはセイだった。


「リヴィア、“リク”。喧嘩は駄目よ。それより先に、あの人をどうにかしなくちゃ」


リクと灰色の男性の名前を呼び、自分たちの後ろで立ち上がっていた巨体の男性に二人の意識を向けさせた。


目は充血し、気味が悪いくらいに爛々と光っていた。


額から流れる血を拭うと巨体の男性は、獣のような唸り声を上げた。


「このオレを、よくもぶっ飛ばしてくれたなァ」


巨体の男性はそう言うと、足元に転がる多数の瓦礫に手を伸ばし片手で軽自動車ほどの大きさもある瓦礫を持ち上げた。


巨体の男性の馬鹿力に感心しているのか、リヴィアは小さく口を開き「おぉ~」と声を漏らし、セイは驚いているのか口元に片手を当てていた。


リクは巨体の男性から視線を反らして、両脚の太股のズボンについている黒いサイホルスターから鈍い光を放つ薄暗い銀色のグロック18Cと似た形状の短機関銃を一丁だけ取り出し構えた。


「オラァァァァァァァァァァ!!!!!」


力任せと言ってもいいほどに、巨体の男性は力の使い方が下手くそだった。


放物線を描きながら、自分たちのところへ飛んでくる瓦礫の速さは大分遅く、リヴィアは姉の腰に腕を回すとそのまま後方へと跳んだ。


リクはその場に留まりながら、飛んでくる瓦礫に銃口を向けると目を細めた。


「 標的を捕らえる(イッツ・コート) 」


小さく口を動かして言葉を紡ぐと、リクの手に握られていた薄暗い銀色の短機関銃から数発の弾丸が飛び出していく。


数発の弾丸たちは、何故かそれぞれ別の方向へと軌道を変える(・・・・・)


それぞれ瓦礫の皹の入っている場所に綺麗に命中すると、弾丸が当たった衝撃で元からあった皹が広がり瓦礫は空中で砕けた。


「そんな至近距離だったんなら、別に能力を使わなくてもよかったんじゃねぇのか」

「馬鹿言うな。いくら至近距離でも、俺の使ってるコレ(・・)はフルオートなんだから、細かい場所に当てんのには向いてない」


コレ、と言いながら薄暗い銀色をした短機関銃をリヴィアに見せたリク。


リヴィアは、銃のことはさっぱり分からないようで眉を寄せるとセイの腰に回していた腕を離した。


三人が軽自動車ほどの大きさの瓦礫に押し潰されると思っていたのだろう。


巨体の男性は、無傷でいる三人に目を見開いくと次第に青筋を浮かべていく。


三人が余裕ぶっていると思ったのだろう。

(実際、余裕ではあるのだが)


「お前らなんぞ、オレの手で潰して挽肉(ミンチ)にしてやらァァァァァ!!」


怒号を上げてその筋肉だらけの両足で地面に転がる瓦礫を踏みつけ、砕いて進む巨体の男性にリヴィアは面倒臭そうに口をへの字に曲げた。


「ねぇ、リク。そう言えばどうして、この人をぶっ飛ばしたりなんかしたの?」


セイの言葉に苦笑いをしながら、リクは巨体の男性に銃口を向ける。


「いや、丁度さ、スラム街の商店街から帰ってくる途中でバッタリ、アイツと会ってさ」


リクが話している間に巨体の男性は段々と距離を縮めてくる。


リヴィアは中段の構えを取ると、巨体の男性に切っ先を向けた。


「金品寄越せ、身ぐるみ剥げって五月蝿くてさ、





仲間ぶっ飛ばしたら、キレてきてな。面倒だったんで、そんまま顔面蹴ったら結構飛んだ」


最後の言葉に笑うと、巨体の男性の拳が三人に目掛けて降り下ろされた。


地面にめり込んだ自分の拳を見て、殺したと思ったのだろう、ニタリと笑った巨体の男性はある違和感(・・・)に気付いた。


三人を殴り潰した感触が全くないのだ。


感触が無いどころか、肉を潰した時に発せられる音が聞こえてこない。しかも、血すら出ていない。


地面にめり込んだ拳を引き抜こうとした瞬間、視界がぶれた。


「動き。止まっててくれて、助かったよ。殺りやすいからな」


地面に向けていた視線を上げると、そこにはニタニタと笑みを浮かべるリヴィアがいた。


ぶれる視界に移り込んだのは、自分を殺した死神だったのだ。


巨体の男性の頭が真っ二つに斬り裂かれ、そこから赤い血が溢れ出てきた。


「ちょっと汚れちゃったわね。早く洗わなきゃ、染みになっちゃうわ」


ふわりと微笑んだセイは、巨体の男性の血を軽く浴びて仕舞ったリヴィアとリクに笑いかけた。



色々と、ネジがぶっ飛んでるのは“この世界”の人間としては、普通なのデス。



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